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家族を殴ったら罪になる?警察はどこまで介入する?弁護士に聞いてみた

2026.06.04

家庭内であっても、暴力を振るうと犯罪が成立し、逮捕などの大きな事態に発展することがあります。本記事では、家庭内での暴力についてどのような犯罪が成立するのか、実際に警察はどこまで介入するのかなどを解説します。

1. 家庭内での暴力も犯罪に当たる

一般に、他人に対して暴力を振るうことは「暴行罪」(刑法208条)に当たり、暴力によって他人にけがをさせた場合は「傷害罪」が成立します(刑法204条)。

暴行罪や傷害罪は、被害者が誰であるかを区別することなく成立します。つまり、全く見ず知らずの人を殴った場合も、家族を殴った場合も同じということです。

「子どもに対するしつけ」などの名目であっても、暴行罪や傷害罪の成立は否定されません。

2. 家庭内での暴力にも、警察は介入することがある

暴行罪や傷害罪が成立する以上、家族に対する暴力も警察による摘発の対象となります。

例外的に「親告罪」である犯罪については、起訴(=刑事裁判にかけること)するために被害者などの告訴が必要とされています。

しかし、暴行罪や傷害罪は親告罪に当たりません。被害者が処罰を求めておらず、告訴をしなかったとしても、家族に対して暴力を振るった人を警察が逮捕することはあり得ます。

実際に、親から暴力を受けたとの子どもの相談を受けた児童相談所が警察に通報し、親が逮捕されるといった事案が報道されています。

3. 家庭内の暴力なら、通常よりも刑が軽くなるのか?

家庭内の暴力であることだけを理由に、暴行罪や傷害罪として科される刑罰が軽くなることはありません。

たとえば、窃盗罪などの財産犯については、配偶者・直系血族・同居の親族との間で罪を犯した場合は、その刑が免除されるなどの特例が設けられています(親族間の犯罪に関する特例、刑法244条)。

しかし、暴行罪や傷害罪にはこのような特例がありません。家庭内の暴力でも、法定刑は親族関係のない人に対して暴力を振るった場合と同じです。

特に、被害者がけがをした場合に成立する傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」であり、きわめて重く設定されています。

被害者が家族でも、悪質な暴行を加えた場合や大けがをさせた場合などには、長期間にわたる実刑判決を受けるおそれがあるので注意が必要です。

4. 家族に対する暴力によって逮捕されたらどうなる?

家族に対して暴力を振るったことで逮捕された場合でも、必ず刑罰が科されるわけではありません。検察官に起訴されて刑事裁判にかけられ、有罪判決が確定した場合に限り刑罰が科されます。

実際には、暴力を振るったことが事実であっても、起訴されずに釈放される例が多く見られます。裁判所や刑務所のリソースは限られていますし、刑罰を科すより社会の中で更生を促した方がよいと思われるケースも多いからです。

特に、暴力の態様がそれほど悪質とは言えず、被害者との間で和解している場合には、起訴されずに釈放される可能性が高いと考えられます。

不起訴の場合は逮捕後23日以内に釈放されます。起訴前の身柄拘束(逮捕・勾留)の期間が、最長23日間とされているためです。

ただし、実際に釈放されるタイミングは事案によって異なります。被害者との和解などの条件が早い段階で整えば、早期に釈放されることもあります。

起訴された場合は、原則として裁判所の法廷で審理が行われ、有罪・無罪および(有罪の場合は)量刑を裁判所が判断します。

有罪判決が確定した場合は刑罰が科されますが、執行猶予が付された場合は刑の執行が猶予されます。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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