
ハンディファン。今や日本の夏の必需品になっている。
現代日本では盛夏には摂氏40度に達する場合も珍しくない。より持続性の高い充電池の開発により、片手で持てるサイズの扇風機が登場してあっという間に普遍的なガジェットになった。そうでもしなければ、日本列島の夏を乗り切ることができないというのが悲しい現実である。
が、ここで気をつけたいことがある。そのハンディファン、リチウムイオン電池を使った製品ですか?
リン酸鉄リチウムイオン電池ハンディファンも登場!
2026年の夏に向けて、ハンディファンの新商品が各メーカーから発表されている。
5月、株式会社ニトリが『たためるハンディファン』の発売を開始した。これは商品名の通り、折りたたんでディスクファンとして活用することもできる製品。が、それ以上に注目すべきはリン酸鉄リチウムイオン電池を利用しているという点である。
これから迎える暑い季節に向けて、持ち運びやすさと安全性・長寿命に配慮した「たためるハンディファン(MN09NR)」を発売いたします。
近年、モバイルバッテリーや家電製品に使用されるリチウムイオン電池に関する話題が増え、安全性や耐久性への関心が高まっています。そうした背景を踏まえ、本製品では比較的安定性が高く、充放電サイクルが長いとされる「リン酸鉄リチウムイオン電池」を採用しました。日常生活の中でより安心してお使いいただけます。
(折りたためてデスクでも使える!リン酸鉄リチウムイオン電池採用で安心なハンディファンが新発売 株式会社ニトリホールディングス PR TIMES)
これは、世界各国で問題になっているリチウムイオン電池問題に対応した動きでもある。
従来型のリチウムイオン電池は、衝撃耐性の低さと劣化のしやすさが指摘されている。劣化に関しては単に電池寿命が短くなるだけならいいが、出火のリスクが新品時よりも高くなってしまうという。以下、東京消防庁の公式サイトからの引用である。
リチウムイオン電池は、繰り返し充電、放電できる電池のことで、二次電池の一つです。この電池は、主に小型で大量の電力を必要とする製品(スマートフォン、コードレス掃除機、ノートパソコンや電動工具など)に使用され、他の二次電池と比べて高容量、高出力、軽量という特徴があります。
リチウムイオン電池は、電解液として可燃性の有機溶剤を使用しているため、衝撃等により内部の正極板と負極板が短絡し、急激に加熱後、揮発した有機溶剤に着火して出火することがあります。
(リチウムイオン電池搭載製品の出火危険 東京消防庁)
こうしたことが要因と思われる事故が、まさに世界中で発生している。
去年は旅客機内でのモバイルバッテリーが火元と思われる出火事故が相次ぎ、また日本でも鉄道内での同様の事故が発生した。特に旅客機内での事故は、死者こそ出なかったものの状況によっては大惨事になり得る事態だった。
ここから、日本を含めた各国で「リチウムイオン電池の取り扱い」が真剣に議論されることになる。
ハンディファンは「消耗品」
リチウムイオン電池を使用するハンディファンは、基本的には「消耗品」という意識で使うべきだろう。これを「耐久消費財」と呼ぶには、いささか耐用年数が短いものと言わざるを得ない。
他の充電式製品と同様、半永久で気に使えるものではなく、また「手に持って使う」という性質は場合によっては大変な事故を起こしてしまうきっかけになり得ると意識しなければならない。製品評価技術基盤機構(nite)が、地面に落とす等の強い衝撃を与えたハンディファンを使用し続けたことを想定する実験を行っている。
詳しくは、この記事を直接見ていただきたい。動画も掲載されている。
【動画の解説】
地面に落とすなど強い衝撃で損傷した携帯用扇風機のバッテリーが破裂する事故の再現映像です。リチウムイオンバッテリーを搭載した携帯用扇風機が普及していますが、強い衝撃でバッテリー内部が破損すると、破裂や発火につながるおそれがあります。もしも、強い衝撃を与えてしまった場合は、使用を中止して、製造・輸入事業者や販売元の修理窓口に相談してください。
(携帯用扇風機「1.損傷したバッテリーが破裂」 nite)
長年使い続けてきたハンディファンは、やはり買い替えが必要になる場合が殆どのはず。しかし、それを考慮した時新たな問題になるのが「ハンディファンの処分の仕方」である。
これは現状、自治体によって対応がまちまちではあるが、環境省では去年からモバイルバッテリー製品の処分方法についての一律的な制度を設ける議論を開始している。また、各地の首長もハンディファンの捨て方に関する注意喚起を行っている。以下は兵庫県芦屋市長の高島崚輔氏が、去年7月にXで投稿したポスト。
【ハンディ扇風機、そのまま捨てないで!】
⚠️ハンディ扇風機、そのまま捨てると、火事になります!他のごみとは別に「キケン」と記した透明な袋に入れてください。分けてさえいただければ、いつものごみステーションに出してOKです。指定ごみ袋を使う必要はありません。
・・・… pic.twitter.com/Y8nAHSIRHd
— 高島りょうすけ|芦屋市長 (@TakashimaR_2023) July 16, 2025
このように、ハンディファンを巡ってちょっとした社会的事象が発生しているのだ。
価格は多少高くとも…
たかがハンディファン、されどハンディファン。我々消費者がまず注意すべきは、「名のあるブランドの製品を選ぶ」ということだ。
これは、モバイルバッテリーにもそのまま当てはめられる。Amazonや楽天市場等のネット通販では、極端に安価な謎製品が数多く出回っているのが現状だ。ハンディファンも「家電製品」であり、メーカーの持つ技術が反映されている。安全性を考慮するなら、多少は高くとも有名メーカーの製品を選ぶべきだろう。
参考
折りたためてデスクでも使える!リン酸鉄リチウムイオン電池採用で安心なハンディファンが新発売 株式会社ニトリホールディングス PR TIMES
携帯用扇風機「1.損傷したバッテリーが破裂」 nite
文/澤田真一
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