■旅する投資家・藤川里絵の「推し株で始めるゆる投資」
投資は難しいもの、我慢するもの――そんなイメージをまだ抱いているあなたへ。週3000円から、好きな企業を〝推す〟感覚で始める「ゆる投資術」を、旅する投資家・藤川里絵さんが紹介。最新トレンドをいち早くキャッチして〝推し株〟を見つけるヒントをお届けする。
内閣府によると、日本の総人口は1億2,380万人(令和6年10月1日時点)。そのうち65歳以上の人口は3,624万人で、総人口にしめる割合(高齢化率)は29.3%にも及ぶ〝超高齢化社会〟だ。一方で、厚生労働省が2026年6月3日に発表した『2025年 人口動態統計(概数)』によると、1人の女性が生涯で産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.14と、過去最低を更新。出生率の低下は10年連続となっている。
そんな日本だからこそ、いま注目すべき銘柄は「介護系」なのでは?100万円を目標に、個別株投資をはじめた筆者は、ファイナンシャルプランナーであり「旅する投資家」の藤川里絵さんのもとへ。超高齢化社会を逆手にとり、伸びているのはどんな銘柄ですか?
解説するのは、旅する投資家・藤川里絵さん

2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。新著『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円を貯める本』(小学館)が発売中!
人手不足を救う企業や、超高齢化社会を取り巻く事象に注目

ーー先進国の中でも高齢化がすすんでいる日本で、これから元気になるのは「介護系」なんじゃないかと注目してるんですが。
そうね、あながち外れてはいないけれど……。じつは2025年に、過去最多の介護事業所が倒産しているんですよ。
ーーえ?必要とされていそうなのに、倒産ですか?
理由は大きく二つあると思います。
一つは、介護事業者の収益である「介護保険」という保険制度の改定の影響です。介護保険は介護保険法という法律のもと、社会のニーズに合わせていくために3年に一度改定されているんですね。
2025年の経営に影響を及ぼしたのは2024年度の改定で、介護報酬は全体で1.59%の引き上げとなりました。引き上げられた1.59%のうち、0.98%が介護職員の処遇改善に使われたので、事業所にはあまり残りません。事業所にとってはきびしいですよね。慢性的に人手不足だから、今いる職員さんのお給料はちゃんと上げて働き続けてもらいたいし、新しい人も雇わなきゃいけない。
もう一つは、物価高の影響です。トイレットペーパーやおむつなど、介護の現場に必要不可欠なものの価格が上がって、費用負担は大きくなるばかり。そうなると、小さな事業所ほど苦しくなります。
こうした理由もあって、大手よりも小さな事業所がたくさん潰れてしまったんです。
ーーなんと……とはいえ高齢化は今の日本では不可逆的ですよね。
そう。だから超高齢化社会で伸びるのは、介護の現場でDX化を推進する企業ではないかとわたしは睨んでいます。
介護の現場は、まだまだ紙の書類や手入力が多いと聞きます。なぜなら働いている方が年配の場合も多いので、DX化も他の業界に比べて遅れ気味なんですね。そうした現場を手厚くケアする事業に注目してみてはどうでしょう。
たとえば、介護報酬は保険適用なので、報酬を得るためには申請して請求しなければなりません。でもその申請も、紙に手書きしていたら手間です。そのデジタル化をするソフトを提供している、とか。または、訪問介護をした記録を紙に記入して、提出して、チェックするといった、記録のデジタル化を進めるとか。あとは、介護する職員さんの勤怠管理を一気通貫できるようなサブスクとか。
ーー人手不足を救うサービスですね。
そうそう!
その一丁目一番地 でいえば『株式会社エス・エム・エス(2175)』。医療・介護・ヘルスケア・シニアライフに特化した情報インフラ企業で、介護事業者の業務効率化や収支管理をサポートするクラウドサービスの「カイポケ」を提供しています。「カイポケ」は、保険請求や日々の記録から、帳簿・採用・バックオフィスなどといった、介護の事務負担の軽減や採用支援など、事業者の経営支援もしてくれるんですよ。時価総額が1700億円ぐらいだから、まだまだこれから伸びていくと思います。
あとは超高齢化社会にともなって、自宅介護(在宅介護)する家庭も増えているそうです。
ーーそれは介護施設の不足や経済的な理由からですか?
そういった一面もあるにはあるけど、近ごろでは国や自治体が地域包括ケアシステムを推進しているので、自宅で受けられる医療・介護サービスが充実しているんですよ。だから福祉用品のレンタル需要も増えています。
それでいえば、介護用ベッド、車椅子、歩行器などをリースする『株式会社日本ケアサプライ(2393)』は、いま注目の銘柄の一つです。
アクティブシニア層の増加にともない元気な銘柄

ーーたとえば里絵さんは、何に注目していますか?
超高齢化社会だからといって、「介護系」にとらわれる必要はありません。今の50〜60代って、昔に比べると見た目も気持ちも若いと思いませんか?SNSで人気を集めるシニアインフルエンサーも増えています。体もまだまだ動いて、子育てはひと段落しているから時間が自分のために使えて、比較的お金もある。そういう「アクティブシニア層」が熱い!
ーーアクティブシニア層をターゲットにした銘柄で、元気なところを教えてください。
まずは『ハルメクホールディングス(7119)』。55歳以上のシニア女性向け会員誌『ハルメク』を軸に、ネット通販やイベントなどを展開している企業です。それから、シニア女性の体操教室「カーブス」をFC展開している『カーブスホールディングス(7085)』も好調ですよ。
あとは、近ごろ豪華客船も人気で、チケットがすぐに売り切れるそうです。退職した方々が夫婦で乗船して、国内外でのクルーズを楽しんでいるんですって。だから豪華客船を運航している企業も強いかも。それからコロナ禍くらいから、シニア層も好きな健康食品にも注目が集まっています。
そうそう、近ごろアクティブシニア層で「実家じまい」をする人も増えているそうです。自分はまだ施設に入所していないけど、実家が空きっぱなしになっているとか、家族が減って戸建の実家を売りたいとか。そういった時に、不用品の買取や捨て方がわからないものを処分してくれるなどといったことを、まるっとやってくれる『BuySell Technologies(7685)』も伸びています。
ーー「超高齢化社会」を救う銘柄に注目が集まっているとばかりに思っていましたが、いまの50〜60代はどんな様子なのか?ということから、元気な銘柄や業界を探っていくと、投資対象がかなり広がりますね。
投資する銘柄を探す時、まずはマクロな視点を持って、世の中の流れでどんなテーマが伸びていきそうか?不可逆的な点はあるか?といったことを見ているといいですよ。そこから、一丁目一番地は?その周辺は?といったふうに、銘柄を絞り込んでいく方法もあります。
ーーあまり詳しくない世界だと、一丁目一番地を見つけるのも大変では?
まず上場しているかどうかは最低条件ですが、詳しくない場合はAIに聞くといいですよ。一丁目一番地はもちろん、類似の会社があるかなど、壁打ちのように聞いていくと、いくつか会社名が上がってくると思います。それらを深掘りすればいいので、銘柄を見つけるハードルがぐっと下がりますよ。
ーーAIの賢い活用方法ですね。やってみます!
取材・文/ニイミユカ
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