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生成AIで制作された広告は購入や利用喚起にどこまで影響を与えるのか?

2026.06.29

生成AIの急速な精度向上と活用拡大により、広告業界では生成AIと実写の使い分けなどの利用法は重要なテーマになっているという。生成AI活用のメリットとリスクを適切に把握することは、広告クリエイティブ制作でも大切な要素といえるだろう。

テレビを含む動画ビジネスに関するデータ&システム会社のビデオリサーチは、同社の生活者に関するシンクタンク「ひと研究所」で生成AIを使って制作した広告クリエイティブが広告効果に与える影響について調査した『AI画像広告調査』の結果を公開した。

この調査は、ファストフード/ミネラルウォーター/旅行の3つの商品カテゴリーを想定して、実在のブランドや商品と無関係な架空の広告クリエイティブを使って、生成AIで制作した画像を使った広告と実写画像を使った広告を比較して影響を検証したものだ。

各カテゴリーは、次のような内容の広告クリエイティブが設定されている。

・ファストフード:男性がハンバーガーを頬張る様子を描いたクリエイティブ。
・ミネラルウォーター:女性がペットボトルのミネラルウォーターを飲む様子を描いたクリエイティブ。
・旅行:女性が帽子を片手に、リゾート地を散策する様子を描いたクリエイティブ。

それぞれのカテゴリーで2種類の広告クリエイティブを制作している。

・実写広告:フリー素材の写真画像をもとに制作した広告。
・AI画像広告:同一の写真画像を生成AIに読み込ませて再現した画像を使用した広告。

キャッチコピーやロゴなどのクリエイティブ要素は、すべて両広告で共通にして写真画像のみを変数として設定。この条件下で広告効果(購入・利用喚起)を中心に実写広告とAI画像広告の比較分析している。

実写広告を「AI画像広告」と誤認した人が最大7割

「生活者は実写広告とAI画像広告を見分けられるのか」を検証するために、6種の広告からランダムに1枚のみを提示して、広告評価を質問した後に提示された広告が「実写広告」か「AI画像広告」か質問すると、AI画像広告を提示した場合に正しく「AI画像広告」と認識した人は約6割から7割程度だった。

内訳は、ファストフードが62.7%、ミネラルウォーターが56.1%、旅行が72.8%だった。実写広告を提示した場合も最大で約7割が「AI画像広告だった」と認識した。こちらの内訳は、ファストフードが60.5%、ミネラルウォーターが45.8%、旅行が71.4%だった。実写広告とAI画像広告の判別は、見た人にとって容易ではないことが浮き彫りになった。

「AI画像広告」と認識すると購入・利用喚起が低下

実写広告とAI画像広告の購入や利用喚起などの広告効果については、実際にAIで制作されたかどうかに関わらず、「AI画像広告だと思った人」は広告効果スコアが低下傾向だった。調査では「購入・利用喚起」を1:まったく購入・利用したくない~7:ぜひ購入・利用したいの7段階で点数化して集計して評価した。

回答者を(1)提示された広告を「実写広告だった」と認識したグループ、(2)「AI画像広告だった」と認識したグループに分類して比較すると、実写広告・AI画像広告のいずれも「AI画像広告だった」と認識したグループのほうが購入・利用喚起スコアが低い傾向が見られた。

この傾向は「広告の印象度」や「好意度」などの指標でも同じような結果になり、AI画像広告が「AI画像広告である」と認識される時以外にも実写広告が「AI画像広告である」と誤認された場合も広告効果低下につながる可能性があるようだ。

AI画像広告の判別要因の最多は「全体的な違和感」

AI画像広告を正しく判別できた人がどんな要素を手がかりに判断したかでは、ファストフードやミネラルウォーターのように「人物」や「商品」が中心となるクリエイティブでは、人物の肌の質感(ファストフード:18.8%、ミネラルウォーター:26.9%)、人物の表情や目(ファストフード:15.0%、ミネラルウォーター:23.5%)、背景の構造、色味や質感などの要素が上位だった。

旅行広告のように背景が主となるクリエイティブでは、背景の構造(30.1%)、背景の色味・質感(23.3%)、画像全体の色味(22.7%)などがAI画像広告と判断する材料だった。すべての商品カテゴリーに共通したのは、「全体的に何となく違和感がある」といった理由で4割以上が該当した。明確な要素だけでなく、漠然とした印象からAI画像広告を認識しているケースが多いようだ。

生成AI活用で「広告が画一的になりそう」と約3割が懸念

広告クリエイティブ制作の生成AI活用に対して生活者意識は、「同じような広告ばかりになりそう」といった広告の無個性化を懸念する声が約3割(29.6%)もあった。そのほかにも「手を抜いていると感じる」(20.2%)や「品質や信頼性に不安がある」(19.9%)といった意見もあった。ポジティブな意見では、「先進的だ」(24.5%)や「柔軟な考えだ」(23.2%)といった評価もあった。広告を見る側の受け止め方としては、まだAI画像広告に対して懸念と期待が混在しているようだ。

AI画像広告を正しく認識できていない人も多い結果はあったが、今後は実写の代替として生成AI画像を使用する場合は、見る側の人に「AI画像広告だ」と認識されないほど精巧なものを作ることが広告効果の観点から重要になりそうだ。実写広告を用いる時に「実写であること」をあえて明示・強調することで、AI画像広告との差別化要素として有効に働く可能性もありそうだ。

一方で生成AI画像の広告に「先進性」や「柔軟な考え」などのイメージを持つ人も一定数いたので、家電やAIサービスなどは、AI画像広告であること自体が肯定的にみられる可能性もある。生成AIによる画像表現の精度が急速に向上しているが、AI画像か実写のどちらかを選ぶことが広告価値を向上させる要因にもなりそうだ。

『ひと研究所 AI画像広告調査』概要

調査対象者:15歳~69歳の男女
調査エリア:全国
実施時期:2025年12月5日~2025年12月6日
サンプル数:2593
調査方法:ウェブ調査
商品カテゴリー関与条件:
・ファストフード広告提示グループ:ハンバーガーショップなどのファストフード店を3か月に1回以上利用
・ミネラルウォーター広告提示グループ:200mlから500ml程度のペットボトル入りの水(ミネラルウォーター・天然水)を3か月に1回以上飲用
・旅行広告提示グループ:5年に1回以上宿泊旅行に行く

出典:「ビデオリサーチ ひと研究所調べ(2025年12月AI画像広告調査)」

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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