いつからか様々な場面で聞くようになった「LGBTQ+」という言葉。実際のところ、この言葉の意味を正しく理解している人はどれくらいいるのだろうか。また、昨今議論の対象となっている「同性婚」の法制化について、賛成派と反対派どちらが多いのだろうか。
電通グループの国内事業を統括・支援するdentsu Japan内の組織であるdJ DEIオフィスは、全国の20~59歳46,658人を対象に、LGBTQ+を含む性的マイノリティーに関する「LGBTQ+調査2026」を、2026年1月19日~1月27日の期間に実施し、その結果を発表した。
同グループは、これまで2012年、2015年、2018年、2020年、2023年と5度にわたり、性の多様性を尊重し誰もが生きやすい社会づくりに向けて、LGBTQ+をめぐる現状の把握・課題発見を目的として、「LGBTQ+調査」を実施してきた。
6回目となる本調査では、LGBTQ+当事者層(レズビアン(L)、 ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クィア・クエスチョニング(Q)、その他多様なセクシュアリティ(+)に該当する回答者。以下、「当事者層」)の意識や経験に加え、LGBTQ+非当事者層(異性愛者であり(ヘテロセクシュアル)、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する(シスジェンダー)回答者。以下、「非当事者層」)の意識や知識、行動についても詳細な分析を行った。
(1)当事者層の割合は10.6%、2023年の調査(9.7%)から微増
「LGBTQ+調査」では、性のあり方を「性自認」、「生まれた時に割り当てられた性」、「性的指向(恋愛感情または性的な関心がどこに向かうか」の3つの組み合わせで分類。調査実施時点での回答にもとづき、異性愛者であり(ヘテロセクシュアル)、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する(シスジェンダー)回答者以外を「LGBTQ+当事者層」と定義している。
その結果、46,658人を対象としたスクリーニング調査の全回答者に占めるLGBTQ+層の割合は10.6%と2023年調査の9.7%から微増となった。【図表1】
LGBTQ+という言葉の認知については 76.7%と高い水準になっているものの、各属性に対する言葉の認知には、G(ゲイ):90.6%、Q+の中のアロマンティック・アセクシュアル:10.7%と大きく差があることがわかる。【図表2】【図表3】
【図表1】LGBTQ+当事者層の内訳
【図表2】LGBTQ+という言葉の認知率
【図表3】各属性に対する言葉の認知率
(2)学校教育でLGBTQ+をはじめとする「性の多様性」について教えるべきだと感じている人は81.7%
当事者が求める、住みやすい街になるために取り組んでほしいことのトップに「学校での教育」(18.0%)が挙げられた。【図表4】また、学校教育でLGBTQ+について教えるべきだと感じている人は当事者・非当事者を合わせた全体の81.7%にのぼった。【図表 5】一方で、学校教育の中でLGBTQ+について教わった経験があると回答した人は9.8%にとどまる。【図表6】
【図表4】
【図表5】
【図表6】
(3)LGBTQ+に関する研修を受けたことのある層は研修未受講の層と比較し、意識・行動の設問に対するインクルーシブな回答の割合が、いずれも8-10pt以上高い結果となった
企業において LGBTQ+に関する研修を受けたことのある層では、日常の行動において「LGBTQ+について正しく分かりたい・理解したいと思う」人(「そう思う」「まあそう思う」の合計)は、56.7%で、研修未受講層(43.9%)より 12.8 ポイント高い。
「目の前で誰かが差別的な言動をとった時は、話題を変えたり注意をする」人(「そう思う」「まあそう思う」の合計)は、44.2%で、研修未受講層(33.6%)より10.6ポイント高い。【図表7】
また、「店員がLGBTQ+研修を受け、言葉づかいやサービス提供に配慮がある店を利用したい」人(「利用したい」「まあ利用したい」の合計)は、63.5%。【図表8】
【図表7】
【図表8】
(4)同性婚の法制化(婚姻平等の実現)に全体の67.0%が賛成
同性婚の法制化(婚姻平等の実現)に賛成する人(「賛成」「どちらかというと賛成」の合計)は、67.0%。【図表9】また、日本で同性婚が認められても自分の生活に影響はないと思う非当事者(「そう思わない」
「あまりそう思わない」の合計)は、82.6%となった。【図表10】
【図表9】
【図表10】
(5)当事者が困難に感じたこと・もやもやした気持ちになった経験のトップ3は、「家族・親族との関係」、「学校・教育」、「人生の終盤・将来への不安(終活)
当事者が困難に感じたことや、もやもやした気持ちになった経験で寄せられたコメント数の1位は「家族・親族との関係」、2位「学校・教育」、3位「人生の終盤・将来への不安(終活)」であった。【図表11】
また、「高齢者にはLGBTQ+当事者は他の世代と比べて少ない」と考えている非当事者(「そう思う」「ややそう思う」の合計)は50.1%。【図表12】 高齢層の当事者が可視化されにくい状況がある一方で、介護や医療、終活など、直面する問題は多岐にわたる。
自由回答では「パートナーの看取りを出来ないのではないかという不安」「同性パートナーが医療の同意をできない」「老後の同性介助がどちらになるか」「戒名をつける場合、性別によって分けられる部分をつけたくない」といった回答があった。
【図表11】
【図表12】
(6)当事者の約6割が「非当事者に比べ、できないことやハードルを感じることが多い」と考えている
「非当事者に比べ、できないことやハードルを感じることが多い」と回答したLGBTQ+当事者(「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計)は、60.4%。一方で、非当事者で「自分にできることで、LGBTQ+当事者にできないことはほとんどない」と回答した人(「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計)は、53.8%。当事者が感じる現実の障壁と、非当事者側の認識との間にギャップが存在することが明らかになった。【図表13】
【図表13】
■調査担当者の解説
LGBTQ+当事者層の割合が過去調査から微増した背景には、社会において多様な性のあり方への認識が広がり、自身のあり方を自認し、回答できる人が増えていることが理由として考えられる。一方で、属性ごとの言葉の認知度には依然として大きな差がみられ、それぞれの性のあり方に対する理解を深めるとともに、当事者が安心して自分らしく生きられる環境づくりを進めていくことが課題である。
また、当事者・非当事者含む全体における教育の必要性に対する意識と、現場で提供されている学びの機会との間には、大きな隔たりがあることが浮き彫りとなった。今後は、特定の学校や教員個人の知識・問題意識に委ねるのではなく、地域や学校による差が生じにくいかたちで、性の多様性に関する学びの機会を整えていくことが求められる。
同性婚の法制化(婚姻平等の実現)については、支持する回答が多数を占め、非当事者の多くが制度導入による自身の生活への影響はないと感じていることが明らかになった。マイノリティーの基本的人権は多数派の支持の有無に関わらず保障されるべきものであり、制度のあり方について、引き続き議論が進むことが期待される。
最後に、LGBTQ+当事者は法律や制度上の不平等や、社会に根付く暗黙のルールや雰囲気により、ハードルや困難に直面することがあるが、その事実が LGBTQ+非当事者からは見えづらい現状があることがわかった。
LGBTQ+当事者が困難に感じたことやもやもやした気持ちになった経験は、人生のはじまりから終わりまで幅広く存在している。特に、非当事者の半数が高齢世代には他世代と比べて当事者が少ないと考えていることから、高齢世代の当事者の存在や直面する問題が、時代背景や思い込みによって社会的に見えにくくなっている可能性が示唆される。
<調査概要>
・目 的:性の多様性を尊重し誰もが生きやすい社会づくりに向けて、LGBTQ+をめぐる現状の把握・
課題発見
<スクリーニング調査>
・対象エリア:全国
・対象者条件:20~59歳
・サンプル数:46,658人
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 期 間:2026年1月19日~1月27日
<本調査>
・対象エリア:全国
・対象者条件:20~59歳
・サンプル数:6,240人(LGBTQ+層該当者600人/非LGBTQ+層該当者5,640人)
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 期 間:2026年1月19日~1月27日
注:LGBTQ+当事者層割合、人口構成比に併せて、都道府県、性別、年代(20-30代/40代-50代区切り)でウェイトバックをかけている。
注:本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
出典元:dentsu Japan
構成/こじへい







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