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ココさえ見ればOK!ITジャーナリストに聞く「AIガジェット選び」の必須条件

2026.07.17

画像認識や音声認識ができる、AIガジェットが急増している。主役はもはやハードウェアではなく、AIによって提供されるその先のサービスになりつつある。最新事情と選び方を、ITジャーナリストの西田宗千佳さんに聞いた。

西田宗千佳さん

ITジャーナリスト 西田宗千佳さん
1971年福井県生まれ。PC・デジタルAV・家電・AIなど「電気かデータが流れるもの全般」を専門に、最新テクノロジーや業界動向を取材。主要新聞・ウェブ媒体に寄稿。著書に『メタバース×ビジネス革命』(SBクリエイティブ)など。

同じモデルをベースにしつつ使いやすさで差別化

 スマートグラスやレコーダー、イヤホンなど、バックグラウンドでAIを活用する「AIガジェット」が、急増している。

 これらの製品の主役は、必ずしもハードウェアではない。カメラが付いたグラスも、マイクが備わったイヤホンも、製品としては以前からあったもの。ここ数年で一気に進化した生成AIモデルとそれらが結びつくことで、今、新たな価値が生み出されている。

 例えばカメラ付きグラスと、画像を認識できるAIが結びつくことで、AIが〝目〟を獲得。「今見えているものが何か」をリアルタイムに答えられるようになったり、目にしている文字の翻訳ができるようになった。

 こうしたグラスの火付け役は、2023年10月に初代モデルが発売され、今年5月から日本でも展開されている『Ray-Ban Meta』と話すのは、ITジャーナリストの西田宗千佳さんだ。「米国で『Ray-Ban Meta』が売れたことと、フロンティアAI(生成AIモデル)の進化、APIの一般化が、最近多くの製品が登場している背景にある」という。

「ベースとなっている生成AIモデルを作れるのは、OpenAIやGoogle、Anthropicなど、巨額の資金を投じられる一部企業だけ。私たちが手にするガジェットの多くは、メーカーがそれらのAPIを活用して、使いやすい仕組みをかぶせ、製品やサービスとしての価値を出したもの」とも指摘する。

Google

Googleはカメラとディスプレイを搭載するスマートグラスを試作。イベントでGeminiによる翻訳やナビがデモされた。

製品選びで見るべきはサービスとしての条件

 大元の頭脳ともいうべき、生成AIのモデルが同じだとすれば、私たちは何を基準に製品を選べばいいのだろうか。西田さんは「安心して長く使いつづけられるか、サービスの利用条件に着目すべき」だとアドバイスする。「データの扱いが明確か。録音した情報を学習に使用しないなど、機密の扱いが契約で示されているか。仕事で使うならシャドウAIの落とし穴にも注意しなければならない」と話す。AIガジェットの多くは、スマホアプリなどを通じて、データをネットに送って処理している。カメラが捉えた映像や、録音した音声が生成AIモデルの学習に使用されれば、機密が漏れる可能性があることは、こうしたガジェットを使用する際に、常に頭の片隅においておきたい点だ。

 一方で、「AIガジェットはまだ発展途上。どれを買えば、より進化が楽しめるかという観点で、製品を選ぶのも面白いと思う」と、西田さん。ベースとなっている生成AIモデルでできることが増えれば、製品も育つ可能性がある。買ったあとに価値が増す喜びは、AIの成長が著しい今ならではの醍醐味と言えるかもしれない。

「MWC 2026」

3月に開催された「MWC 2026」のクアルコムのブースには、『Ray-Ban Meta』をはじめ、同社のチップセットを搭載するスマートグラスがズラリと並んでいた。

AIガジェットは〝ポストスマホ〟となるか

 スマートフォンなどのチップセットを手がけるクアルコムは、今年3月、ウエアラブル製品向けの、最新チップセットを発表した。NPUと呼ばれる、AI処理に特化したプロセッサーを搭載するのが特徴。スマホやクラウドに頼らず、簡単なAI処理をウエアラブル製品単体でできるようになる可能性がある。スマートウオッチやスマートグラスなど、今後発売される新製品への搭載が期待される。エージェンティックAIの進化とあわせて、今年の後半以降、AIガジェットがより便利な製品へと変化する可能性大だ。

 長く、「ポストスマホ」となる製品は何かが語られてきたが、AIガジェットがそうなる可能性はあるのだろうか? 西田さんは「通信、操作、画面表示など、スマホがこなしている要素のすべてをカバーできるようなスマートデバイスは、まだ当分出てこないだろう」と言い切る。それでも「スマホを見る、タップする時間は減ってくる可能性がある」と話す。

 中心に依然スマホがあるという構図自体は変わらなくても、その役割の一部は手元のAIガジェットへと移りつつある。気づけばスマホはカバンに入れっぱなし──なんてことに、なっているかもしれない。

クアルコム

クアルコムは「MWC 2026」にあわせて、ウエアラブルデバイス向けの最新チップセットである『Snapdragon Wear Elite』を発表。NPUを統合し、20億パラメータのAIモデルを端末単体で処理できる。

『Project Aura』

Googleとタッグを組むスタートアップ・XREALが開発中の、Android XR搭載グラス『Project Aura』。Geminiを内蔵し、2026年末の発売が予定されている。

『Project Maxwell』

Motorolaのカメラ付きペンダント型AIデバイス『Project Maxwell』。『Snapdragon Wear Elite』を採用し、AIエージェント機能を搭載する。

取材・文/太田百合子 撮影/西田宗千佳 編集/千葉康永

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