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「タッチ」より「ボタン」が正解!?2機種を試してわかった高齢者向きテレビ電話の選び方

2026.06.21

LINEが使えていた義母に訪れた、コミュニケーションの断絶

ちょうどコロナの頃、新潟で一人暮らしをしていた高齢の義母が歩けなくなり、介護施設に入所した。幸い義母はiPadを使うことができたので、LINEで日常的な会話のやりとりは可能。新生活でも写真付きの報告がLINEでこまめに送られて来たし、義母からの細々とした要望に対応することもできたので、大きな不安はなかった。

しかし入所後数年たつと義母は指で細かい動きができなくなり、LINEの文字を打ち込めなくなった。同時に携帯電話も使えなくなり、日常的なコミュニケーションがほぼできなくなってしまった。LINEに代わるコミュニケーションツールはないかと探して見つけたのが、2024年5月にTQコネクト株式会社から発売された「TQタブレット」だった。※

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高齢者用のテレビ電話は他にもいくつか候補があったが、決め手となったのは操作のシンプルさ。ボタンなどがほとんどなく、ほぼタッチレスでテレビ電話がつながるので、軽度の認知症の人でも使えるということだった。「レンタルプラン」を契約し、さっそく義母の元に届けて使用を開始した。

義母が使うTQタブレットの画面表示は「家族と話す」「アルバム」「お知らせ」の3つのみ。こちらからはスマホのアプリで操作する
スマホにはこのように義母の顔が映り、義母のタブレットには右側の私たちの画像が表示される

こちらから義母にテレビ電話をかけたい場合、スマートフォンの専用アプリから発信するとタブレットが自動的に起動し、テレビ通話が開始される。逆に義母がテレビ通話で話したい時には、「家族と話す」をタッチすれば、スマホに「電話してほしい」という通知が届くので、こちらからかければいい。文字を打つことができない義母でも問題なく使えた。

これでひと安心…、と思っていたら、なんと2026年3月31日をもって、TQタブレットのサービスが終了してしまった。代わりになるテレビ電話を再びリサーチし、決めたのが「memet(メメット)」だった。

“認知症だから”ではなかった?タッチ操作ができない理由

memetは、株式会社アイ・オー・データ機器(以下、「アイ・オー・データ」)がシニア世代にヒアリングを実施し、「スマホは「機能が多すぎてわからない」「タッチ操作が難しい」という多くの声をもとに開発されたテレビ電話。最大の特徴は、「スマートフォン的な複雑さ」を徹底的に排除している」という点だという。

「タッチ操作が難しい」という点については確かに「高齢者は指の水分が少ないので、タッチ操作をしても反応しづらいことがよくある」と聞いたことがある。義母もある時からipadでの操作ミスが多くなり、単純に「認知症が進んだのかな」と思ってあきらめていた。だがもしかしたら、操作画面をタッチしても反応しないので何度も試すうちに違うところを触って、予期しない画面になり混乱していたのではないか…。なんでも「認知症のせい」と簡単に片づけがちだったことを反省した。

メリット(1)3つのボタンで操作が完了

自宅に届いたmemetを見ると、操作のための装置は本当に最小限。あるのは

(1)連絡先ボタン(最大3件)
(2)音量ボタン
(3)通話開始/終了ボタン

の3つのみ。実質この3つのボタン操作だけで完結するようになっている。操作ボタンを無くすために画面へのタッチだけで操作が完結するようにしたTQタブレットと、そこが大きな違いと言える。

左の3つが電話をかけたい時に押す「連絡先ボタン」、中央が音量調整ボタン、右側が通話開始/終了ボタン

こちらから通話するとmemetのスピーカーから着信音が鳴るので、義母が「通話」ボタンを押せばテレビ電話がつながる。スマホのようなスライド操作は不要だし、「どこを押すか迷う」ことがない。

義母から電話をする時は、通話したい人の名前が書かれた「連絡先ボタン」を押すだけ(名前は3名まで登録可能)。こちらのスマホで自動的に通話が開始となる。

メリット(2)コンセントに挿すだけで使える

高齢者向け機器として重要なポイントだと感じたのが、「コンセントに挿すだけで使える」ということ。SIM内蔵なので、Wi-Fiもインターネット契約も工事も不要。「スマホ設定」「回線契約」「パスワード管理」など、高齢者が苦手とする設定管理も不要だ。

さらに設定トラブルを防ぐため、“端末売り切り”ではなく、通信込みのサービスモデルとして、「月額プラン制」になっている。つまり、「端末+回線+サービス」が一体化したプロダクトになっているのだ。

初期費用の本体代は24,800円(税込)。購入以降の月額料金」は、テレビ電話として使える時間によって決まっていて、テレビ電話が1ヵ月1時間使える「ライトプラン」(980円)から8時間の「プレミアムプラン」(1,980円)まである(テレビ電話の使用時間が上限に達しても音声通話は無制限で使える)。わが家では月4時間のベーシックプラン(1,480円)を選択した。

メリット(3)固定電話のように着信音が鳴る

さっそく義母のいる施設にmemetを持参し、TQタブレットと交換することに。

実際に使ってみて実感した最大のメリットは、こちらからかけると普通の電話のように着信音が鳴ること。最初は不安そうだった義母も「こっちのほうが普通の電話みたいだねえ」とホッとした様子。またパネルをタッチするよりもボタンを押す操作のほうが、慣れていて使いやすそうだった。

義母に使用方法を説明する夫
こちらから電話をかけると、普通の固定電話のように着信音が鳴るので、「通話」ボタンを押して応答するだけ。「とる」という表示も出るので迷うことがない
これだけでテレビ電話がつながる

メリット(4)通話しない待機時間はデジタルフォトフレームになる

意外に喜ばれたのが、電話として使用していない待機時間中は、画面に写真を表示するデジタルフォトフレームになること。

TQタブレットでも「アルバム」という機能はあったが、タッチパネルの「アルバム」のアイコンをタッチして起動しなければならないので、結局、義母は一度も使わなかったようだ。しかしmemetは通話機能を利用しない待機中、スライドショー形式で自動的に写真を表示し切り替えるので、義母は何も操作する必要がない。

デジタルフォトフレームに実家にいた時に暮らしていた愛猫の写真を入れたところ、とても喜んでいた義母
家族側がスマホアプリから写真を送信する操作も非常にシンプル
コメントを書き込むこともできるので、電話するほどでもない報告やメッセージを送れるのも便利

よく考えるとこの機能は、memetの物理的な設計とも非常に相性がいいような気がする。約10インチの大画面なので 写真が見やすいし、据え置き型なので常に視界に入る。常時電源が入っているので、常に表示可能だ。これはスマホでは代替しにくいポイントと言えるのでは。

また“簡潔なボタン操作”に特化してこれだけ作りこむことができたのは、アイ・オー・データが各種ハードウェア機器の総合メーカーであり、自社で本体を作ることができたからだろう。

memetは 2025年4月16日にアイ・オー・データの自社ECと楽天市場で一般販売を開始したが、同年9月5日からau公式のスマートフォン向けアクセサリーブランド「au +1 collection」として全国流通がスタート。全国のKDDI・沖縄セルラー直営店/au Styleおよびau Online Shop auショップなどリアル店舗での購入が可能になっている。

取材・文/桑原恵美子

取材協力/ TQコネクト株式会社 株式会社アイ・オー・データ機器

Author
フリーライター。日経トレンディネット、日経クロストレンドで長く大手チェー ン飲食店や新オープンの商業施設、食品メーカーなどの取材に携わる。ぐるなび が運営するレストランガイド媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材し、 自身の推し飲食店を紹介する「満たされメニュー」をぐるなびPROで連載中。

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