もはやAIが苦手だなんて、言ってはいられない状況になってきた。自由に使いこなすためには、今が勉強のチャンスかもしれない。今回はテクニカルライターの佐倉井理冴さんに、Googleの最新AIサービス、Gemini、NotebookLM 、Lsbsなどを中心にその基本的な機能や使いかた、そしてそれらを組み合わせた実践的な活用方法を教えてもらおう。
今回は佐倉井先生の新刊書「この1冊でしっかりわかるGeminiの教科書」(SBクリエイティブ刊、定価2310円)を基に、「AI基本中の基本」を教えてもらって、苦手意識を克服するところからスタートしたい。
「何ができるのか」すらもわからない人でも大丈夫
「メール返信やドキュメント作成をAIで効率化したい」
「リサーチや会議録を自動でまとめたい」
「最新の画像・動画・音楽生成AIを試してみたい」
そう考えても、まず最初に何からスタートしたらよいか、わからない人は多いはず。さらには、こうしたAIを使って、自分がしたいこと何なのか、何が可能なのかもわからない人もいる。佐倉井先生はそんなAI迷子の私たちに、わかりやすい教科書を執筆してくれた。
「この1冊でしっかりわかるGeminiの教科書」ではGoogleの生成AIサービス「Gemini」を中心に、Google WorkspaceやNotebookLM、Google Labsの最先端機能をやさしく、実践的に解説した決定版ガイドとなっている。
何より心強いのがゼロからのスタートでも、読み進めながら実践すれば、使いこなせるようになっている点で、アカウント準備や生成AIの基礎知識から解説してくれる。その上で、チャット活用・画像生成・資料作成・業務効率化/自動化まで、豊富な事例と具体的な手順ですぐに役立つノウハウが掲載されているので、ぜひ新刊書を片手にAIの世界を進んで行こう。
なぜAIは Geminiがお勧めなのか
今回は新刊書の構成をたどりながら、Googleが提供するAIについて学ぼう。最初にGeminiの基本知識だが、佐倉井先生はたくさんのAIの中で、なぜGoogleのGeminiを勧めるのかについて、「Geminiは生成AIとして求められる機能はもちろん、Googleがこれまで提供してきたインターネット検索や、Gmail、Googleカレンダーなどの機能と連動しており、これまでのアプリケーションと一緒に自然に活用できる仕組みになっているからです」と教えてくれた。
特にGoogleアカウントさえ持っていれば気軽に無料で利用を開始できる上、上記のメールやカレンダーといったさまざまなサービスと簡単に連携させることが可能である。AI単体で完結するのではなく、Googleサービスに紐づけて、これまでのアプリケーションの延長として、より自分に合った使い方が実現できる点が強みだと佐倉井先生は言う。
Gemini基本の3つの機能をおさえる
実際にGeminiはChatGPTなどの他のAIと比べてどのような特徴があるのか。大きく分けると3つの機能がある。
1)高いマルチモーダル性、2)様々な特化機能の存在、3)画像・動画・音楽などのメディア生成、である。
1)は様々なAIがある中で、Geminiは画像や動画、音声などに対する理解力が非常に高いことが魅力的だ。言葉で伝えることが難しくても、写真や動画をAIにシェアして「これは何ですか?」や「どうすればいい?」のようにマイクに向かってしゃべりながら使うことができる。スマートフォンで使う場合とも相性が良く、非常にAIの存在が身近に感じられる体験ができる
2)については、多くの機能が存在するが、いくつか代表的なものを紹介すると、「ガイド付き学習」ではGeminiが教師役となって解説したり、問題を出力してくれる機能である。「Canvas」は企画書の作成やWebサイト、ゲーム開発などに便利な機能で、回答をその場で編集して実際にプレビューとして動かすことができる。「Deep Research」は複雑な調査作業ができる機能で、調べた内容をレポート形式で出力できる。さらにGem(後述)ではこのようなGeminiの機能を自分で定義して、さらに使いやすいように提案してくれる。
3)は文字通り、画像が音楽、動画の生成編集と動画の生成を可能にした機能である。こうした機能は基本的に無料でも利用できるが、動画の生成などは有料のバージョンのみに制限されていて、料金プランによっても一日で利用できる回数が決まっている。そのため、まずは無料体験から初めて、プランの検討をして行くのがベストだろう。
ポイント1)プロンプトにはコツがある
AIに対する指示や質問内容はプロンプトと言うが、これにはちょっとしたコツが必要だ。「指示や内容が曖昧だと、ユーザーが思っていた通りの結果にならないことがあります」と、佐倉井さんは「詩を書く」ことを例題にして説明してくれた。
“月をテーマに詩を書いてください”
ではなく、
“満月をテーマに口語体で書いてください。子どものころに見上げた月への憧れに関連付けて、大人になってからの再出発を描き、希望と始まりを思わせる雰囲気にしてください”
という具合である。
Gemで無駄な繰り返し作業をなくす
GemはGemini内で使えるカスタマイズ機能である。「Geminiはどんなことでも活用できる万能アシスタントですが、あえて特定の目的やタスクに特化したAIアシスタントを作成しておくことで、その都度入力していた詳細な指示を省くことができます」と佐倉井先生。例えば英訳機能を何回も使いたい場合、その都度「英語に翻訳して欲しい」と指示しなくても済むようになる。Gemは第三者と共有することも可能なので、プロジェクトで文書を作成する場合は同じGemを使って、それぞれが修正して完成させることができる便利な機能となっている。
ゼロからGemを作ることが難しい人には、Googleがすでに作成したテンプレート的な機能も用意されている。プリペイドGemと呼ばれるもので、現在7種類が公開されているので、参考にしたい。
ポイント2)ビジネスメールを書く
さらにGemにはメールの校正機能に特化させることもできる。顧客連絡用のGemを作成しておけば、「裸体(ライターの間違い)の柿川です」というような恥ずかしいミスも防げる。この場合のプロンプトは以下の通り。
“あなたはプロの編集者です。
与えられた文章の誤字脱字、文法的な誤りを修正してください。また、ビジネス向けによりわかりやすく、読みやすくなるように表現を提案してください。
取引先との連絡で使われる文章のため、丁寧で適切な言葉遣いにしてください”
Google Workspaceで利用できるGeminiの機能
Google WorkspaceはGoogleが提供する企業向けのグループウエアサービスのこと。すでに日常的に使っている人も多いGmail、Googleカレンダー、Googleドライブ、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Google Meetなどを連携して使える。これら各種のアプリ内からGeminiを利用することができる。
これは使いこなせば本当に便利な機能で、メールで依頼された打ち合わせ日程を、カレンダーに記入することができたり、メールの返信文を作成することが可能になる。大量のメール処理に苦慮している人はぜひ使ってほしい機能のひとつである。
文章を書くのが苦手な人はGoogleドキュメントの画面上にあるGemini サイドパネルから、文章を作成できる。佐倉井先生は「できた文章をすぐにそのまま使うのではなく、まずはこの文章をたたき台にしてから文書作成に入ることで、より効率化が図れます」とアドバイスしてくれた。
文章だけでなく、表やグラフ、関数を作成できたり、スライド原案も作ることができる。テーマやキーワードを与えることで、それを元にしたスライドが完成する。
NotebookLMは自分だけのAIアシスタント
NotebookLMはGoogleが開発したAI搭載のノートブック型情報整理ツールである。自分でアップロードしたファイルをソース(情報源)として読み込ませることで、自分だけのAIアシスタントとして活用できる。Geminiを含めたAIは時々間違った情報を正々堂々と主張してくることもあるが、自分が集めたり、作成した情報を元にすれば、間違いは起こりにくい。
これを応用すればQ&Aのノートブックを簡単に作成できる。会社の就業規則やマニュアル、社内ルールなど、共有事項をデータごとにまとめ、よくある質問(FAQ)に答えるチャットボットとして作成しておくと、情報共有が効率的に行えるようになる。
情報のベースとなるソースは、大量の情報を処理できるので長い文章や動画をまとめて要約することができる。例えば長時間のYouTubeの内容も要約できるので、すべて見なくても済むのは大変便利である。
ポイント3)スマホでも使える!
NotebookLMはスマートフォン版もあるので、使いこなしたい。
NotebookLMは音声解説や動画解説を生成できる。これまでの要約では、要点を短く箇条書きにして出力するものだったが、自然言語処理技術を活用し、大量のソースの中から必要な内容を要約し、再構成を行って、より理解しやすいものに変えてくれる。慣れてきたら音声だけでなく動画の解説も使ってみよう。
Google Labsは体験できるAIラボ
Google LabsはGoogle社内で開発されている、まだ一般向けに公開されていない、あるいはテスト段階にある新しい商品や機能などを、一部のユーザーにいち早く試してもらうことを目的としたプラットフォームである。ここではAIの可能性を感じてみたい。苦手意識のある人でも、単純に「AIは楽しい」と感じるような体験ができるはず。
既にGoogleの主要アプリに組み込まれたものから、正式リリース前の実験的なAI技術を用いたものまで、さまざまな機能が紹介されて、その詳細を見たり、体験できる。Google Labsで体験出来るのは個人ユーザー向けのGoogleアカウントのみなので、この点のみ注意が必要。
色々な機能のラインアップがあって、つい夢中になりそうだが、GEMTYPEは入力したプロンプトに合わせてユニークなデザインのアルファベットを生成できる。また、National Gallery MixtapeはロンドンのナショナルギャラリーとGoogle Art & Cultureのコラボレーションプロジェクトで、絵画からサウンドを生成できる。ゴッホのひまわりの音を聞きたい人はぜひ試してみては?
他にも画像を生成できるimageFXや画像をリミックスしたりアニメーション動画を生成できるWisk。音楽を生成できるMusicFXや動画生成のFlowなども試してみたい。
最後にGoogleのAI活用術として、佐倉井先生は下記の項目を紹介してくれた。
議事録の自動要約・整形
レポート・エッセイのたたき台作成
メールの自動下書き生成
ニュースレターや社内報の草案作成
プレゼンのストーリー構成+スライド作成
提案書のテンプレート化
Google Apps Scriptを使った簡単な業務自動化
フォーム送信結果の自動集計と要約
ブログ記事のたたき台作成
SEO対策記事のキーワード抽出と見出し提案
SNS投稿用のキャッチコピーや短文生成
動画スクリプトの原案作成
知らないトピックをざっくり教えてもらう
商品の比較検討
研究資料の要約と引用整理
英語論文の要点整理と日本語解説
資格試験対策の自習問題作成
日報・週報の自動生成
ToDoリストや優先順位付きタスク一覧作成
カレンダー予定の要点まとめ&予定候補の作成
複数人のやり取りを一つの要点に集約
売上やアクセス数の傾向を教えてもらう
旅行プランを立ててもらう
料理のレシピや買い物リストを作る
授業用教材・スライド作成
親子学習・自由研究のテーマ提案と資料作成
Geminiでソース用資料の作成&NotebookLMで要約
Gemini×Docsで共同生成
Gemini×Sheetsでデータ整形・分析
佐倉井先生が提案してくれた上記の項目の中で興味を感じた人はぜひ「この1冊でしっかりわかるGeminiの教科書」を参考にしてほしい。さらに先生は最後にAIを安全に活用するためのアドバイスもしてくれた。特にAIが引き起こしそうな法的リスクについては必読である。
著者/佐倉井理冴さん
東京都出身。テクニカルライター。Googleのテクノロジーや生成AIなどを専門にその活用法などについて執筆している。最新の動向を追いかけ、日常生活やビジネスそれぞれでバランスの取れた視点から情報を提供。AIの可能性を広げるとともに、より安全で有益な活用方法を模索している。
文/柿川鮎子







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