小学館の看板ウェブメディアの1つ、「@DIME」に寄稿し始めて10年になります。「これまで、よく続けられたものだ」と感慨ひとしおですが、10年間継続できたことがもう1つあります。
それは、冷暖房の必要な時期を除き、月々の電気代が1000円前後に抑えられたこと。もちろん、一人暮らしであることは大きな要因です。と言っても、総務省の最新調査によれば単身世帯の電気代は、ならすと月額7337円。平均よりはるかに少額で済んでいます。
電気料金の値上がりが続く昨今、周囲から「どうやって節電しているのか?」と聞かれることが増えました。そこで、誰でも簡単に真似できないことは承知の上で、そのコツを教えようと思います。
フリーランスになって健康体を目指す
10年前、筆者は長く勤めていた会社を辞めて、フリーライターとして独立しました。フリーランス稼業は、板子一枚下は地獄とも言います。例えば、健康を害して寝込んでしまえば、その分だけ収入は減ってしまう、何の保証もない厳しい世界です。
会社勤め時代は、年に数回は風邪を引き、時には2週間も欠勤することはザラでした。そこで、フリーランスの身分になって立てた誓いは、「風邪ひとつひかず、年に365日稼働する健康体になる」でした。いきおい、健康管理には気を使うことになります。
おりしも日本は、空前の健康ブーム。書店には、「こうすれば健康になる」という趣旨の書籍が並び、ネットメディアも盛んに健康情報を発信しました。筆者は、気になる健康法を見つけては、愚直にチャレンジしました。
トライ&エラーを繰り返すうちにわかってきたのは、健康法はたくさんあっても、だいたい2つのポイントに収斂されるということです。それは、
・日常的に体を動かす
・食生活は生鮮食品の比率を高める
です。なんの変哲もない、「そりゃ、そうですよね」としか言いようのない生活習慣です。でも、社会人になると意外と実践できていないものです。特にフリーライターという職業は、たまの取材を除けば、終日パソコンに向かっています。身体はがちがちにこるし、食事もできあいの総菜やインスタント食に傾きます。
筆者は、そこにメスを入れたのです。
掃除機と洗濯機をやめて手作業へ
さて、「体を動かす」ことの重要性は重々承知していても、毎日ジムに通うといったモチベーションは、当時の筆者にありませんでした。
そこで考えたのは、日常的に絶対必要な家事を「非機械化」するというものでした。これまで家電任せであったことを人力に切り替え、少しでも体を動かそうとしたのです。
最初に着手したのは床掃除。掃除機を使わず、伝統的な雑巾がけに回帰しました。これは、両腕・体幹を鍛える軽い運動になります。五十肩の予防になると推奨している医師もいるくらいですから、バカにできません。
続いて目を向けたのが洗濯。洗濯機で洗うのをやめて、手洗いにしました。やり方はまず、浴槽に衣類と洗剤を放り込んで、ゆるま湯にしばらく浸します。その後で、両腕でぐるぐるかき回すし、シャワーの水ですすいで、最後は両手で絞るのです。言うまでもなく、これは結構な上半身の運動になります。特に、毛布は水をたらふく吸い込んで、絞るのは一苦労。だから、腕や体幹を効果的に鍛えられます。
これは、ダンベルを用いた宅トレと並行して10年続けています。
冷蔵庫の使用は年数回
続いて、食生活の改善に着手しました。新鮮な野菜・果物が健康にいいとは、本能的にも納得できるし、山のようにエビデンスもあります。厚生労働省も、「野菜1日350gで健康増進」「果物1日200gのすすめ」と音頭を取っているくらいですし。
当時の筆者は、煮たり焼いたりの炭水化物や肉魚が自炊のメイン。寒さ厳しい北国に住んでいたこともあり、加熱していない野菜類はあまり摂っていませんでした。また、プリンが好物で、冷蔵庫の棚には、コンビニで調達したごほうびプリンが並んでいました。
長年続いた食習慣はおいそれとは変えられません。強制力のあるドラスティックな方策をとる必要がありました。
いろいろ思案して出た結論が、「冷蔵庫をなくす」でした。冷蔵庫がなければ、肉魚、プリンといった要冷蔵の食品を自宅にストックできません。どうしても欲しければ、スーパーまで出かける必要があります。徒歩10分の距離にお店があったとしても、毎日通うのは意外と面倒に感じるものです。だから、冷蔵庫がこれほど普及しているのですが。
そう決心した翌日には、冷蔵庫をジモティー経由で欲しい人に差し上げました。冷蔵庫なし生活の始まりです。
やってみれば、案外できるものです。そもそも、肉魚、プリンを禁止したわけではありません。食べたくなったら、往復20分かけてスーパーで買えばいいのですから。実際の話、ほとんど毎日スーパーに行って、その日に必要な食材を購入しました。
やがて、毎日のスーパー通いは億劫になり、2~3日に1回へと頻度を減らします。すると、スーパーに行かない日は、肉魚、プリンはなしとなります。代わりに日持ちする野菜・果物の比率が自然と高まっていきました。
「冷蔵庫なし生活」の健康管理上の利点は、これにとどまりません。スーパーに行ったり来たりするのでウォーキングになりますし、しなびやすい野菜はその日のうちに食べるので、常に新鮮な食材を摂ることにつながります。
やがて風邪を含め病気とは無縁となっていき、ここ10年で風邪を引いたのは2回だけです。医療機関に通院したのは、虫歯治療など数回に収まっています。同年代の男性の多くが、血糖値や体脂肪率を気にしているなか、なかなか健闘しているかと思います。
今は、食品のレビュー記事を書く際、冷蔵・冷凍食品を保存したり、氷を作ることがあるため、ミニ冷蔵庫は所有しています。ただし、電源を入れるのは年に数回です。
やれる範囲でやってみよう
上記で述べた以外にも、早寝早起きを強制するため天井灯は撤去する、電子レンジとオーブンは手放して高熱調理はやめるなど、どんどん家電を減らしていきました。
そして気づいたら、文明の利器をあまり持たないミニマリストに近い生活に。節電を意識していなかったのですが、気づいたら電気代約1000円の日常となっていました。
ガジェット・家電の紹介記事を書くので、知識のキャッチアップに努めてはいますが、そうしたものに囲まれて生活しているわけではないのです。
もちろん、こんな修行僧めいたライフスタイルは、真似できない人の方が圧倒的多数のはず。ですが、QOLを崩さずにやれることは、いくつかあるでしょう。特に、インパクトの大きいが冷蔵庫です。冷蔵庫の耐用年数は10年程度ですが、それより古いものを使用しているなら、買い替えを検討する余地ありです。今の冷蔵庫は省エネ設計で、電気代が旧型の約半分で済む機種もあります。なおかつ、極力小さいサイズへの買い替えを考慮するのです。そして、マヨネーズなど、長期にわたって少しずつ使うものだけを入れ、生鮮食品は買ったその日のうちに消費することを心がけます(冬場だと外で保存という手もあり)。
もう一つの電気食いは照明器具です。読書など、手元だけ照らせばよいなら、小型ソーラーライトで間に合います。天井灯も、典型的な円形の大きなものでなく、小さなLED球でも間に合う場合は多いです。
そして、エネルギーを湯水のごとく使えない時代がやってくるかもしれません。そのときになってうろたえないためにも、細かな節電対策はやっておいて損はないでしょう。
文/鈴木拓也
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