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節目の40年目にリデザイン!エレコムの原点「エッグマウス」は令和になってどう進化した?

2026.07.04

エレコムは、創業40周年を機にリデザインした新生「EGG MOUSE」を2026年7月中旬より発売する。価格は4980円。最大の特徴は、マウス本体にシリコーン製カバー「ソフトシェル」を被せる〝着せ替え〟によって、見た目や手触りの変化を楽しめることだ。

1988年に登場した初代EGG MOUSEは、当時一般的だった四角いマウスに対し、手になじむ卵型のフォルムを提案した、同社の原点ともいえる製品だった。今回の新モデルは、その卵型を単に復刻するのではなく、現代のワークスタイルや暮らしに合うプロダクトとしてアップデートしたものだ。Bluetooth接続や静音設計といった実用性を備えながら、置いているだけでも絵になるアイテムを目指している。

本稿では、本機の魅力と、その背後に隠されたものづくりの思想をレポートする。

40年前のマウスは、四角いのが当たり前だった

EGG MOUSEの歴史は、エレコム創業から間もない1988年にさかのぼる。パソコン草創期の当時、一般的なマウスといえば四角い形状が主流だった。そこに対してエレコムが提案したのが、手になじむ丸みを持たせた、初代EGG MOUSEだった。

同社はもともとケーブルなどのPC周辺機器を扱っていたが、パソコン需要の高まりを受け、マウスの開発に着手した。そのデザインを手がけたのは、入社1年目の新人デザイナーだったという。「四角い形は本当に持ちやすいのか」という素朴な問いから、手に収まりやすい形を改めて追求した結果、卵型のフォルムにたどり着いた。

1988年当時主流だった四角型マウス(左)と初代EGG MOUSE(右)。(エレコムの発表資料より)

当時はマウスを、単なる〝パソコンの付属品〟として捉える向きも少なくなかった。そうしたなかで、初代EGG MOUSEは手に取りやすい価格と、持ちやすさを意識した、当時としては画期的なデザインによって支持を集める。現在のマウスは、そのほとんどが曲線を用いた形状を採用しているが、それを早い段階から提案した製品こそ、初代EGG MOUSEだった。

その後も、2008年には卵らしさをより強めた「OPTICAL EGG MOUSE」、2016年には創業30周年を記念して、肉抜き構造で重さわずか30gの「EGG MOUSE FREE」が登場している。ただし、製品名としてシンプルに「EGG MOUSE」を掲げるのは、初代以来、今回が2例目だという。

右から、初代EGG MOUSE、OPTICAL EGG MOUSE、EGG MOUSE FREE。初代EGG MOUSEは、1988年のものとは思えない洗練された形をしている。

そこには、過去モデルの単なる後継機ではなく、エレコムを象徴するシリーズの原点に立ち返るという意思が込められている。40周年という節目に同社が向き合ったのは、「EGG MOUSEとは何だったのか」、そして「いまの時代にEGG MOUSEをつくるなら、どのような姿になるのか」という問いだった。

機械らしからぬ温かみ。暮らしのなかに溶け込む新生EGG MOUSE

いまの時代に即したEGG MOUSE。そのコンセプトとなったのが「絵になる、まいにちを。」だ。

40年前の初代EGG MOUSEは、四角いマウスが一般的だった時代に、手になじむ卵型のフォルムを提案した。いわば、草創期のパソコンと、人との距離を近づけた製品だったといえる。一方で現在は、パソコンやスマホが、職場にも家にも、広く普及している。自宅やカフェ、シェアオフィスなど、働く場所は多様化し、マウスが使われる場所も多彩になった。マウスのような仕事道具を、インテリアやファッションの一部として捉える人も、いまでは少なくない。

そこでエレコムは、新生EGG MOUSEの開発にあたって、マウスを単なる入力機器ではなく、暮らしのなかに自然に置けるプロダクトとして再定義した。手にするときだけでなく、机の上に置いているときにも、生活空間の風景にすっとなじむ。卵という自然物を模した形状を活かし、いかにも機械然としたマウスとは異なるやわらかな佇まいを実現している。

その象徴といえるのが、シリコーン製の専用カバー「ソフトシェル」だ。マウス本体に被せることで、見た目や手触りを変えられる、いわば着せ替えパーツである。5型番で展開される本体には、交換用のソフトシェルがそれぞれ2色付属する。

新生EGG MOUSE(左)とソフトシェル(右)。左のEGG MOUSEには、左とは異なるカラーのソフトシェルが装着されている。

色の組み合わせはモデルごとに異なり、好みに応じて見た目の変化を楽しめる。落ち着いた色味から、ファッションのアクセントになりそうなビビッドなカラーまで用意されており、事実上10色のカラーバリエーションから選べる格好だ。

本機のカラーバリエーション。落ち着いた色から、鮮やかなものまで、幅広いランナップだ。(エレコムの発表資料より)

ソフトシェルの役割は見た目の変化だけではない。シリコーン素材によってグリップ感を高め、本体を傷や汚れから守る効果もある。さらに、取り外して洗えるため、毎日触れる道具を清潔に保ちやすい。着せ替えという遊び心と、日用品としての実用性を両立している点に、新しいEGG MOUSEの魅力がある。

本機のソフトシェルを剥がすところ。その着脱は簡単だ。

かわいらしい見た目の裏側にある、道具としての作り込み

もっとも、卵型のなめらかなフォルムと小型のボディを同時に実現させるのは簡単ではなかったという。

そもそも、開発当初に目指していたのは、着せ替えではなく、一切継ぎ目のない美しさを追求したデザインだった。卵のように自然で、手にしたときにも凹凸や段差を感じにくいプロダクトをつくろうとしていた。だが、その理想を本体だけで実現しようとすると、塗装や2色成形、タッチセンサーの採用などが必要になり、構造は複雑になる。結果として、価格も大きく上がってしまう。

新生EGG MOUSEの制作過程で作られた、多数のモックアップ。これを見るだけでも、製品企画者の苦労が窺い知れる。

しかし、EGG MOUSEは意匠性だけを追求した高価なプロダクトではない。初代がそうであったように、多くの人が手に取りやすく、日々の道具として気軽に使えることも重要だった。

そこで採用されたのが、シリコーン製のソフトシェルという解決策である。カバーを被せることで、継ぎ目を感じさせにくい外観と心地よい手触りを実現しつつ、グリップ感や保護性能も高める。着せ替えというわかりやすい楽しさの裏側には、デザインの理想と量産品としての現実を両立させるための工夫があった。

だが、ソフトシェルのカラーバリエーション開発は難航した。本体とソフトシェルでは素材が異なるため、同じ色を指定しても見え方はそろわない。ABS樹脂とシリコーンという異素材の色味を調整するため、企画担当者とデザイナーが中国の工場に約2週間滞在し、現地で調色を重ねたという。担当者はそのときの状況について「缶詰め」と表現した。

中国の工場で作られた色見本。よく見ると、同じような色のものでも、色味が微妙に異なっている。

本体の内部設計にも苦労があった。新生EGG MOUSEは、指先だけでも操作しやすいコンパクトなサイズになっている。だが、それを実現するには、電池、基板、センサー、ホイール、スイッチ機構を小さな本体にすべて収める必要がある。全体が曲面で構成された内部空間は余裕が少なく、通常の配置では電池を入れるスペースや取り出し機構を確保するのも難しかった。

そこで電池を斜めに配置し、限られた空間を有効に活用した。また、スイッチとセンサーの位置関係から、本来であれば基板を2枚に分ける必要があったところ、ホイールを浮かせる機構や特殊なスイッチ機構を採用することで、基板を1枚に集約した。外から見るとシンプルなマウスだが、その内部には、コンパクトさと使いやすさを両立するための設計が詰め込まれている。

本体上部のマグネット式カバーを開けたところ。単4電池が斜めに入っているのがわかる。

EGG MOUSEには、技術的に斬新な機能が組み込まれているわけではない。だが、そこにはものづくりへの確かなこだわりが詰まっている。

静音設計や3台接続など、日常使いに十分な機能を搭載

一方で、デザインや佇まいを重視したからといって、マウスとしての基本機能が削られているわけではない。

新生EGG MOUSEは、すべてのボタンが静音設計となっている。クリック時の音はほとんど鳴らず、オフィスはもちろん、カフェやシェアオフィス、自宅のリビングなど、周囲に人がいる場所でも使いやすい。働く場所が多様化した現在のワークスタイルを考えると、こうした静音性はありがたいポイントだ。

接続方式はBluetoothで、最大3台のデバイスと接続できるマルチペアリングにも対応している。たとえば自宅ではパソコン、外出先ではタブレットといったように、複数の機器を使い分ける人でも、スイッチひとつで接続先を切り替えられる。

ボタンは、左右ボタンとホイールボタンに加え、カスタマイズ可能なファンクションボタンを備えた計4ボタン構成。初期設定ではWebブラウジング時に便利な「戻る」機能が割り当てられているが、専用ソフト「エレコム マウスアシスタント」を使えば、ジェスチャーやコピーなど、よく使う機能を割り当てることもできる。

センサーにはBlueLEDを採用。木材や樹脂、ガラス製のデスク、ノートやテーブルクロスの上など、さまざまな場所でポインターを動かしやすい。電源は乾電池式で、使わないときの電池消耗を防ぐため、本体裏面には電源ボタンも用意されている。

本機の底面。左側に、オンオフスイッチと、ペアリングボタンが見える。

本機は、派手なスペックを前面に押し出した製品ではない。だが、暮らしのなかに自然に置けるデザインと、マウスとしての実用性をしっかり両立している。デザイン面はもちろん、機能面でも、コンセプト通り「絵になる」製品だ。

原点回帰であり、マウスの再定義でもある

EGG MOUSEの発売は、2026年7月中旬を予定している。価格は4980円だ。

現在は二子玉川の蔦屋家電+で実機が展示されている。購入前に、実際のサイズ感やソフトシェルの手触りを試せるのはうれしいところ。同店には、本機のほかにもユニークなプロダクトが数多く並んでいる。本機の展示以外にも、行く楽しみがある場所だ。また、エレコムダイレクトショップでは先行予約を受け付けている。

デジタル機器の急激な進化が進む現代において、日々発表される新製品については、新技術や機能面の進化がフォーカスされやすい。そんな時代において「絵になる」ことを目指した新生EGG MOUSEは、マウスという道具を暮らしの側から見つめ直した製品だ。40年前に手になじむマウスとして登場したEGG MOUSEは、今度は生活空間になじむアイテムとして、エレコムの原点を現代に引き寄せている。

文/畑野壮太

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