2026年5月、アイスタイルより発表された「@cosmeベストコスメアワード2026上半期新作ベストコスメ」。2025年10月1日~2026年3月31日に発売された新商品を対象に、生活者に支持されたコスメを総括するもので、総合大賞に選ばれたのは敏感肌向けのdプログラム「モイストケア ローション EX」だ。
近年は美容医療発想の攻めたスキンケアがトレンドだったはずだが、選ばれたのは「敏感肌向け」。やりすぎ美容の反動なのか――消費者が「攻め」ではなく「守る」、保守的美容へと傾いた背景を、@cosme リサーチプランナーの原田彩子さんと西原羽衣子さんに伺った。
「バズりコスメ」や「痛いコスメ」時代の終焉か。重要なのは、自分に合うコスメ
2026年上半期を振り返り、原田さんたちがまず注目したのは「バズ離れ」。物価高でコスメも値上がりしており、生活者はSNSでバズっているものよりも“自分に合うもの”をより求める時代に変化したという。
西原さん「実際、口コミにおいてもバズというワードは今年減少に転じました。急激な物価高により、化粧品だけではなく生活者のライフスタイル自体が非常に厳しくなっており、化粧品を考え直さないといけない、と思っている人が増加しているのだと思います」
そんな物価高の中でも、高い評価を得て総合大賞に選ばれたのは、敏感肌に根本からアプローチすることを目指したdプログラムの「モイストケア ローション EX」。それまでの美容医療発想の成分コスメブームから変化し、安定した肌を目指したい、つまり“肌治安”を守りたい、という人が増加したからこそ、支持された「守り」のコスメだという。
原田さん「数年前は痛ければ痛いほど効果が実感できる“痛いコスメ”というワードがトレンドになりましたが、そういった風潮から少し変わってきたと思います。レチノールのA反応、というワードも数年前に最大化し、良い効果を求めるには痛いのも付き物、という時代でしたね。そこからトレンドの成分でも“自分に合うもの”、“合わないもの”があることを理解し、今の肌に何が必要なのかを見極めて取り入れたいという、生活者の考えが一段階上がったことを感じます」
例えば成分ブームで注目された「レチノール」、「高濃度ビタミンC」、「アゼライン酸」は「攻め」の成分で強い刺激を与えることがあり、使用前には使用する側の成分理解が必須となる。しかし、そもそも専門家ではない生活者に、理解を委ねるべきものではないのでは、と原田さんは言う。それよりも、「レチノール」だけれども刺激が少ない、「高濃度ビタミンC」だけれども刺激が少ない、といったような、深く理解せずとも不安なく使えるアイテムが、今後は支持される可能性が高いようだ。
実際、総合 第3位にランクインしたAnua「ビタミン10ポアストリクスセラム」は、「ビタミンC系は高濃度だとピリついたりすることもあるのですが、これは毎日取り入れてもまったくピリつかず本当に使いやすいです」というクチコミが寄せられたという。
西原さん「成分の効果感と、肌治安を守ること、それを両立した商品が受賞しました。@cosmeのプロデュースメンバーを対象にしたアンケートでも『たとえ効果が高くても、刺激があるものは使用したくない』という声が増加し、肌治安を重視するという考え方が広まっていることを感じています」
原田さん「成分の組み合わせをAIで行うというイノベーションを発表しているメーカーもあります。テクノロジーの発展により、生活者が使い方を難しく考えなくとも効果を得られるコスメが今後、登場するのではないかと思いますね」
メンズが使いやすいアイテムも。目覚ましい進化を遂げている「日焼け止め」
肌治安を守る上で、これからの季節に重要になってくるのが「日焼け止め」。ただ、日焼け止めのアイテムが膨大すぎて、「日焼け止め迷子」が多く発生しているという。そして数ある日焼け止めの中で、選ばれているアイテムに共通しているのが「心地よさ」。「ベタつく」「閉塞感がある」「白浮きする」といったあらゆる悩みを解決するアイテムが、今後より注目されるようだ。
西原さん「例えば、『ビオレ UV アクアリッチ エアリーホールドクリーム』はものすごい軽い仕上がりで、かつテクニックフリーで均一に伸びる日焼け止めです。コスメデコルテ『UV コンフォート エアリートランスペアレント』も、塗っていることを忘れる心地よさですね」
昨今の猛暑や紫外線の強さを背景に日焼け止めの進化は目覚ましく、女性も、男性も、大人も、子どもも心地よさを感じる、それぞれに合わせた日焼け止めも登場している。特に男性は、一昔前までは日焼け止めを使う人はごくわずかだったが、近年は紫外線をカットすると疲労感が軽減されるという研究結果も資生堂から発表されており、取り入れる人が増えているという。
原田さん「焼けたくない、というよりは、疲れたくないから日焼け止めを塗る、という男性もいるようです。今年は『アネッサ マルチ コントロールUV ジェル』や『ファンケル メン スキンケアUV』などメンズ専用日焼け止めも新発売となり、広がっていることを感じてますね。汗を拭きながら、同時に日焼け止めを塗り直せる『ゼロホール UVブロックシート』も、男性には取り入れやすいと思います」
水を飲む感覚で、インナーケア。「サプリ水」がトレンドの予感
心地よく、ストレスフリーで取り入れる美容の流れは、インナーケアにも。現在、インナービューティーの関心は高まっており、@cosmeのプロデュースメンバーを対象にしたアンケートでは「サプリメントを習慣的に摂取している」と答えた人は全体の40.6%にも上っていたという。
一方で、サプリメントは毎日飲むものが多く、欠かさずに続けるというのはハードルが高い。そこで、@cosmeが注目しているのが、ビタミンCやセラミド入りの「サプリ水」。水を飲む感覚で、美容に良い栄養素を取り入れられるストレスフリーなアイテムだ。
多くの人が買い物を楽しんでいる原宿駅前の@cosme TOKYOでは、レジ前に置いている「温泉水99」が水分補給として大人気。その流れで、今後はインナーケアできるサプリ水の人気が高まるのではないかと予測している。
原田さん「内側からうるおしたい、というニーズが高まっていると感じています。こまめに水を摂取することへの意識からはじまり、今は温泉水が人気で、次はサプリ水かなと。水分補給するのであれば、良いものを、という発想ですね」
成分ブームの反動で、無理をしない保守的美容へと人気が傾いているコスメトレンド。物価高も影響しているが、コスメ欲が落ち着いたのかというとそうではなく、あくまでも「より自分に合うものを」という選別意識の高まりが反映されているという。そのため、自分に合うコスメであれば、中~高価格帯であっても惜しまず投資する、というのも今の傾向だ。「効果を感じる」「心地よく使い続けられる」――世には数えきれないコスメがあふれているからこそ、そんな生活者のニーズを両方とも満たすアイテムが、今後も支持されそうだ。
・@cosme
HP:https://www.cosme.net
取材・文/小浜みゆ
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