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なぜ、ウェアラブルなのか?シャープが目指す新しい体験価値とデバイス競争からの脱却

2026.06.23

シャープは6月16日、新製品発表会を開催し、ハイエンドスマートフォン「AQUOS R11」、ならびに同社初となるウェアラブルデバイス「からだメイト Watch」および「からだメイト Ring」の3製品を発表した。いずれも7月9日より順次発売される。

AIカメラと癒やしの光「アカリウム」搭載。ハイエンドスマホ「AQUOS R11」

スマートフォンのハイエンドモデル「AQUOS R11」は、ライカカメラ社監修のトリプルカメラ(標準・広角・望遠)を搭載している。

特筆すべきはAIを活用したカメラ機能の進化で、新機能「スマートフィットズーム」により、AIが被写体までの距離を自動判別し、最適なズーム倍率に自動調整する。また、「プライバシーセーフ」機能により、撮影時に写り込んだ標識や看板の文字、マイナンバーカードの性別表記などをAIが自動で検出し、マスキングを施すことでプライバシーを保護する。

さらに、本体背面のカメラリング中央部には「アカリウム」と呼ばれる新機能が搭載された。これは通知や着信を穏やかな光で知らせるだけでなく、たき火や川のせせらぎといった自然の環境音(ヒーリングサウンド)と光が連動し、就寝前などに心地よい癒やしの空間を演出する機能である。

基本スペックとしては、ピーク輝度3600ニトを誇る高輝度Pro IGZO OLEDディスプレイを採用し、直射日光下でも視認性を確保する「スマートアウトドアビュー」を備える。

SoCにはSnapdragon 8s Gen 4を搭載し、5100mAhの大容量バッテリーと大型放熱部材により、長時間の安定稼働を実現している。SIMフリー版(512GBモデル)の直販価格は16万3900円となる。

摂取カロリーを“自動”で測定する「からだメイト Watch」

シャープ初となるスマートウォッチ「からだメイト Watch」は、健康管理に特化した画期的なウェアラブルデバイスだ。

米国HEALBE Corporationの特許技術を活用し、生体電気インピーダンスセンサーによって体内の水分の移動や糖の変化を読み取ることで、「摂取カロリー」を自動的に測定・記録する機能を持つ。

これにより、運動などによる消費カロリーと合わせた「カロリーの収支」を簡単に把握することが可能となった。また、体内の水分バランスもモニタリングし、水分補給が必要なタイミングで音と振動によるアラートを発する。

UIには独自の「サーキットビュー」を採用。朝は睡眠時間や天気、日中は歩数や消費カロリー、夜は翌日の予定など、ユーザーがその時間帯に知りたい情報を自動で切り替えて表示するため、自然な動作で情報を確認できる。ハンドソープでの洗浄にも対応しており、常に清潔に保つことができる。直販価格は5万9400円となる。

最長14日間駆動、着けっぱなしで睡眠をトラッキング「からだメイト Ring」

同時に発表された「からだメイト Ring」は、国内スタートアップのSOXAIの技術を活用したスマートリングである。加速度、心拍、血中酸素レベル、皮膚温度という4つの高精度センサーを搭載し、歩数や睡眠状態などのバイタルデータを自動で計測する。

重量はわずか2.1~3.1g、厚み2.8mmという非常に軽量でコンパクトな設計となっており、装着時のストレスを極限まで軽減している。外側には耐久性に優れたチタニウム素材を採用し、シチズン独自の「デュラテクトコーティング」を施すことで傷にも強い仕様となっている。また、高い防水性能を備え、各種洗浄剤やアルコール消毒にも対応する。一回の充電で最大14日間の連続駆動が可能なため、入浴や就寝時を含めて24時間着けっぱなしでのコンディション把握に適している。直販価格は4万2800円となる。

デバイス競争から「体験価値」への転換とエコシステム構築

今回、シャープが新たにウェアラブル領域へと参入した背景には、明確な事業方針の転換がある。スマートフォンの部品価格高騰や円安といった厳しい外部環境のなか、同社は単なるスペック競争や販売数を追うビジネスからの脱却を図っている。

発表会で強調されたのは、デバイス単体で何ができるかではなく、日々使う機器を通じて人に寄り添う「ライフスタイルブランド」への進化だ。

その中核を担うのが、今回発表されたスマホ・ウォッチ・リングの3製品と、それらのデータを一元管理するヘルスケアアプリ「からだメイト」からなる独自のエコシステムである。

アプリでは、月額600円の「Plusプラン」を用意し、管理栄養士監修のアドバイスを提供するなど、ハードウェアの売り切りから「ストック型ビジネス(継続課金)」への展開も視野に入れている。

さらに将来的には、これらウェアラブルデバイスで取得したパーソナルなバイタルデータを、同社の強みである総合家電(エアコンなど)と連携させ、ユーザーの体調に合わせた最適な空間制御を行うといった構想も語られた。

「数を追うのではなく、独自の体験価値を提供することでシャープのロイヤルカスタマーを増やす」。今回の新製品群は、激変する市場においてシャープが生き残るための、野心的な生存戦略の第一歩といえるだろう。

取材・文/佐藤文彦

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