〝いつか優勝も夢ではない〟そんな未来を予測させるような、熱い試合展開を見せてくれた日本代表。その可能性はゼロではないと言われるほどまでに代表チームが成長し、日本のサッカー文化自体も発展を遂げている。DIME最新号では、その足跡を、本特集では元代表レジェンドなどの証言を中心に徹底解説! 日本サッカー協会が目指す未来の日本サッカーについてもひもとく。4年後に向けて、もう戦いは始まっている。
そんな中、サッカーの人気や熱狂をどう社会へ広げ続けるのか……。そんな課題に取り組んできたのが、日本サッカー協会(JFA)と、日本代表戦の放送・配信を担う電通だ。
今回は、JFAの宮本恒靖会長と、サッカー日本代表の放映権事業を担う電通の石渡弥さんに、日本サッカーの現在地と2050年への展望を聞いた。

日本サッカー協会 宮本恒靖会長
ガンバ大阪、レッドブル・ザルツブルク、ヴィッセル神戸でプレーし、日本代表としてFIFAワールドカップに2大会連続出場。引退後にFIFAマスター修了。ガンバ大阪監督も務めた。2024年に日本サッカー協会会長に就任。「サッカーで未来をつくる」を掲げて活動。

電通 執行役員 石渡 弥さん
1998年電通入社。テレビ局に配属後、2012年から営業に異動。Jリーグ、化粧品会社を担当した後、ラジオテレビ局の動画ビジネス領域などを担当。ラジオテレビ局長を経て、2025年10月より現職、執行役員(メディア/スポーツ&エンターテインメント)を務める。
日本におけるサッカー文化はまだまだ発展途上の段階
──日本のサッカーはこの30年余りで大きな飛躍を遂げました。日本におけるサッカーの現在地について、宮本会長はどのように感じていますか。
宮本 この30年で、日本サッカーは本当に大きく変わりました。今では多くの選手が欧州のトップリーグ、トップクラブでプレーしていますし、SAMURAI BLUE(日本代表)のレベルも確実に上がっています。森保監督も今回のW杯で「優勝」を目標に掲げていますが、それを現実的な目標として語れるところまで日本サッカーは成長してきたと思います。ただ、その一方で、サッカー文化という意味ではまだまだ成長の余地があります。例えばイングランドでは、試合の日になると街中にユニフォーム姿のファンがあふれ、自然とサッカーの話題が耳に入ってくる。サッカーが日常に溶け込んでいるんです。その光景を知っていると、日本はまだそこまではたどり着けてはいない。競技レベルは上がったけれど、文化としては〝伸びしろ〟があると感じています。
──その一方、日本代表戦は今や〝国民的イベント〟と言える存在になっています。何が転機となったと見ていますか。
宮本 やっぱり大きかったのは、2002年の日韓W杯ですね。日本中がサッカーに注目した、歴史的な大会でした。もちろん、日本代表の成績次第で、人気が上下することはあります。でもJFAとしては一時的なブームでなく、継続的にサッカー文化を根付かせることを大切にしてきました。その中で非常に重要だったのが、電通と長年にわたって取り組んできた「放送・配信」です。
石渡 電通は2001年から25年間にわたり、JFAとサッカー日本代表の放送権契約を締結しています。私たちは、日本代表戦をできるだけ多くの人に届ける体制づくりに取り組んできました。2026年W杯も、FIFAから放送権を取得し、地上波放送を含む様々な形で日本代表戦を放送・配信しています。
宮本 W杯を除く日本代表戦でも、視聴率は平均10%以上を安定して獲得しています。これは今のテレビ環境を考えると非常に高い数字です。でも、単に数字だけではないんです。地上波で放送されれば翌日のニュースでも取り上げられる。普段サッカーを見ない人にも、日本代表の話題が自然と届く。私自身、世帯視聴率66.1%を記録した日韓W杯のロシア戦を選手として経験しました。〝日本中がサッカーを見られる〟ことの重要さは身をもって実感しています。
石渡 日本代表戦は、単なるスポーツ中継ではなく〝国民が同じ瞬間を共有するイベント〟だと思います。もちろん、それを支えているのは結果を出し続けている選手たちであり、育成や強化に長年投資してきたJFAの取り組みです。そのうえで私たちが担っているのは、その熱狂を安定的に、継続的に届け続けること。日本代表戦の〝価値〟を守り、高めていくことが使命だと思っています。

──近年は視聴環境や楽しみ方も変化しています。どのように向き合っているのでしょうか。
石渡 今は、テレビの前で90分間試合を見るだけがサッカーではありません。動画配信やSNS、選手自身の発信、舞台裏コンテンツなど、サッカーは日常的に接触するコンテンツへと変化しています。例えば、試合後にSNSでプレー動画を見たり、選手のインタビューを見たり、ファン同士で感想を共有したりする。試合当日だけでなく、継続的に楽しめるコンテンツになっているんです。ですから、単純にテレビ視聴率だけを見る時代ではないと思っています。サッカーは今も、社会との新しい関係性を作りつづけている。その価値をどう届けていくかを考えていきたいですね。
宮本 昔は、テレビで日本代表戦を見て、翌日に学校でその話をする。それがサッカー文化の広がり方でした。今はSNSも含めて、その熱量がより長く、広く続くようになったと感じます。
──JFAは「JFA2005年宣言」で、2050年までにW杯優勝を目指すビジョンを掲げています。この目標に向けて何が重要だと捉えていますか。
宮本 もちろん、日本代表が結果を出すことは大切です。しかし、2050年を考えると、一番大事なのは子供たちにサッカーを好きになってもらうこと。そのためにJFAでは地域クラブの子供たちのサポート体制を整えたり、海外で才能発掘を進めたりする取り組みをしています。
サッカー日本代表の試合をお茶の間に届ける電通・放送局・配信会社の関係性

我々が地上波やネット配信でサッカー日本代表の試合を安定して見られるのは、電通がJFAやFIFAから同放映権を獲得しているためだ。特にJFAと電通とのタッグは、四半世紀にわたっており、サッカーを国民的コンテンツへと押し上げるのに一役買っている。
1998年以降のサッカー日本代表 視聴率ベスト10

宮本会長も選手として出場した 2002年 日韓W杯のロシア戦が過去最高視聴率を記録。日本がW杯初出場となった1998年のフランスW杯の試合も多くがトップ10入り。近年の試合がランクインしていないのは地上波放送だけでなくネット配信でも視聴可能な環境に変化したことも一因だと考えられる。
ファンを広げる主な取り組み
配給/東映 サッカー日本代表 映画『ONE CREATURE』
2022年のカタールW杯からの4年間、森保一監督が率いるサッカー日本代表の〝成長〟と〝進化〟の軌跡を収めた映画。6月5日より全国の劇場で上映中。前回大会、史上最高成績のベスト8には惜しくも手が届かなかった日本代表はこの4年間でどんな進化を遂げたのか。刮目せよ!

©2026「ONE CREATURE」製作委員会
JFA×SCO GROUP『FUTURE CAMP』inspired by BLUE LOCK
海外で活躍しているタレントを発掘する「JFA×SCO GROUP『FUTURE CAMP』inspired by BLUE LOCK」が現在始動中。同プロジェクトは人気サッカー漫画『ブルーロック』と連携しており、同作品と現実が交差した〝リアルブルーロックだ!〟と話題だ。

取材・文/峯 亮佑 撮影/干川 修 編集/田尻健二郎
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わずか30年でここまで代表チームが成長し、日本のサッカー文化自体も発展を遂げられたのはなぜか? その足跡をサッカー協会、Jリーグ、外国人監督、元日本代表のレジェンドたち、スポンサー企業など様々な視点で読み解く。
さらに『アオアシ』をはじめ、サッカー漫画がいかに日本サッカーの躍進に貢献したのか、元日本代表レジェンドたちにも取材もしました。
日本サッカー協会会長 宮本恒靖
日本サッカー協会名誉会長 田嶋幸三
Jリーグ チェアマン 野々村芳和
名古屋グランパス監督 ミハイロ・ペトロヴィッチ
ガンバ大阪 代表取締役社長 水谷尚人
元サッカー日本代表 戸田和幸
元サッカー日本代表 遠藤保仁
元サッカー日本代表 福西崇史
元サッカー日本代表 中村憲剛
『アオアシ』作者 小林有吾先生
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