たくさんの人とつながり、豊かなコミュニケーションを体験できるSNS。しかしその一方、膨大な情報に溺れ、終わることのない刺激に疲れを感じてしまう人も多いことだろう。
株式会社事業家集団が全国の10代~50代の男女を対象に「幸福度が下がるSNS」に関する調査を行ったところ、約半数が「SNSで幸福度が下がった」と回答。また、他人の「収入・キャリア」と比べて落ち込む人が4割超という結果に。
生活を豊かにするためのツールが、誹謗中傷や不満に溢れ、ネガティブな感情を引き起こす要因にもなっている。
なぜ読書に特化したアプリが人気なのか?
そんな今、安心感と心地よさに満たされる上、余暇の時間をゆるっと楽しめるSNSが話題だ。その名は「Reads」。
好きなスタイルで読書記録を投稿する画期的SNS。見知らぬ人の本棚を楽しむように、タイムラインには気になっていた本や出会うことのなかった一冊が並んでいる。本が好きな人たち同士でつながることができる、読書に特化したアプリだ。
「心穏やかに過ごせる広場のような場所を目指した」というSNSは、「いいね・フォロー/フォロワーは数値化されない」、「リポストはない」、「読了しなくても記録に残せる」など、何かに縛られることなく始められる。とにかくユルくてやさしい。
スタートは2025年3月。わずか1ヶ月で2万ダウンロードを記録し、現在もユーザーは増え続けている。もちろん筆者もその一人だ。
「始めてから1年が経ちましたが、静かで穏やかで心地のいい場所ができているのではないかなと思っています。ユーザーの方から「これまでよりも読書が気軽なものになった」とうような声をいただくと、我が意を得たり、という気持ちになったりしています」
そう話してくれたのは、本の読める店「fuzkueフヅクエ」を運営し、「Reads」を開発した阿久津さん。
そもそも、なぜ読書に特化したアプリを始めようと思ったのか?
「ある本の存在を知って興味を持ったとき、本屋さんで買ったとき、ワクワクしながら読み始めたとき、読んでいる途中という、その時々に読書の言葉があると思っているのですが、そういう言葉たちに居場所を与えることができたら、それはきっと豊かなことだし、「読み終えなければ」とか「気の利いた感想を残さないと」みたいな、読書に感じられがちなハードルを下げることや、ひいては読書の裾野を広げるにも貢献しうるのではないかと考えたためです」
そこから生まれた「Reads」には、よくあるSNSにはない空気が流れている。
特徴としては、「気になる」「買った」「読み始めた」「読んでる」「読み終わった」「ふと思い出した」など好きなタグを付けられる自由で身軽な読書記録。
また、読んでいなくても投稿できる。つまり、「積読」も片っ端から記録できる。
そして、一行だろうが感想だろうが日記だろうがなんでも書ける。
読書を自分らしく楽しめるSNSだ。
さらに、一般ユーザーだけでなく、書店や出版社アカウントの投稿だけが流れてくるタイムラインも誕生。全国の小さな書店から、出版社の推しの一冊をチェックできる点も魅力だ。
「Reads」は読む人にも、つくる人・届ける人にも意義のある、豊かで大きな読書の広場にしていきたい。阿久津さんのそんな想いが溢れている新たなSNSは、今後どんな進化を見せていくのか?
「たくさんのフィードバックの声をいただいてきた中で、「見たい読書記録の形」というのは本当に人それぞれだ、ということを学んだため、それぞれの好みに応じて表示をカスタマイズできるような読書記録画面をつくりたいと思っているところです」
ユーザーにおすすめしたい「Reads」の楽しみ方、より読書を満喫できる使い方とは?
「買ったとき、読み始めたとき、読んでいる途中途中のちょっとしたメモとかを残していくと、ある本との日々が可視化されていく感じがあって楽しいと思います」
すべては、幸せな読書の時間の総量を増やすために
読書を愛し、読書を自由に楽しみたい人のためのアプリを開発した阿久津さん。学生の頃から読書は日常的で当たり前の習慣だったという。ちなみにどんな本が好きなのか、お聞きすると、
「最近はずっとフォークナーを読んでおり、その中でも『アブサロム、アブサロム!』が強烈でした。ここ数年はトーマス・ベルンハルトが好きで『消去』『石灰工場』『アムラス』『推敲』が印象に残っています」
そんな阿久津さん、ずっと思っていたことがあった。
『読書はどこでもできるのに、読書を本当に歓迎してくれる場所がない』
『映画には映画館があるのに、読書にはそれに対応する場所がないのは何故だろう』
だから作ってしまった。そんな店を。
ひとつのところに腰を落ち着け、時間を忘れて読みふける、読書好きな人にとって理想の場所が生まれたのは2014年。東京・初台に本の読める店「fuzkue(フヅクエ)」をオープンした。
現在は下北沢、西荻窪にも店舗を構え、2026年からは福岡の大橋にも誕生(西荻窪・大橋はフランチャイズ店)。本と向き合いひとりの時間を楽しめる場所として人気を博している。
「普通の喫茶店などでは周りがうるさくて集中できなかったり、そろそろ追加しなきゃとか、そろそろ出たほうがいいかなとか、そういう気兼ねがどうしても生じちゃうなと。ですがフヅクエは、『ここにいていい、この歓迎はずっと続く』という確信を持って居続けられる読書の居場所。そんな空間だと思っています」
そんな「フヅクエ」には心地よく読書に浸るためのルールがいくつか存在する。
ちょっと読み疲れたり、体を伸ばしたいと思ったときには、断りなくぷらぷらしてきてもOK。(貴重品の管理だけお願いいたします)
また、時間を気にせず読書に没頭したい時には「この時間になったら教えて」と店員さんに頼めるとか。
それと、音が響くようなペンの出し入れが気になる方も少なくないため、ペンの取り扱いに少々気をつけてもらうなどのお願いも。
すべてはちょうどいい静けさを保ち、気兼ねなく過ごしてもらうため。
「ここにいていい、この歓迎はずっと続く」と思える居場所がここにある。
オープンから10年以上経ち、想像以上の広がりを見せる「フヅクエ」。
中には、11時間過ごした方もいらっしゃるという。
個人的に魅力に感じたのは、普通の喫茶店以上に豊富で本格的なフードやドリンクメニューの数々。
「気持ちよく読書をして過ごす、ということを提供する価値の真ん中に置いたときに、飲食的な欲求は人それぞれ。おいしいコーヒーやケーキから、野菜たっぷりの定食、お酒までひとつひとつ真面目に用意しています」
「お菓子類の持ち込みもできますので、お気に入りのスイーツを食べながらの読書もおすすめです」
“幸せな読書の時間の総量を増やす”というミッションを実現すべく始まった、本の読める店フヅクエ、そしてSNS「Reads」。
どちらも、豊かで楽しい読書の広場であることは間違いない。
そんな空間を提供する上で大切にしているキーワードがある。それは『敬意』。
「どうせ同じ時間を過ごすなら、嫌な気分であるよりは気持ちよくあったほうが総じて気持ちよくていいよね、と考えているのですが、そのために最低限みんなで持ち寄る必要があることが敬意だと思うんです」
「電車でも映画館でも、嫌なことが生じるときにはなんらかの形で敬意の空気が希薄になっているときだと思います。負担のない範囲で他者を気遣う、みたいなことは、気持ちのいい場をつくるために必要なことだなと思っています」
今まであるようでなかった読書のための空間、そして現在絶賛進化中のSNS「Reads」。これからもさまざまな仕掛けで新たな本の楽しみ方を提案してくれることだろう。
取材協力
本の読める店「fuzkueフヅクエ」
読書のSNS&記録アプリ「Reads」
フヅクエ公式X @fuzkue
文/太田ポーシャ







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