かつてのサッカー日本代表があと一歩のところで届かなかったアメリカの地に、夢の祭典が再び帰ってきた。現在の代表チームが目指すのは、あくまで〝優勝〟。出場すらかなわなかった32年前を知る世代からすれば、考えられないほどの高い目標設定だ。その可能性はゼロではないと言われるほどまでに代表チームが成長し、日本のサッカー文化自体も発展を遂げられたのはなぜか!?
現在発売中のDIME8月号ではその足跡を元代表レジェンドなどの証言を中心に徹底解説! 日本サッカー協会が目指す未来の日本サッカーについてもひもとく。
34年間でクラブ数が6倍に増えたJリーグ。経営環境も激変する中、彼らは「勝利」と「黒字」をどう追求しているのか。今回は、5月16日(現地時間)にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2を制覇したガンバ大阪の水谷尚人社長を直撃した。

ガンバ大阪 代表取締役社長
水谷尚人さん
1966年、東京都出身。早稲田大学を卒業後、リクルート、JFA、2002年W杯組織委員会勤務などを経て、2002年に起業。湘南ベルマーレの経営に携わりはじめ、15~22年に社長を務める。23~24年にはJリーグカテゴリーダイレクターを務め、2025年からガンバ大阪史上初の外部招聘社長に就任。
「勝ちながら経営拡大」と いう成功モデルを追求へ
1993年のJリーグ発足時の10クラブ合計営業収入は276億6700万円、1クラブ当たりの平均は27億6700万円だった。それが2025年時点ではJ全体で2100億円を突破。クラブ単体で見ても、浦和レッズが113億円という史上最高収入を記録するなど、Jを取り巻く経営環境は右肩上がりで推移している。
30年あまりでJクラブが全国43都道府県に拡大し、チーム数も飛躍的に増加したことはもちろん大きいが、入場料、スポンサー、グッズという3本柱も着実に伸びている。それに加えて、2017年にJリーグが独占契約したDAZNの放映権料による分配金も数字を押し上げる要因になっている。
92年に日本サッカー協会(JFA)入りしてから長くサッカー界の変遷を見守ってきた水谷社長は拡大を実感する1人。2002年日韓W杯の後、湘南ベルマーレに携わりはじめたが、当時のクラブ収入は8億円程度。それが社長退任の2022年には25億近い水準に達したという。
「僕が行なった頃の湘南はフジタ撤退というショッキングな出来事が起きて数年後。経営再建の途上にありました。ホームタウンを回ると『90年代の強かった時はチケットがないといわれていたのに、今は買ってくれというのか』と苦言を呈されたりしましたけど、とにかく地に足を付けた営業をするしかなかったですね」
2000年代初頭は中小クラブがコツコツと経営拡大を図り、上のカテゴリーに上がっていく例がいくつかあった。そのひとつがヴァンフォーレ甲府。05年のJ1・J2入替戦で運営規模6倍の柏レイソルを倒して昇格を果たした時には「奇跡」とさえ言われた。彼らに続くように湘南も09年に甲府に競り勝って11年ぶりのJ1昇格を果たしたのだ。
「僕の後に社長になった坂本紘司(現・湘南取締役)が決勝点を挙げた時、ゴール裏の塀が壊れて、真っ先に下に落ちたのが社員だったんです(笑)。それだけみんなが興奮したのをよく覚えていますね。湘南はあの昇格の後、何度かJ1とJ2を行き来しながら、遠藤航(リバプールFC)や町野修斗(ボルシアMG)といった代表選手も出すようになった。『勝利がプラスの循環を作る』ということを自分も再認識しました」
その貴重な経験をオリジナル10のガンバに還元すべく、彼は25年からガンバの社長に就任。全力でクラブをけん引しているが、その1年目で収入が約10億増の88億円に。JリーグIDを活用したきめ細かいマーケティング、スポンサー営業などが奏功した形だという。
「ホーム平均観客動員数が3万人を突破したのがまず大きい。社員がデータを活用しながら多彩な集客策を展開しています。スポンサーに関しても同じ。収入が増えればトップチームへの投資もできる。そうやっていいサイクルを作っていくことが、成功への道筋になると思います」
そして彼らは25–26シーズン・ACL2制覇という偉業も達成した。ファイナルはクリスティアーノ・ロナウドを擁するアル・ナスルとの一発勝負。完全アウェーの中でFWデニス・ヒュメットが値千金の決勝点を叩き出し、虎の子の1点を守り切って勝利したのだ。
表彰式で満面の笑みを浮かべながらキャプテン・中谷進之介と喜びを分かち合う水谷社長の姿が印象的だったが、ガンバは優勝賞金約4億円、大会の勝利給を含めると6億円超のビッグマネーを手にした。それこそが「勝ちながら経営規模を引き上げいく」という成功モデルにつながるのである。
「日本やアジアではACLの価値や認知度がまだまだ低いですが、欧州CLのようになれば、みんなが注目し、巨額の収入も得られるビッグトーナメントになる。そこに毎年ガンバが出て、アジア王者になり、クラブW杯にも出場するようになれば、経営規模は自ずと上がっていくはずです。我々は将来的には200億円規模のクラブを目指していますが、収入を引き上げながら、投資を続けていく必要がある。クラブを取り巻くみんながハッピーになり、輪が広がるような形に持っていければ理想的です」
ただ、全てのJクラブがガンバのように世界を見据えているわけではない。Jリーグの野々村芳和チェアマンも「60クラブがそれぞれの地域で輝く」を成長戦略の一つに掲げているように、各クラブには独自の環境や地域性、運営規模がある。それを踏まえて目指すべき理想像へ向かっていけば、Jリーグの社会的価値も高まっていく。ガンバのようなビッグクラブはそういう流れをリードしていくべきだろう。
就任初年度から売上は過去最高!

水谷社長就任1年目のガンバは入場者数、スポンサー収入などで高い伸びを記録した。
Jリーグとクラブオーナー企業の変遷

チーム運営の手法も多様化している!
外資100%でレジェンド監督も運営に参画【RB大宮アルディージャ】
2024年10月からレッドブル傘下入りしたRB大宮。グローバルサッカー部門責任者のユルゲン・クロップ氏らビッグネームが持つノウハウが還元され、クラブ全体の強化が劇的に進んでいる。

地域密着型で毎年観客増【ファジアーノ岡山】
2025年にJ1初昇格すると1試合平均観客数が1万4587人と毎回超満員を記録。売上も前年の20億3600万円から37億6000万円に激増した。写真は元選手が県内の小学校で授業を行なう様子。

©FAGIANO OKAYAMA
取材・文/元川悦子 撮影/佐藤信次 編集/轡田緒早
DIME最新号は躍進する日本サッカーの大特集、特別付録「アオアシ」ナップサック付き!!
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入ドーハの悲劇から33年、日本サッカーの躍進は世界を驚かせています。いよいよ北中米ワールドカップが開幕を迎え、盛り上がりは最高潮へ…。
今月のDIMEでは、日本サッカー協会、Jリーグ、育成世代だけでなく、スポンサー企業の貢献など進化の舞台裏、立役者を独自の視点から徹底取材。驚きの事実が明らかに…!

かつてのサッカー日本代表があと一歩のところで届かなかったアメリカの地に、夢の祭典が再び帰ってきた。現在の代表チームが目指すのは、あくまで〝優勝〟。出場すらかなわなかった32年前を知る世代からすれば、考えられないほどの高い目標設定だ。
わずか30年でここまで代表チームが成長し、日本のサッカー文化自体も発展を遂げられたのはなぜか? その足跡をサッカー協会、Jリーグ、外国人監督、元日本代表のレジェンドたち、スポンサー企業など様々な視点で読み解く。
さらに『アオアシ』をはじめ、サッカー漫画がいかに日本サッカーの躍進に貢献したのか、元日本代表レジェンドたちにも取材もしました。
日本サッカー協会会長 宮本恒靖
日本サッカー協会名誉会長 田嶋幸三
Jリーグ チェアマン 野々村芳和
名古屋グランパス監督 ミハイロ・ペトロヴィッチ
ガンバ大阪 代表取締役社長 水谷尚人
元サッカー日本代表 戸田和幸
元サッカー日本代表 遠藤保仁
元サッカー日本代表 福西崇史
元サッカー日本代表 中村憲剛
『アオアシ』作者 小林有吾先生
お笑い界のサッカー通 カカロニ など豪華インタビューも!
サッカーという時代を彩り、人々を熱狂させてきたトレンドの背景を読み解く、一大特集になっていますのでご期待ください!
【特別付録】「アオアシBlueナップサック」
約50×39.5cmのビッグサイズ!
若い世代を中心に人気のナップサックは軽くて使い勝手がよく、ラフに荷物を詰め込めるためカジュアルコーデとも相性抜群。さらに、日本代表をイメージした鮮やかな「青」は、サッカー観戦を盛り上げてくれます。
日常使いからスタジアムまで、フットワーク軽く使えファン必携の万能アイテムです!







DIME MAGAZINE













