PCやスマホ、生成AI。登場した瞬間に〝当たり前〟を塗り替えるゲームチェンジャーがある。今年3月発売のザ・ゼブラ『ハモン』もまた、文具市場の新たな転換点として期待が集まる。価格は5万9400円。ゼブラ初の超高級ボールペンだが、完売や入荷待ちが続出している。開発を指揮する同社シニア・プロフェッショナルの中田裕二郎さんが語る。
国産〝熟成〟ボールペン
「まずコンセプトが違います。一般的に高級ボールペンは、万年筆とセットでデザインされることが中心で、性能や機能よりも装飾性が優先されてきました」
ゼブラにとって『ハモン』は、海外勢が寡占する高価格帯への初参入を担う戦略的プロダクトだ。そこで差別化の軸として掲げたのが〝ニッポンの最高をつくる〟という明快なコンセプトである。
「装飾だけでなく、性能も高級でありたい。我々の強みである実用文具のベクトルで高級品を作れば〝ゼブラらしさ〟ひいては〝日本らしさ〟を表現できると考えました」(中田さん)
この思想を具現化するために、1本当たり1時間以上かけて削り出すアルミ軸に、同社がこれまでのヒット商品で培った機構やノウハウを統合。書き味の根幹となる中芯は、国際規格を度外視した専用設計に踏み切った。極め付きは新開発のエイジングチップだ。
中田さん自身が感動の筆記体験のひとつに挙げる〝真鍮製チップを採用した昔のボールペン〟に着想。特殊な処理によりチップ加工時の歪みや切削痕を解消し、ボールとチップの摩擦を低減することで、使い込んだような書き心地を再現した。この新品の状態からなじんだ書き味と、手のひらに収まる絶妙な重心バランスは、業界のご意見番である文具王・高畑正幸さんをも唸らせたという。
「『うかつに感動してしまった』『感動してしまったから買うしかない』と伺えたことが印象的でした。『ハモン』はザ・ゼブラの第一弾。次のクサビになる唯一無二の製品ができたという確信につながりました」(同)
【DIMEの読み】
高級ボールペンの相場は海外品が3万円前後、日本品は5000~2万円程度。挑戦的な製品だが、高級化の追い風もあり業界内の評判も上々。エンタメの「シン」に続き「ザ」を冠した文具が増えそうだ。
ザ・ゼブラ『HAMON』
5万9400円

国産ボールペンブランドの第一弾。ボール径は一般的な0.7mmで重量は30g。専用替芯(1430円)ほか、購入後10年間保証、新たな専用替芯を発売した際に1本無償提供する登録制サービスも。
〝ゼブラらしさ〟を伝える5つのヒット商品

取材・文・編集/渡辺和博
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