「絶品B級グルメ」とか「ソウルフード」と呼ばれるものは日本全国にある。で、みなさんはこう考えたことはないだろうか。「日本各地にあるんだったら世界各地にも当然B級だけど超絶うまいものがあるんじゃないか?」と。
というわけで世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」が、居住国や旅先で出会った「絶品ソウルフード」を大紹介するシリーズ。今回はフランスから「ソッカ」をお届けする。

南仏発祥の「ソッカ」とは?
フランスには「粉物なのに炭水化物控えめ」という完全に矛盾しているような魔法の食べ物が存在する。フランス通や料理好きなら「ああ、そば粉でつくるガレットね」と反応されるかもしれない。だが今回紹介するのはそれらの発祥の地である北部ブルターニュ地方とは正反対の南フランス・ニースの食べ物。その名を「ソッカ」という。
屋台で売られることが多いのも「ザ・粉物」と言える。

「ソッカ」が炭水化物控えめな理由とは?
さてこの「ソッカ」、なぜ「粉物なのに炭水化物もカロリーも控えめ」なのか。ヒントは先ほど書いたクレープとは別のフランスの薄焼きパンケーキにある。そう、ガレットだ。
ガレットがそば粉からつくられるのと同様、「ソッカ」も小麦粉以外からつくられる。だから炭水化物控えめなのだ。
しかもその小麦でない主原料、事情を知らない人ならおそらくなかなか正解にはたどりつけない意外にも程があるものだ。
つまり「大麦粉」ではない。トルティーヤのような「トウモロコシの粉」でもない。ビーフンのような「米粉」でもない。
ヒントは「春雨」だ。しかも日本の春雨ではなく、中国の。
じつは日本の春雨と中国のそれとでは原料が異なる。前者はジャガイモやサツマイモ、トウモロコシなどを主原料とするのに対して、後者はリョクトウ(緑豆)が用いられる。リョクトウはモヤシの原料にもなる豆だ。そう南仏ニースの薄焼きパンケーキ「ソッカ」も豆類を主な原料とする。具体的には「ヒヨコマメ」だ。
日本でも麺好きだが炭水化物を控えたいという人たちにリョクトウの春雨や大豆からつくったヌードルが人気が高まっている。それと同様にヒヨコマメも、炭水化物の量が小麦粉よりも控えめなのだ。データを見てみると小麦粉100グラム中に炭水化物は約75グラムなのに対して、乾燥させたヒヨコマメだとおよそ60グラム(データによって多少ばらつきがある)。つまり小麦粉の約8割だ。
値段はどれもだいたい3~4ユーロ(約560~740円)。物価の高いフランスではこれでもお手頃価格と言える。
ちなみにニースには一週間ほど滞在したが、その間ソッカの屋台ばかりでクレープのそれは一度も見なかった。ただしこれはたまたま筆者の目に入らなかっただけからもしれないが。

取材協力
フランス観光開発機構 /www.france.fr/ja
プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方観光局/www.provence-alpes-cotedazur.com
ニース・コートダジュール観光会議局/www.explorenicecotedazur.com
アンティーブ・ジュアンレパン観光会議局/www.antibesjuanlespins.com
エールフランス航空 /www.airfrance.co.jp
文/柳沢有紀夫
世界約115ヵ国350名の会員を擁する現地在住日本人ライター集団「海外書き人クラブ」の創設者兼お世話係。『値段から世界が見える』(朝日新書)などのお堅い本から、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)などのお笑いまで著書多数。オーストラリア在住
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