日本のみならず、世界中で人気観光地のオーバーツーリズム問題やサステナブルに関する取り組みは、旅行者の大きな関心事になっている。世界最大級のデジタルトラベルプラットフォーマーの『ブッキング・ドットコム(Booking.com)』は、世界35の国と地域にわたる3万2500名以上の旅行者に対して2026年版「サステブル&トラベル」に関する調査を実施した。この調査は、旅行が社会と環境に与える影響に関する消費者の意識と理解を知るために行われている年次調査レポートの第11版になる。それによればサステナブルな旅行に対するアプローチは世代によって異なるが、異常気象への対応やオフシーズンの旅行は、全世代に共通する新たなスタンダードな興味になっていることがわかった。
サステナブルな旅行に対しての意識は世代間ギャップあり
この調査では、全年齢層の旅行者の85%(日本の旅行者:71%)がサステナブルな旅行を「重要」または「非常に重要」だと認識していたが、若年層はサステナビリティへの意識は高いものの行動に結びつきにくい結果になった。それと比較してシニア層は、具体的な行動を通じて積極的にサステナビリティに取り組んでいることがわかった。今後12か月以内にサステナブルな旅行をしたいと考えている割合は、ベビーブーム世代(61歳以上)は半数未満の47%で、X世代(45~60歳)の60%、ミレニアル世代(29~44歳)の71%、Z世代(18~28歳)の75%と比較して低い結果になった。
だが今後1年間でよりサステナブルに旅行したいと考える人で旅行中の一般廃棄物を削減すると回答した割合は、ベビーブーム世代は67%で、X世代(56%)、ミレニアル世代(52%)、Z世代(48%)を上回った。不在時に客室のエアコンや照明をオフにするなどエネルギー消費を抑える意向についてもベビーブーム世代は60%で、X世代(51%)、ミレニアル世代(46%)、Z世代(42%)を上回っている。旅行中に地元の個人商店でより多く買い物をする人の割合でもベビーブーム世代は59%で、X世代(50%)、ミレニアル世代(44%)、Z世代(42%)を上回った。オフシーズンに旅行する計画も年長層ほど高い傾向で、ベビーブーム世代は63%でX世代(48%)、ミレニアル世代(41%)、Z世代(36%)を上回った。ベビーブーム世代はサステナブルな旅行への意識はほかの世代より低いが、具体的な行動では、若年層よりもサステナブルな行動志向が強い傾向があった。
ただサステナブルな行動には、若年層がリードしている分野もあったという。特に地域文化や先住民コミュニティ、野生生物の保全を学ぶなどでは、その傾向が見られた。過去12月間に地域の先住民と交流したり、その文化を学んだりするツアーやアクティビティに参加した人の割合は、Z世代が31%でミレニアル世代が29%と、X世代(23%)、ベビーブーム世代(18%)を上回った。地域の生態系や野生生物の保全・維持に貢献するツアーやアクティビティに参加した人の割合もZ世代が24%でミレニアル世代が23%と、X世代(16%)とベビーブーム世代(9%)を上回った。
異常気象は旅行者の全世代に共通する懸念事項
サステナブルな旅行に対して意識と実際の行動に世代差はあったが、異常気象に関しては全世代で重要な検討要素になっていることがわかった。全回答者の約4分の3が旅行先(世界:74%、日本:68%)と時期(世界:74%、日本:65%)を決めるときに異常気象のリスクを考慮しており、世界中の旅行者の68%(日本の旅行者:63%)が異常気象で知られる目的地を意識的に避けて、55%(日本の旅行者:62%)が旅行の予約時に異常気象にストレスを感じていると回答している。55%(日本の旅行者:55%)は、予測困難な天候で旅行のタイミングを見極めることが難しくなっていると実感しているという。
注目点としては、世界全体の旅行者の約3分の1(世界:31%、日本:16%)が、過去12か月間に異常気象や自然災害(高温、嵐、山火事、洪水など)を理由に旅行計画をキャンセルまたは変更していたことだ。全回答者の半数以上(世界:55%、日本:48%)は、訪問予定の時期に目的地が暑くなりすぎていたために旅行を断念していた。52%(日本の旅行者:42%)は、異常気象や自然災害に関する報道を受けて、特定の目的地を旅行先の候補から外していたという。『ブッキング・ドットコム』が18か国のホテルと宿泊施設3715軒を対象に実施した調査では、24%が2025年に異常気象による運営上の影響を経験しており、そのうち約4割は熱波や嵐など現在直面しているか潜在的な気候関連リスクに対応するために、運営方法の見直しを行っていた。
サステナブルな旅行への理解も拡大
宿泊施設によるサステナブルな取り組みは、全世代で重視されていることもわかった。今後12か月以内にサステナビリティ認証を取得した宿泊施設への滞在を予定していると回答した割合は、ベビーブーム世代(35%)、X世代(35%)、ミレニアル世代(36%)、Z世代(35%)と、すべての世代で3分の1を超えた。こうした意識は行動にも表れており、最近公表されたデータでは世界全体の旅行者の43%(日本の旅行者:40%)が過度に混雑した観光地を避ける予定で、前年比で11%も増えていた。さらに42%(日本の旅行者:49%)がオフシーズンに旅行する計画で、25%(日本の旅行者:15%)がより涼しい気候の目的地を選ぶ意向があった。比較的落ち着いた目的地を選ぶ旅行者の44%(日本の旅行者:39%)は、オーバーツーリズムの一因になることを避けたいと考えており、オフシーズンに旅行を計画している人の37%(日本の旅行者:24%)は、旅行先への負担を軽減したいと考えていた。
『ブッキング・ドットコム』のサステナビリティディレクターであるDanielle D’Silva氏は、次のようにコメントしている。「今年の『サステナブル&トラベル』に関する調査では、よりサステナブルな旅行のあり方に対する考え方は世代によって異なる一方で、異常気象への適応や意識的に混雑を避ける行動が、今やすべての世代に共通する新たなスタンダードとなっていることが明らかになりました。私たちは、旅行者がすでにさまざまな形でよりサステナブルな旅行を実践しており、今後もその取り組みを継続しようとしていることを心強く感じています。例えば2025年には、『ブッキング・ドットコム』プラットフォーム上で第三者機関によるサステナビリティ認証を表示しているパートナー施設において、1億泊以上が予約されました。また旅行中の移動に公共交通機関を利用したり、電気自動車をレンタルしたりする旅行者や、より涼しく落ち着いた目的地を選ぶ旅行者もいます」
異常気象やオーバーツーリズムの問題は、そこに住む人たちだけでなく訪れた人にも影響が大きい。サステナブルな旅行を重要視する傾向は、旅行が地域社会や環境に与える影響への理解が広がっていることの証明といえそうだ。
『2026年版「サステブル&トラベル」に関する調査』概要
調査対象:世界35の国と地域の3万2500名の回答者(内訳:アメリカ1000名、カナダ1000名、メキシコ1000名、コロンビア1000名、ブラジル1000名、アルゼンチン1000名、オーストラリア1000名、ニュージーランド500名、インド1000名、中国1000名、香港1000名、タイ1000名、シンガポール1000名、台湾1000名、ベトナム1000名、インドネシア1000名、フィリピン1000名、韓国1000名、日本1000名、スペイン1000名、イタリア1000名、フランス1000名、スイス500名、イギリス1000名、アイルランド1000名、ドイツ1000名、オランダ1000名、ベルギー1000名、デンマーク1000名、スウェーデン1000名、クロアチア1000名、ギリシャ500名、アラブ首長国連邦500名、南アフリカ1000名、ケニア500名)
参加回答者の条件:18歳以上、過去12か月以内に1回以上旅行をしていること、2026年に旅行を予定していること、旅行に関する意思決定を行う立場にある、もしくはその意思決定に関与していること。
各世代の年齢区分は、Z世代:18歳~28歳、ミレニアル世代:29歳~44歳、X世代:45歳~60歳、ベビーブーム世代:61歳以上
調査時期:2026年1月にオンラインで実施
パートナー調査:オーストラリア、オーストリア、ブラジル、中国、クロアチア、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、ポルトガル、スペイン、タイ、イギリス、アメリカの宿泊施設パートナー3715軒が対象。2026年2月3日から2026年2月16日にかけて実施
https://news.booking.com/ja
構成/KUMU




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