LIXILはこのほど、継続的な浄水研究の成果として、毎日の水道水のシャワーが「月1回のブリーチ」と同等の毛髪ダメージを与える可能性があることを発見した。
研究背景と目的
LIXILでは、水道水に含まれる残留塩素が肌や髪に与える影響と、それを除去した浄水の有用性について研究を続けている。前回の研究(2025年4月発表)では、残留塩素が毛髪の「タンパク質」を酸化させ、表面(キューティクル)から内部(コルテックス)まで損傷させる過程を報告した。
今回は、毛髪のうるおい(水分保持)の要でありながら、これまで残留塩素の影響が不明であった毛髪内部の「細胞膜複合体(CMC)」の構成要素の一つである脂質に着目した 。日常の洗髪における残留塩素が内部脂質に与える経時的な影響を調査し、さらに毛髪に強い化学的負荷を与える「ブリーチ剤」との比較検証を行った。
研究概要
水道水程度の濃度の残留塩素でシャワー暴露した化学処理をしていないアジア人毛髪について、毛髪水分の蒸散率を測定した(下図1)。また顕微フーリエ変換赤外分光光度計(顕微FT-IR)のマッピング機能を用いて、毛髪内部の経時的な脂質損傷について測定した(下図2)。
対照として、浄水カートリッジで残留塩素を除いた「浄水」および毛髪損傷の一因とされる「ブリーチ剤」で処理した毛髪についても同様の検証を行い、比較した。
図1:毛髪水分蒸散率の測定
図2:顕微FT-IRと経時的な測定
今回の結果からの考察
(1)残留塩素のダメージにより、髪の保水力が著しく低下
実験の結果、残留塩素やブリーチによって、毛髪の「水分蒸散率」が増加し、水分が逃げやすくなっていることが判明した(図1)。
図1.各処理における毛髪水分蒸散率の経時変化
(2)水道水(残留塩素)」は「月1回のブリーチ」よりも脂質を疎化させる
残留塩素水を暴露した毛髪は、わずか1ヶ月目から脂質組織の疎化(減少)が進行し、3ヶ月目以降には髪の内部のコルテックス領域において広範囲な脂質減少(空洞様の変化)が確認された(図2)。
この脂質の減少スピードは、ブリーチ処理を継続した毛髪よりも顕著であり、日常の残留塩素が髪内部に与える蓄積ダメージが大きいことがわかった(図3)。また詳細なデータ解析により、「脂質の喪失(疎化割合)」と「水分蒸散率の上昇」には高い正の相関関係があることが判明し、残留塩素が髪の乾燥を招く直接的な外的因子になり得る可能性が示された(図4)。
図2.各処理における脂質分布の経時変化
図3.各処理における脂質の疎化割合
図4.毛髪水分蒸散率と脂質疎化の相関性
(3)浄水はこのダメージを抑制
一方で、残留塩素を除去した「浄水」の場合、6ヶ月相当暴露しても、毛髪の脂質の疎化や水分蒸散率の増加はほとんど認められなかった。日常のシャワーの水を浄水に変えるだけで、内部脂質の損傷と保水力低下を未然に防ぎ、髪本来のうるおいを維持する上で有用であると示唆された。
研究まとめ
今回の研究により、「毎日浴びる水道水そのものが、髪の保水力や内部脂質に影響を与え、ブリーチ以上のダメージ要因になり得る」という可能性が示唆された。この結果から、LIXILでは、毎日の洗髪の中で髪を傷つける外的因子の一つをあらかじめ取り除く「浄水習慣」こそが、髪本来の美しさを維持するための本質的なヘアケアであると考えている。
出典元:株式会社LIXIL
構成/こじへい




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