ナフサは原油から作られる液体で、プラスチックや衣類、医療資材などの原料です。本記事では、ナフサの基本知識や身近な製品との関係、不足による生活への影響などを解説します。
目次
イラン情勢を受けて、緊迫したニュースが続いてきた2026年の上半期、ナフサという言葉をニュースで見聞きするようになりました。突然湧いて出たようなワードで「ナフサって何?」「何に使われるものなの?」と感じる方は多いのではないでしょうか。しかし、ナフサは私たちの暮らしに深く関わっているものです。
この記事では、ナフサとはどんなものなのか、基本的な知識やナフサからできるもの、供給不安による生活への影響まで、わかりやすく解説します。
ナフサとは?簡単にわかりやすく解説
まずは「ナフサって何?」という根本的な疑問から紐解いていきましょう。化学の難しい話は抜きにして、できるだけイメージしやすいように整理します。
■ナフサは原油から作られる石油化学の原料
ナフサとは、原油を精製する過程でできる石油製品の一種です。透明から薄い黄色の液体で性質はガソリンに近く、粗製ガソリンとも呼ばれています。
原油からガソリン、灯油、軽油などが作られるというのは広く知られていますし、どの製品も耳馴染みがあるでしょう。実は、ナフサも同じ過程で原油から生産されています。でもナフサという言葉は初耳、という方は多いはず。それもそのはず、ナフサは他の製品のように「燃やす燃料」ではなく「別の製品に生まれ変わる材料」という位置づけで、私たちが生活の中で直接使っているわけではないのです。そのため、あまり馴染みがないように感じるんですね。
しかし、小麦そのものを直接見る機会はなくても、小麦粉やパン、パスタなど小麦製品が身近にあるように、ナフサも姿を変えて私たちの生活に大きく関わっています。
■ナフサに化学式はある?
ナフサに化学式はあるのか?結論からいうと、ナフサには特定の化学式はありません。単一の物質ではなく、複数の炭化水素が混ざった混合物だからです。炭化水素とは、炭素と水素を中心にできた物質のことです。「ナフサ」という1種類の物質ではなく、何種類もの炭化水素が混ざったもの、と考えると、高校時代は化学が苦手すぎて文系を選択した私でもわかるので、イメージがつかめるのではないでしょうか。
■ナフサとガソリンの違い
原油から作られる透明な液体、高い揮発性があり、複数の炭化水素が混ざった混合物。これだけ聞くと、ナフサはガソリンとよく似ています。しかし、安定して燃えるように成分が調整されて燃料に適しているガソリンに対し、ナフサは熱分解しやすい性質があり、石油化学製品の原料を取り出すのに適しており、プラスチックや合成繊維などの材料づくりに利用されています。
同じ家(原油)から生まれた兄弟のような関係だけど、兄(ガソリン)はエネルギーに、弟(ナフサ)は生活用品になり別々の道を進む、といった感じですね。どちらも、私たちの生活に欠かせない存在です。
ナフサは何に使う?ナフサからできるもの
ナフサが「モノの材料」だということがわかったところで、次は具体的に「何に使われるのか」を見ていきましょう。私たちの家の中を見渡すと、ナフサからできているものの多さに驚くかもしれません。
■プラスチックや服に大変身!身近な日用品の多くはナフサ由来
ナフサからできるものの代表が、プラスチックです。たとえば、食品トレーやラップ、ゴミ袋、洗剤のボトルなど、キッチンだけでも多くのプラスチック製品があります。他にも、お菓子のパッケージや子どものおもちゃ、パソコンやマウスの外装、スマホケース、洗濯ばさみにハンガーなどなど。いま私がこうして見渡した範囲にも、数え切れないほどのプラ製品がありました。我が家では、1週間で出るごみも、燃えるごみよりプラごみの方が多いです。それだけ、生活の中で多くのプラ製品を使っているんだなと改めて感じます。
また、ポリエステルやナイロン、アクリルなどの合成繊維も、ナフサを原料として作られています。軽くて丈夫、すぐ乾くといった便利な現代の衣服は、ナフサのおかげで成り立っています。
■自動車や家電にも!産業を支えるナフサの役割
日用品だけでなく、もっと大きくて頑丈な製品にもナフサは使われています。
自動車では、タイヤをはじめワイパーや内部の見えない部分でも多くの合成ゴムが使われており、この合成ゴムもナフサから作られる化学物質がベースになっています。車といえば、原油から生まれた兄、ガソリンが動かしていますが、ボディは弟ナフサが支えているんですね。原油兄弟の時を超えた再会、尊いです(笑)。
また、テレビや冷蔵庫、洗濯機などのプラスチックボディ、エアコンの内部パーツや住宅の断熱材、外壁塗料など、現代のあらゆる家電製品や工業製品、建築資材にもナフサの力が組み込まれています。
■医療現場でも大事な存在!命を救う道具の原材料
ナフサ由来の素材は、医療現場でも使われています。たとえば、注射器の一部、点滴バッグ、薬の包装材、ゴム手袋、マスクやガウンなどです。そして、その多くが衛生上の観点から単回使用製品であるため、多くのナフサ由来製品が消費されています。
現代のクリーンで安全な医療体制の一部は、実はナフサによって支えられています。今まで知られていませんでしたが、ナフサは命に直結する重要な役割を担っているのです。
ナフサが不足したら?日本の現状と私たちの生活への影響

さまざまな形で私たちの暮らしを支えているナフサですが、2026年にイラン情勢の影響を受け、ナフサの供給不安が報じられるようになりました。もし本当にナフサが不足してしまったら、私たちの生活はどうなるのでしょうか。
■なぜナフサ不足が起きる?世界情勢と日本の輸入事情
日本でナフサ供給が不安視される背景には、イラン情勢をめぐる中東地域の緊迫化があります。資源の乏しい日本では原油やナフサの多くを海外に頼っており、なかでも中東地域は重要な調達先のひとつです。そのため、ホルムズ海峡など輸送ルートに不安が出ると、価格や調達に影響が及んでしまいます。
また、ナフサが足りないなら国内で原油をもっと精製すればいい、というほど簡単でもありません。原油を精製すると、ナフサだけでなくガソリンや軽油、灯油なども一緒にできるため、ほかの石油製品との需給バランスや保管場所の問題が出てきてしまいます。そのため、ナフサだけを都合よく増やすことは難しく、国内精製だけでなく輸入や在庫の活用も含めて需給を調整する必要があるのです。
■ナフサ不足で何が変わる?価格や包装への影響
ナフサが不足することで、どんなことが起こるのか?ニュースなどで報道されている変化のひとつが、パッケージの簡素化です。大手食品メーカーでは、印刷インクの調達が不安定になったため、一部商品の包装に使うインクの色数を減らす対応が発表されました。その他、自動車産業や工業製品全般においても、ナフサ由来製品の調達難が問題視されています。
私はまだ白黒ポテチは見かけていませんが、小さなところで「ナフサ不足の影響?」と思うことがありました。近所に養鶏所直売の卵の自動販売機があり、以前はすべてプラスチックパックだったのが、最近は一部の卵に紙パックが使われるようになったのです。もちろん、理由の断定はできませんが、もしかしたらこうして少しずつ日常のいたるところが変わっていくのかも、と思いました。
ナフサ由来製品が品薄になると、価値が高まって価格が上昇する可能性があり、そうなると店頭価格も上がる恐れがあります。ただ、ここ数年は食品も日用品も原材料費や人件費高騰を受け値上がりが続いているため、ナフサ不足の影響だと実感するのは難しいのが正直なところです。
■買いだめは逆効果!冷静な判断と適量の調達を
ニュースで「供給不安」や「品薄」などという言葉を聞くと、心配になり買いだめしたくなる方もいるかもしれません。「ゴミ袋が買えなくなるかも」「ラップがなくなったら困る」と思う気持ちはわかります。ですが、こうした買いだめ行為は、流通を混乱させて本当に必要な人に物資が行き届かなくなる原因になり、逆効果です。私たち消費者に求められるのは、デマや過度な不安に流されず、いつも通りの冷静な判断で必要な分を適量調達する丁寧な暮らしの姿勢です。
過去、紙オムツ不足は布おむつで、マスク不足は手作りマスクで乗り切った私。何かが不足しても、不要な買いだめはせずに工夫することを心がけています。ゴミ袋が品薄ならゴミを減らす努力、ラップを使わないように食材を余らせない工夫など、置かれた状況に対応していこうと思います。
まとめ
ナフサは、食品包装や衣類、医療資材など身近な製品を支える大切な原料です。一方で、限りある資源から作られるものでもあります。思わぬ形で知ることになったナフサの存在ですが、これを機に必要なものを必要な分だけ買う、包装や使い捨てを減らすなど、暮らしの中でできるエコにも目を向けると、ただの「物価高への対策」が「地球に優しい未来への一歩」へと変わっていきます。
文/SUGU-SUGU







DIME MAGAZINE












