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【BUSINESS BIBLE SELECTION】インフレに負けないマーケティングを学べる本3選

2026.06.10

拡大するマーケットの波に乗れ

『セカストの奇跡 逆襲のゲオ 3兆円超「リユース」市場を攻略せよ』

著/野地秩嘉 プレジデント社 1980円

『セカストの奇跡 逆襲のゲオ 3兆円超「リユース」市場を攻略せよ』

 拡大する市場にいち早く参入し、先行者利益を得るのは、新規事業の勝ちパターンのひとつだ。レンタルビデオショップを祖業とするゲオは、衣料・服飾雑貨のリユースショップ『セカンドストリート』を買収後、2011年から集中投資を開始。現在、国内店舗数は900店を超えている。

 少子高齢化が進む日本における数少ない成長市場のひとつ「リユース」市場は、メルカリの登場以降、文化として定着し広がった。この波にセカンドストリートはタイミング良く乗った。もちろん急拡大できた背景には、ゲオの店舗開発、運営ノウハウがある。しかし、最も重要な成功要因はタイミングを逃さずに集中投資を行なった経営判断にあるだろう。

 変化の激しい時代において、レンタルビデオショップから始まり、事業内容を変化させながら成長するゲオの経営は、今の時代にこそヒントを与えてくれる。

差別化こそが成功の鍵

『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』

著/野村一裕 日経BP 2200円

『バーガーキング流 逆襲のマーケティング UNDERDOG MARKETING』

 1993年に日本に初出店したものの赤字経営を続け、経営母体を変えてきた『バーガーキング』の業績が絶好調だ。香港のファンドが買収し、2019年以降、売上高は6年で6倍。店舗数は300店舗を超え、ハンバーガーチェーン第3位となった。

 低迷するバーガーキングを躍進させたのが、業界の王者マクドナルドの研究から見えてきたポジショニング戦略だった。大きいサイズ、直火焼きという調理法により、本格バーガーを売りとして差別化を図った。特徴を明確にし、SNSやPRを活用して認知を拡大させることでファンを獲得した。

 結果だけを見れば、むしろなぜ今までできていなかったのかと不思議に思えるが、実際に実行することは難しい。本書では、バーガーキングの様々な施策が紹介されており、飲食店に限らず、あらゆるプロモーションの参考になるだろう。

なぜ1軒の町中華は大ヒットしたのか

『日高屋 10人中6人に美味しいといわれたい』

著/神田 正 日本実業出版社 1760円

『日高屋 10人中6人に美味しいといわれたい』

 首都圏に約470店舗を展開する熱烈中華食堂『日高屋』の原点は、1973年に創業した埼玉の小さな町中華だ。決して立地の良くない場所で、創業者の神田氏は「出前」と「深夜営業」で繁盛店をつくった。今では珍しくもない業態だが、当時はコンビニも普及しておらず、深夜営業の競争相手は駅前の屋台ラーメンだけだった。

 日高屋の強みは、駅前一等地で大衆中華料理と居酒屋の要素を取り入れた「ちょい飲み」にある。物価高の影響で今は異なるが、「ビール1杯、餃子1皿、ラーメン1杯で、1000円でお釣りがくる」という価格設定で、大ヒットした。

 競争の激しいラーメン専門店を避け、減りつつある大衆中華に業態を絞ったことも事業拡大につながっている。

 普遍的な顧客のニーズを捉える、競争を避け、勝てる市場で戦う。マーケティングのお手本が詰まった一冊だ。

坂本 海さん

〈選者〉『bookvinegar』編集長 坂本 海さん
ビジネス書の書評メディア「bookvinegar」編集長。大学卒業後、半導体商社、ベンチャーキャピタルを経て、2011年ブックビネガーを設立。これまで2500冊以上のビジネス書を紹介している。

撮影/黒石あみ(書籍) 編集/寺田剛治

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