日経平均株価が2026年6月1日に終値で6万6934円33銭の史上最高値、取引時間中も6万7231円28銭をつけたこともあり、マーケット関連のニュースがネットを中心に多く見られるようになった。そんな記事の中で見かける用語の一つに「現物累計買い越し額」がある。
この現物累計買い越し額とは、特定の期間(年初〜現在など)において、投資家が手元資金で行なう「現物取引」で、株式などの「買い付けた金額」が「売却した金額」を上回った状態(買い越し)の合計金額のこと。市場の需給を表す指標とされ、中でも海外投資家の現物累計買い越し額は中長期的な株価のトレンドに影響を与えると言われている。
そんな日本株の上昇と海外投資家の売買状況、さらに現物累計買い越し額に関する分析リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いているので概要をお伝えする。
年初から5月第3週までの海外投資家の現物累計買い越し額は約10.9兆円と他部門比突出
足元では、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)が過去最高値を更新するなど、日本株の堅調な推移が続いている。そこで今回のレポートでは、海外投資家など主要投資部門別の日本株売買状況を検証。日本株のけん引役を探っていく。
まず図表1は、1月第1週から5月第3週までの期間における現物および先物の売買代金差額の累計を、主要6投資部門別に示したものだ。

現物の累計買い越し額では、海外投資家の約10.9兆円が突出しており、事業法人の約2.8兆円を大幅に上回っている。
参考までに、2025年の1年間における現物の累計買い越し額は、事業法人の約10.5兆円が最大で、海外投資家は2番目に大きい約5.4兆円だった。これと比較しても、海外投資家は2026年の年初から、いかに積極的に現物を買い越しているかがわかる。
■23年3月以降の現物累計買い越し額はこれまで順調だった事業法人に海外投資家が迫る勢い
海外投資家と事業法人について、少し時間をさかのぼって現物買いの推移をみると、興味深い動きが確認できる。
図表2は、東京証券取引所(以下、東証)が資本コストや株価を意識した経営を企業に要請した2023年3月31日を含む2023年3月第5週から、直近の2026年5月第3週までの165週における、海外投資家と事業法人による現物売買代金差額の累計を示したものだ。

東証が資本コストや株価を意識した経営を企業に要請してから74週目(2024年8月第3週)までは、海外投資家の累計買い越し額が事業法人を上回っていたが、その後は逆転。事業法人の累計買い越し額が海外投資家を上回り、順調に積み上がっていった。
この間、海外投資家の累計買い越し額はいったん減少したが、105週目(2025年3月第4週)からは回復に転じ、足元では事業法人の累計買い越し額に近づいている。
■日本株のけん引役は事業法人と海外投資家の現物買い、相場調整時は一定程度の下支えに
なお、事業法人による現物買いは、主に自社株買いと考えられる。また一般に、現物を取引する海外投資家には、中長期的な視点で運用を行う年金などが含まれ、先物を取引する海外投資家には、短期的な視点で売買を行う投機筋などが含まれるとされることから、海外投資家による現物の累計買い越し額が増加傾向にあることは、日本株にとって好ましい動きだと思われる。
以上より、最近の日本株の上昇をけん引しているのは、事業法人と海外投資家による現物買いと推測され、背景には東証の要請に基づく企業の資本効率改善の進展と、それに対する海外投資家の再評価があるとみている。
一方、人工知能(AI)・半導体関連銘柄の上昇などで、このところ相場の過熱感が指摘されているが、ここまで安定した現物買いの動きが確認されており、調整が入っても一定程度の下支えになることが期待される。
構成/清水眞希







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