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行動観察の要らない時代へ?尿検査で子どもの自閉症を早期にスクリーニングできる可能性

2026.06.22

尿検査で自閉症をスクリーニングできる可能性

簡単な尿検査によって、自閉症スペクトラム症(ASD)の可能性が高い子どもを早期にスクリーニングできる可能性があることが、新たな研究で示された。研究グループは、「ASD児の腸内細菌叢に認められる特徴が、ASD児と定型発達児の識別に役立つ可能性がある」と述べている。米アリゾナ州立大学(ASU)Biodesign Center for Health Through Microbiomes工学教授James Adams氏らによるこの研究の詳細は、「Molecular Psychiatry」に5月26日掲載された。

過去の多くの研究において、一部のASD児では、p-クレゾール硫酸やインドキシル硫酸といった微生物由来代謝物(MDM)の尿中濃度が異常に高いことが確認されている。Adams氏らは、これらのMDMが脳腸相関を介して神経発達に影響を及ぼす可能性があり、また特徴的な腸内細菌叢のバランスの乱れ(ディスバイオシス)が多くのASD児に認められるのではないかという仮説を立てた。

この仮説を検証するために、今回の研究では、まず2~11歳のASD児52人と定型発達児47人(対照群)を対象に、尿中のMDM濃度を半定量的に解析した。その結果、90%のASD児において、少なくとも1種類のMDMの濃度が対照群で測定された最高値を上回っており、中には100~1,000倍もの高値を示すものも確認された。平均すると、ASD児では対照群の最高値を上回るMDMが3.3種類認められた。高値を示した代謝物には、フェニルアラニンやトリプトファンの代謝に関連する化合物が含まれていた。また、酵母や真菌の腸内活動と関連する化合物も確認された。

次に研究グループは、半定量解析で評価した17種類のMDMを用いて、対照群での最高値を上回るMDMが1種類でも存在する場合にASDスクリーニング陽性と判定する尿中スクリーニングシステム(MDM system)を構築した。その結果、ASD識別の感度が90%、特異度が100%であった。さらに、定量解析に基づく評価でも同様の傾向が確認され、感度78%、特異度100%であった。論文の筆頭著者であるASU Biodesign Center for Health Through MicrobiomesのChristina Flynn氏は、「この検査によって、ASDと診断されるリスクが高い子どもを特定できる可能性がある。また、すでに診断を受けた子どもについても、その子に合った治療方針を考えることで、より良い人生を送る支援につなげることができるだろう」とニュースリリースの中で述べている。

現在のASDの検査は子どもの行動観察に基づき行われるため、家族が子どもの診断結果を知るまで長期間を要する場合が多い。しかし、できるだけ早期に診断されることで、保護者はより早く適切な支援を開始できると研究グループは指摘する。

自身もASD児の親であるFlynn氏は、「この疾患に対するスティグマや恥の意識が少しでも軽減されることを願っている。診断をためらうのは、親が『自分は親として不十分だ』と感じたり、周囲から批判されていると感じたりすることが原因である場合もある。だが、実際はそうではない。尿検査でASDをスクリーニングできる可能性が示されたということは、ASDが生物学的な基盤を持つ状態であることを示唆している。このことによって、治療を受けることや早期に治療を開始することに対する親のためらいがなくなることを願っている」と話している。

ただし、研究グループは、この尿検査の有効性を確認するため、さらなる研究が必要であるとの見解を示している。(HealthDay News 2026年6月3日)

Copyright (C) 2026 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41380-026-03620-5

Press Release
https://news.asu.edu/20260526-health-and-medicine-new-urine-test-provides-simple-way-screen-autism-children

構成/DIME編集部

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