クルマは軽自動車のような日常生活の必需品のようなものからプレミアムブランドの趣向品まで様々なタイプがある。趣向性が強くなればなるほど、ユーザーのこだわりも強くなり世界に一つしかない“オンリーワン”を作れるオーダーメイドシステムが存在する。
クルマ同様に自転車も日常生活に欠かせないタイプからロードバイクまで様々なタイプが存在する。今回工房を取材することができた、パナソニックサイクルテックの「パナソニック オーダー システム(以下POS)」も、こだわりのユーザーのオンリーワンのロードバイクを制作してくれるシステムだ。
カスタムオーダーバイクって?
ユーザーの体格や好みのカラーに仕立てられるオーダーメイドのPOSは39年前の1987年6月1日より開始された。当時は米国輸出の低迷と低価格輸入車の流入により、国産メーカーにとって厳しい市場環境となっていた。
そのような中、当時の社長のゴルフ仲間の「高価なクラブが他の人と同じものだと気分が悪い」というひと言から、カスタムオーダーバイクの発売を決断した。
また、パナソニックサイクルテックはオリンピックや競輪の選手に車両提供を行っており、競技にも使用される高いクオリティの商品がほしいというユーザーも声も多かった。POSは当時としては、画期的なPCやFAXによる,オーダーバイクの生産・販売を効率化し、約2週間という短い納期を可能としたシステムとして提供開始。初月に504台を受注し想定以上の成功を収めて現在に至っている。
伝統的なクロモリの造形美を活かした新商品「FRCD07」
今回、このPOSの工房の見学の際にお披露目されたのが新商品の「FRCD07」だ。現在POSでは、フレームの素材にチタン(チタニウム合金)とクロモリ(クロムモリブデン鋼)の2種類を用意している。2025年にチタンを使用した「FRTD05」、「FRTD11」を発表しているが、今回お披露目された「FRCD07」は素材にクロモリを使用したモデルだ。
伝統的なクロモリの造形美はそのままにオリジナルのワンポイントファイブヘッドラグを採用。フラットマウント・ディスクブレーキおよび前後12mmスルーアクセルに対応することで、最新コンポーネントとの高い親和性を確保している。
また、フレーム素材には、国内生産による品質の高さが特長のカイセイのクロモリパイプ「ULTIMA」を採用し、クロモリ特有のしなやかな乗り味を維持しつつ、ディスクブレーキを採用したロードバイクの求められる剛性感と安定性を両立している。FRCD07のメーカー希望小売価格は36万5000円からで、マーブルエフェクトデザインは+6万6000円。タイヤやギアなどを組み合わせると60万~70万円が目安となる。
工房風景を取材してきた
たくさんの自転車が生産されている工場の片隅にPOSの工房がある。今回は塗装工程とパイプの組み立ての工程を見学できたのだが、そこはまさに職人がハンドメイドで製造する工房そのもの。塗装を行うスタッフはわずか2人で、クロモリやチタンといった素材の違いだけでなく、色によっても塗料を拭きかける角度や回数、距離もすべて異なるというまさに職人技。+6万6000円というマーブルエフェクトも工程の多さや難度の話を聞くと、安く感じてしまうほど。
また、組み立て工房では単なる金属のパイプが、職人の手により曲げられ、接合されてどんどんとロードバイクのフレームへと変貌していく。パイプを組み合わせる部分に使用するラグには銀を吹くませたロウを使用し、接合部の美しさにもこだわっているのだ。こうして仕上げられたオンリーワンのフレームがユーザーの元へと届けられている。
創業者の松下幸之助は自転車店に奉公に出され、後に「自転車は私の心のふるさと」と言って自転車事業を創業した。1980年には世界初の電気自転車を発売するなど、生活のアシから1秒を競う競技用自転車を製造・販売しているパナソニックサイクルテック。大量生産が行われるラインの横に職人たちの息吹を感じられる工房があることは非常に驚いた。
■関連情報
https://news.panasonic.com/jp/press/jn260528-1
取材・文/萩原文博







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