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地域再創生を体現する注目のマチづくり構想「ハッピーローソンタウン」の全貌

2026.06.21

2026年6月4日、大阪府池田市伏尾台に「ハッピーローソンタウン池田伏尾台店」がオープンした。本店舗は、ローソンが創業50周年を機に掲げた「地域再創生」を体現するマチづくり構想「ハッピーローソンタウン」の記念すべき第1号店となる。

ローソンのリアルな店舗網と、KDDIの最先端テクノロジー、そしてエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)の地域密着のノウハウという3社の強みを掛け合わせ、世代を超えて誰もが安心して楽しく暮らせるマチづくりを目指す壮大なプロジェクトである。

オールドニュータウン「伏尾台」の課題と誕生の経緯

舞台となる池田市伏尾台は、1970年代に阪急不動産によって宅地開発されたニュータウンである。かつては7000人を超えていた人口も、現在は4700人を下回り、池田市全体の高齢化率が約27%であるのに対し、伏尾台は47%を超え「2人に1人が高齢者」という状況。小学校が廃校になるなど、日本全国が直面する少子高齢化と人口減少の「縮図」とも言えるオールドニュータウンの課題を抱えている。

本店舗は、2022年まで阪急バスの伏尾台営業所として利用されていた跡地を活用して建設された。営業所廃止後、地域住民から「交流拠点として活用してほしい」という署名や要望が寄せられ、阪急バスから池田市への土地の寄付を経て、プロジェクトが動き出した。

圧倒的な品揃え:日常の食と健康を全方位で支える

敷地面積4007.2平方メートル、店舗面積366.51平方メートル、売場面積298.48平方メートルを誇る広大な店内は24時間営業で、約3900品目の商品を取り扱う。

通常のコンビニエンスストア商品にとどまらず、住民からの「出来立ての惣菜や生鮮品が欲しい」という声に応え、H2Oグループとの強力な連携を実現した。阪急デリカの工場から直送される人気の塩パンやメロンパンなど約20種類のベーカリー、煮物やデリサラダなど24種類の惣菜が並ぶ。

さらに、和歌山県田辺市の地域共生コンビニ「ローソン龍神村西店」で好評を得ている冷凍肉11種類、冷凍魚12種類、冷凍珍味13種類をラインナップ。野菜などの生鮮食品、北海道産牛乳を使用したソフトクリーム、阪急ハロードッグのペットフード32種類まで網羅する。健康面でのサポートとして、10時から17時の間は、風邪薬や胃腸薬など第2類・第3類を合わせた約200種類のOTC医薬品も販売する。

「集う・繋がる」コミュニティスペースの創出

店舗は単なる買い物の場ではなく、地域の交流・活動拠点として機能するよう設計されている。乃村工藝社がデザインや店舗の設計・施工に協力し、住民の声を反映した空間が広がっている。

小上がりのあるイートインスペースは、総席数64席のうち、21人が座れる小上がりを設置。窓の外を向く従来のコンビニのイートインとは異なり、小さな子どもから大人までが輪になって過ごせる空間となっている。また、天井のタペストリーやゴミ箱には、大阪・関西万博で使用されたものをリユースしている。

旭化成不動産レジデンスの協力により、約100冊の絵本が無料で読めるコーナーを併設。商品のおすすめや占いを行う「AI Ponta」も設置され、エンターテインメント性も備えている。

店舗周辺には広大な芝生の広場があり、子どもたちが駆け回る遊び場としてはもちろん、夏などの夜間にはナイトシアター(野外上映会)の実施も検討されている。店舗裏手の展望テラスからは池田市内から大阪市内までを一望でき、美しい夜景や花火大会を楽しむことも可能だ。

KDDIのテクノロジーがもたらす生活支援インフラ

デジタルに不慣れな高齢者でもテクノロジーの恩恵を受けられるよう、店内にはオンライン相談サービス「Pontaよろず相談所」が設置されている。KDDIの次世代リモート接客プラットフォームを活用し、事前予約なしでモニター越しに専門スタッフへ相談が可能だ。池田市役所やJoshin(家電)、ダスキンなどと連携し、行政手続き、家電サポート、通信、インフラ(でんき・ガス)など幅広い困りごとに対応する。将来的にはリモート診療や服薬指導への対応も見据えている。

また、「池田市AIサポーター」としてAIサイネージが置かれ、AIコンシェルジュが行政に関する相談や地域情報を案内するなど、まさに「店内に市役所の窓口がある」ような利便性を提供する。

国内最高レベルの「災害支援ローソン」としての機能

本店舗は、平時だけでなく有事の際にも地域の命綱となる「災害支援ローソン」の機能も完備している。

最大の特徴は、ローソン店舗として初めて常設された「AIドローン(ドローンポート)」である。平時はKDDIスマートドローンの遠隔運航により週5日飛行し、小学生の登校時間帯の通学路の見守りや河川などのインフラ点検を実施する。地震などの有事には迅速に周辺の被害状況を把握し、体温感知機能を活かして助けが必要な人を特定、避難誘導を行う。KDDIはこのドローンポートを将来的に全国1000箇所に配備し、災害時に10分以内でドローンが駆けつける構想を描いている。

通信インフラの強靭化として、衛星ブロードバンド「Starlink」と「auフェムトセル(小型携帯電話基地局)」を常設。通信回線が遮断された際でも、フリーWi-Fiの提供や本部との緊急連絡手段を確保する。電力面では、屋根上に太陽光パネルを設置して店舗の電力を賄うとともに、大容量の業務用蓄電池を備え、大規模停電時でも店舗運営や通信に必要な電力を維持する。

さらに、住民向けのスマートフォン用バッテリーチャージャーや、使い捨ての災害時用トイレを常備。食料支援として、店内の厨房を活用し、水と米さえあれば提供可能な「災害時専用おにぎり」の調理体制も整えられている。

持続可能なビジネスモデルと今後の展望

ローソンの竹増社長は、この取り組みが単なるボランティアやCSR活動ではなく、フランチャイズビジネスとしてオーナーが収益を確保し生活できる「持続可能なモデル」であることが重要だと強調している。テクノロジーを活用した運営の効率化や、サービスの多様化によって損益分岐点を下げ、ビジネスとして成立させることを目指す。

オープン前からこたつを並べて住民の要望を聞き、池田市立細郷学園の生徒からアイデアを募集するなど、地域と共に作り上げられた「ハッピーローソンタウン池田伏尾台店」。ローソンとKDDIは、この店舗をモデルケースとして、2030年までに「ハッピーローソンタウン」および「災害支援ローソン」を全国100箇所へ拡大するという高い目標を掲げている。

今後は、ドローンによる商品配送や、自動運転バスによるオンデマンド交通の実装も視野に入っており、周辺の旧伏尾台小学校を活用した官民連携の取り組みなど、伏尾台をフィールドとしたオールドニュータウン再生の新たな挑戦がここから始まっていく。

取材・文/佐藤文彦

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