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SNSで話題!群馬のローカルフード「焼きまんじゅう」が巻き起こす謎バズ

2026.06.22

群馬のローカルフード「焼きまんじゅう」が、いまSNSを中心に静かな注目を集めている。

焼いたまんじゅうに甘じょっぱい味噌だれを塗るという、素朴な郷土食。本来は地元の日常食として親しまれてきた焼きまんじゅうだが、近年はSNSでたびたび取り上げられ、「どこか懐かしく、それでいて新しいローカルフード」として再評価されつつある。

特徴的なのは、その受け取られ方の変化だ。群馬・前橋の老舗では、変わらない製法と味を守り続ける「伝統の焼きまんじゅう」として親しまれている。一方、高崎や沼田では焼きまんじゅうをパフェにアレンジしたメニューが登場し、「現代的なスイーツ」としてSNSなどで話題を集めている。同じ食文化でありながら、置かれる文脈によってまったく異なる価値が生まれているのだ。

なぜ今、焼きまんじゅうはご当地グルメの枠を超え、SNS時代における〝再注目される食文化〟として注目されているのか。老舗店と新しいスタイルの店舗を訪ね、その背景を追った。

なぜ〝地味な見た目〟がSNSで逆に映えるのか

焼きまんじゅうは、群馬県を代表する郷土食のひとつで、炭火で焼いたまんじゅうに甘じょっぱい味噌だれを塗って食べる素朴な料理として長く親しまれてきた。

その起源は幕末ごろとされ、前橋発祥説が有力といわれているが、地域ごとに異なる伝承も残っており、はっきりとした〝起源〟が存在するわけではない。

もともとは家庭の食文化や地域の暮らしの中から自然に広がった食べ物とされ、商業的に生まれたというよりも「生活の中で定着していった食」と考えられている。

現在では文化庁の「100年フード」にも認定され、長く地域に根付いてきた食文化として再評価されている。

こうした背景を持つ焼きまんじゅうの〝今〟を探るべく、まず足を運んだのが、前橋市の老舗店、『原嶋屋総本家』だ。

歴史を感じさせる店内で焼きまんじゅうを味わえるのは平日のみ(※土日は混雑のため店内利用不可)。前橋を代表する老舗焼きまんじゅう店として知られ、取材中も筆者に続いて次々と客が暖簾をくぐっていた。

1857年(安政4年)創業の同店は、群馬を代表する焼きまんじゅう店のひとつ。県内でも屈指の歴史を誇り、長年にわたって地元の人々や観光客に親しまれてきた。

店内で焼き上がったまんじゅうはふんわりとした食感で、一口頬張ると甘じょっぱい味噌だれの風味が口いっぱいに広がる。奇をてらわない王道の味わいで、まさに多くの人に愛され続けてきた理由が伝わってくる。

また、実際に目の前にすると、その大きさにも驚かされる。筆者も過去に何度か食べたことがあるが、久しぶりに見る焼きまんじゅうは想像以上の大きさで、「こんなに大きかっただろうか」と思わず目を見張った。

2本食べ切れるか少し不安になったが、味噌だれの甘さは意外にも後を引かず、気が付けばあっという間に完食していた。趣のある店内で味わったことも相まって、「これぞ群馬の味!」と言いたくなるような満足感があった。

高崎駅から徒歩圏内にあるオリタ。人気店として知られ、商品が売り切れることも少なくないため、訪問前に電話で確認するのがおすすめ。

次に訪れたのは、焼きまんじゅう店『オリタ』だ。テレビドラマ『孤独のグルメ』で紹介されたことで注目を集め、現在は地元客に加え、ドラマファンや観光客も多く訪れる人気店となっている。焼きまんじゅうを目当てに県外から足を運ぶ人も少なくないという。

ドラマで見たあの焼きまんじゅうを前にし、早速ひと口。すると、先ほどとはまた異なるコク深い味噌だれの風味が印象に残る表面は香ばしくカリッと焼き上げられている一方で、中はふんわりとしており、そのコントラストも印象的だ。

店主によると、味噌だれは手作りで、まんじゅうの原料にもこだわっているという。

店内では黒電話がひっきりなしに鳴り続け、次々と客が訪れる。地元で長く愛されてきた人気店であることが、その光景からも伝わってきた。

オリタの焼きまんじゅうは、お箸でいただくスタイル。濃厚な味噌だれのコクと、外はカリッと中はふんわりとした食感が魅力。見た目以上に食べやすく、つい箸が進む。

SNSが食文化をどう変えたか

実際に前橋と高崎の老舗店で焼きまんじゅうを味わうと、それは決して派手なスイーツでも、いわゆる〝映え〟を狙った食べ物でもない。むしろ素朴で、どこか懐かしさの残る、極めてローカルな食体験だ。

にもかかわらず、SNS上ではこの〝地味さ〟こそが切り取られ、拡散されている。食べた瞬間の驚きというよりも、「見たことがあるのに、改めて気になる」という感覚が先に立つのが特徴だ。

ではなぜ、焼きまんじゅうのようなローカルフードが、いまのSNS環境で〝語られるコンテンツ〟として成立しているのか。その理由は、大きく三つの視点から整理できる。

まず一つ目は、「見た目のシンプルさが逆に目を引く」という点だ。

華やかなスイーツが並ぶタイムラインの中で、焼きまんじゅうのような素朴な見た目は、むしろ異質な存在として浮かび上がる。炭火の焦げ目や味噌だれの質感といった〝素のままの情報〟が、SNSで共有される写真や動画の中で、かえって印象を強めている。

二つ目は、「味が想像しやすい」という点だ。

焼きまんじゅうは、インパクトのある味覚で語られるというより、祭りや観光地、子どもの頃の記憶と結びついた食べ物として記憶されている。甘じょっぱい味噌の香りや味わいは、多くの人がなんとなく思い浮かべることができ、そのためSNSでも、「食べたことがある」「懐かしい」といった共感を呼びやすく、話題が広がりやすい。

三つ目は、「ローカルフードが新しい形に生まれ変わっている」という構造だ。

その象徴が、「焼きまんじゅうパフェ」である。伝統的な焼きまんじゅうとは異なり、スイーツとしてアレンジされたこのメニューは、郷土食を現代の感覚で楽しめる一品といえる。同じ焼きまんじゅうでありながら、文脈を変えることで新たな価値を生み出しているのだ。

こうした現象を踏まえると、焼きまんじゅうのSNSでの拡散は、単なるご当地グルメの話ではない。むしろそれは、「食べ物がコンテンツとして形を変える時代」の象徴的な事例だといえるだろう。

ローカルフードが〝コンテンツ化〟する時代

最近では、沼田市にある『ほたかや』の名物「焼きまんじゅうパフェ」をはじめ、県内各地で焼きまんじゅうをアレンジしたスイーツが登場しており、ローカルフードとしての楽しみ方も少しずつ広がりを見せている。

今回はその一例として、高崎の『CAFE高崎じまん』を訪れ、実際に焼きまんじゅうパフェを味わった。

CAFE高崎じまんは、JR高崎駅直結の商業施設OPA7階にあり、アクセスも良好。焼きまんじゅうをパフェなどのカフェメニューとして気軽に楽しめる。
人気の焼きまんじゅうパフェのほか、きなこやシナモン、ショコラなどを使ったアレンジメニューも展開。郷土食の枠を超え、新たなスイーツとして焼きまんじゅうの魅力を発信している。

筆者がオーダーした焼きまんじゅうパフェは、見た目のインパクトと素朴な甘さが同居した一品で、焼きまんじゅうの新たな魅力を発見できる仕上がりだった。

実際に口にしてみると、温かい焼きまんじゅうの香ばしさとソフトクリームのひんやりとした甘さが絶妙に調和する。

味噌だれの濃さもやわらぎ、親しみのある郷土食だった焼きまんじゅうが、どこか洗練されたスイーツへと姿を変えていく。その変化を舌で味わう体験そのものが、このメニューの面白さなのかもしれない。

そこにあったのは、地域に根付いた郷土食が、SNS時代に新たな魅力をまといながら受け継がれていく姿だった。
焼きまんじゅうパフェに象徴されるように、ローカルフードは今、「食べるもの」であると同時に、「語られ、共有されるもの」へと変化している。そこには味そのものだけでなく、記憶や風景までも含めて楽しむ、新しい食文化のあり方が見えてくる。

取材・文/Tajimax

東京都出身。2018年からSNSを中心に90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーをメインに紹介している。以降、『オリコンニュース』『現代ビジネス』『WWD.JAPAN』『クイック・ジャパン』『Fashion Tech News』『東洋経済オンライン』などで平成カルチャー関連のインタビューや執筆・寄稿に携わる。古雑誌をメインに平成ガールズカルチャー関連のアイテムを膨大に所有。

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