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日米のAI・半導体関連株の下げは健全な調整の範囲内か?大型IPOなど3つの懸念材料から考察

2026.06.15

◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

2026年6月5日、アメリカでは雇用者数の伸びが予想を大幅に上回った5月の雇用統計によって利上げ観測が強まり、主要株価指数は下落。株式市場では特に人工知能(AI)・半導体関連株の急落が目立ち、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどは大きく下落した。

そして週明け6月8日の国内市場においてもソフトバンクグループ、東京エレクトロン、アドバンテストなど、値がさのAI・半導体関連株が大きく下落。日経平均株価の下げを主導した。

そんな日米AI・半導体関連株の大幅調整に関する分析リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いているので街頭をお伝えする。

日米AI・半導体関連株の大幅な調整は、大型IPOに伴う需給悪化など3つの懸念材料が主因

6月に入り、日米の株式市場では人工知能(AI)・半導体関連株の大幅な調整が目立っている。足元で主な懸念材料として指摘されているのが、

(1)米国での大型新規株式公開(IPO)を前にした換金売りによる需給の悪化
(2)米国とイランの攻撃応酬による中東情勢の悪化
(3)5月の米雇用統計に起因する米利上げ観測の強まり

という3点だ。今回のレポートでは、それぞれについて考え方を整理してみたい。

まず、(1)の需給悪化懸念については、米スペースXが6月12日にナスダック市場に新規上場して、750億ドル(約12兆円、1ドル=160円で換算、以下同)を調達するとの報道が背景にあると思われる。

日本での募集額は最大25億ドル(約4000億円)になるとも報じられており、IPO応募のための投資家による保有株式の売却が、足元の株価調整の一因になっているとの指摘もみられる。

■IPO前の換金売りは一時的、中東情勢も弊社の原油想定不変なら、株式市場の堅調さは継続

一般に、大型のIPOを前に、実際に換金売りが行なわれたとしても、それはIPOまでの動きであり、あくまで一時的な需給悪化要因にすぎない。

また、株式投資などの待機資金とされるMMF(マネー・マーケット・ファンド)は、直近で運用残高が7.9兆ドル(約1264兆円)に達しており(図表1)、ここからもスペースXのIPO応募に向かう分は相応にあると推測され、換金売りを過度に懸念する必要はないと考えている。

次に、(2)の中東情勢の悪化については、この先、米・イランの攻撃応酬が続いても、部分的、限定的であれば、原油価格の急騰や株式市場の急落という事態は避けられる可能性が高いと思われる。

三井住友DSアセットマネジメントは、北海ブレント先物価格が当面1バレル=100ドル強で推移して、80ドル台に低下するのは来年以降と想定しており(図表2)、これが変わらない限り、日米株式市場の堅調地合いは維持されるとみている。

■米国は連続利上げ局面入りとはならず、日米AI・半導体関連株の下げは健全な調整の範囲内

最後に、(3)米利上げ観測の強まりについては、米国が本格的な利上げ局面入りした場合は注意が必要だが、弊社は予防的な利上げが年内9月と12月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ行なわれるのみと考えており、本格的な利上げ局面入りまでは想定していない。

6月16日、17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は注目されるが、今回は中立的な姿勢が示され、過度にタカ派的な内容にはならないと予想している。

以上より、足元のAI・半導体関連株の下げは、過熱感を和らげる健全な調整の範囲内と考えることもできる。

なお、米国の大型IPOは、スペースXの後、オープンAI、アンソロピックが続く見通しで、上場時の時価総額はスペースXが1.8兆ドル、オープンAIとアンソロピックは各1兆ドルに達する模様だ。

上場後のこれらの株価が市場全体に与える影響は相応に大きくなることが予想され、業績の見極めが一層重要になると考えている。

◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

関連情報
https://www.smd-am.co.jp

構成/清水眞希

@DIMEはサイトローンチ時より編集業務に携わる。現在は雑貨や家電、オーディオなどの新製品に加え、各種の社会調査・統計、話題の新スポットからイベント情報などを担当。信条は正確さとわかりやすさ。最近の趣味は日付が変わる時刻のウオーキング。

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