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サッカー日本代表の戦術をプレイバック!2010年代、日本人の弱点に向き合った「1対1」の追求

2026.06.14

FIFAワールドカップ北中米大会では、日本代表はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。サッカー日本代表の歴代監督は世界に勝つための様々な戦術を練り、選手たちはJリーグや海外で研さんを積み、日本のW杯8大会連続出場につながった。そんな足跡を、戦術面などに造詣の深い、元サッカー日本代表・戸田和幸さんとサッカーライター・河治良幸さんのふたりが振り返る。

※本稿は『DIME 8月号』(2026年6月16日発売)掲載の「【完全保存版】日本サッカー躍進の軌跡」から一部を抜粋・再編したものです

2010年代で印象的だったザックジャパンの「アシンメトリー」、ハリルジャパンの「デュエル」

河治:ザッケローニ監督時代のことはどのように見ていましたか。

戸田:〝ザックジャパン〟は完成度が高かったです。選手同士の関係性もできていたと思いますし。ただ、W杯の直前に少しピークアウトした感はありますよね。

アルベルト・ザッケローニ監督の「アシンメトリー」(2013年 ブラジルW杯 アジア最終予定 オーストアリア戦)/相手陣内に人数をかけながら、素早いパスワークを軸に左右非対称の役割を与えて、攻撃イメージを共有。右サイドバックのレギュラーだった内田篤人は「左の(長友)佑都、ヤットさん(遠藤保仁)、(香川)真司で作り、右の岡ちゃん(岡崎慎司)で仕留める」と表現。

河治:完成度が高いだけに主力メンバーが固定されがちでしたね。だから主力メンバーのコンディションに波が出たことで、最後半年ぐらいはチームの状態を上げるのが、かなり難しくなってしまった。

戸田:それを見越した選手層の厚いチームづくりができていなかったといえるでしょう。

河治:当時のことは、まさに今の〝森保ジャパン〟にも生かされているところでしょうね。

戸田:選手のコンディションに関して言えば、ブラジルW杯の際、単純にキャンプ地と試合会場の移動距離に問題があったのかなと。だって選手が重く見えましたもん。

河治:遠藤保仁さんのインタビューにあるように、ブラジルW杯は、選手たち以上にスタッフがすごく経験した大会になったんじゃないかと。

戸田:練習場所が試合会場とは全然違う環境のところでしたし。

河治:次の〝アギーレジャパン〟は縦に速く攻める意識付けが特徴で、それは〝ハリルジャパン〟にもつながっていきましたよね。

ハビエル・アギーレ監督の「タテへの意識づけ」(2015年 アジアカップ 準々決勝 UAE戦)/高い位置からの守備と素早い縦への攻撃を組み合わせて、ポゼッションよりもゴール前のチャンスを増やすことを重視。トレーニングでも、いかに早く、効率よくボールを前に運ぶかを選手に求めた。パスの選択肢も最優先は前線、厳しければ中盤という基準が明確に。

戸田:ハリルさんは「デュエル」をかなり強調していましたよね。

河治:練習でも1対1を徹底的にやらせていました。外国人選手に対して苦手意識を持たず、戦うことから逃げるなと。そんなハリルさんはロシアW杯の本大会直前というタイミングで解任されるわけですが、そのまま続けていたら、どんな結果を残せていたのか、誰にもわかりませんよね。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の「デュエル」(2017年 ロシアW杯 アジア最終予選 オーストラリア戦)/基本的にアギーレと同じく、ゴール方向に素早く攻めるスタイルを植え付けながら、試合で生じるデュエル(1対1の勝負)に勝ち切ることで、試合を有利にしていくことを強く求めた。それまで日本人のウイークとされてきた部分に逃げない姿勢は〝森保ジャパン〟にも影響を与えている。

戸田:彼のように明確な決め事を作って選手に伝える方が、W杯のような短期の大会でハマる可能性が十分にありますから。

河治:ロシアW杯では最終的に急きょ西野さんが監督に就任し、短期間でチームをまとめてベスト16に進みました。準備の時間もなくバタバタだったと思いますけど、それでも選手と話し合いながら、チームをまとめて初戦に入れたのは西野さんの功績だと思います。

戸田:急場しのぎみたいな部分もあったと思いますけど、その方が逆に躍動感が出ることもある。それもフットボールなんですよね。

西野朗監督の「ポゼッションへの回帰」(2018年 ロシアW杯 グループリーグ コロンビア戦)/ロシアW杯では4バックを組み、押し込んだところからの切り替わりでプレッシャーをかける。3-4-2-1をベースにボールを保持しながらサイド攻撃と中央突破を使い分け、選手の個性やアイデアを局面で発揮させる策も見られ、当時コーチだった森保現監督のベースになった。
(右)大迫勇也/2018年ロシアW杯コロンビア戦でコーナーキックから劇的にゴール。高校サッカー時代のエピソードから「(大迫)半端ないって」が同年の新語・流行語大賞にノミネートされた。前回のカタール大会はまさかの選外。
(中央)長友佑都/無尽蔵のスタミナと走力で、主に左サイドバックとして過去4大会のW杯を経験。チーム一番のムードメーカーであり、2018年ロシアW杯の直前合宿ではチームの雰囲気を良くするために、金髪の〝スーパーサイヤ人〟に。
(左)長谷部 誠/2010年の南アフリカW杯で、開幕直前にキャプテンマークを託され、2014年のブラジルW杯、2018年のロシアW杯で不動のキャプテンとして日本代表を支え続けた。〝森保ジャパン〟のコーチとして北中米W杯に挑む。
(写真提供:時事)

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取材・文/河治良幸、編集/田尻健二郎、web構成/峯亮佑

Author
大学卒業後、『週刊ポスト』で週刊誌記者としてキャリアを始める。医療、芸能、政治、社会問題などを担当し現場取材を中心に経験を積む。2023年からは@DIMEで編集者兼ライターを務め、ビジネスからエンタメまで幅広く取材・執筆を行なう。取材・執筆した企画(一例)/「ポケモン超進化論」(「DIME 2023年9・10月合併号」)、「ガンプラ45年の軌跡」(「DIME 2025年9・10月合併号」)

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