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日本市場に新たなEVブランド「EMTA」が誕生、第1弾は2027年に軽EVを投入へ

2026.06.03

日本市場向けの新たな自動車ブランドが誕生する。

その名は「EMTA(エムタ)」だ。

2027年の市場投入に向けて、本格始動するEMTA。左から山本 浩二CTO、何 暁慶CEO、打越 晋CMO

2029年までに4車種を投入。第一弾は軽自動車のEVから

さて、EMTAはどのように始動したのか、その成り立ちを簡単に説明しよう。

EMTAは株式会社EMTが放つブランドだ。「Easy, Made To All」を語源としており、EMTAは単に技術を誇示するのではなく、「すべての人の日常を幸せにする」という目的を掲げている。

EMT社のCEOには、自動車業界で40年以上の経験を有し、南京汽車や上海汽車、フォードなど複数の自動車OEMグループで経営幹部を歴任した、何 暁慶(か ぎょうけい)氏が就任。

株式会社EMT 代表取締役 CEO 何 暁慶氏

その想いを達成するために、打越 晋氏がCMO(Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者)に、山本 浩二氏がCTO(Chief Technology Officer=最高技術責任者)にそれぞれ就任している。

打越 晋氏は日産自動車で車載用半導体のエンジニアとしてキャリアをスタート。日産モーターエジプトやルノーサウスアフリカ、東風日産乗用車公司、愛知日産自動車で代表者を歴任している。

山本 浩二氏は同じく日産自動車で29年もの経験を持ち、初代「リーフ」の開発にたずさわり、J.D. パワージャパンの代表取締役社長などを経て現職に至る。

両氏とも、長年にわたり自動車業界に関わり、EVへの造詣は深い。何CEOと打越CMO、山本CTOが集うことで、EMTはグローバルなEVの知見を持つ企業となっている。

そして、EMTは前述のとおりEMTAブランドを立ち上げ、2027年には第一弾として軽自動車のEVをリリースする予定となっている。

日本では新車販売のうち3台に1台を軽自動車が占める。また軽自動車の多くが平均月間走行距離は約400kmとされ、遠出のためというよりは、ちょっとした買い物や送迎、通勤など毎日の暮らしに根ざした利用が主体となっている。

そこで、EMTAでは暮らしに寄り添う軽自動車のEVを、ブランドのトップバッターに指名したのだ。

さらに、2029年までに4車種のEVを市場へ投入する予定となっている。今後の動向に注目が集まりそうだ。

EMTAのティザー画像。軽EVをはじめとし、今後の複数モデル展開を予定!?

EMTAの技術の特徴は?

EMTAでは、日常に寄り添うクルマをユーザーに届けるため、4つのコア技術を開発している。

1.Magic SDV(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)

技術の中核となるプラットフォームは、フルスタックのOTA(無線アップデート)で、納車後もユーザー体験や操作方法、走行性能、バッテリー管理の最適化などを継続的にアップデート。まるでスマートフォンのように、購入後も進化し続けるクルマを目指す。

2.Magic Sync(マジック・シンク)

スマートフォンを持ちクルマに近づくと自動で解錠・起動して、シート位置やミラー、ステアリング角度、エアコン温度、画面設定、走行モードなど、乗る人ごとのプロファイルへシームレスに切り替える。

3.Magic EV(軽EV専用プラットフォーム)

軽自動車規格の制約の中で居住性と衝突安全性能を両立させるために、軽EV専用プラットフォームを新規開発。

複数ユニット一体型のeアクスルを搭載し、床下へ大容量バッテリーを配置。優れた静粛性と力強い加速感、毎日の生活に十分な航続距離と急速充電性能を実現する。

また、クルマから家庭用に電力を供給する「V2H(Vehicle to Home)」や家電などに給電する「V2L(100Vコンセント給電)」を装備しており、災害時の非常用電源としても活用できる。

加えてスマートフォン操作による事前の車内温度調整や、駐車中のアイドリングなしでのエアコン使用にも対応する。

4.Magic Drive(マジック・ドライブ)

エンドツーエンド方式のレベル2自動運転支援システムの搭載を計画。運転負荷の軽減と安全性の向上を目指している。

山本 浩二CTOに聞く、EMTAの軽EVのこれから

EMTAの軽EVはどんなクルマになるか、今から楽しみだが、市場での競争力はあるのか? 2027年登場というスケジュールは順調なのか? 山本 浩二CTOに聞いてみた。

Q.軽EVのユーザー層はコスパに敏感かと思われます

山本CTO:私たちが想定している軽EVのユーザー層は、月に400km以下で1日20km程度の走行距離が主な方です。このくらいの移動での電力消費なら、満充電するのに急速充電でなくても、帰宅した夜に充電すれば済むわけですし、かかる電気代も限定的だと思います。

最近のレシプロエンジンは確かに故障しにくいですが、それでも摺動により性能は劣化しますし、エンジンを交換することもあります。

一方、バッテリーには機械的な可動部が少ないため、可動部による摩耗の劣化は原則ありません。また、最近はバッテリーを冷却するシステムを搭載したEVが多く、バッテリーの劣化速度も緩やかになっています。さらに、8年間/16万kmのバッテリー保証期間を設定するメーカーも多いです。

EMTAの軽EVユーザー層は、年間5000km以下の走行が主です。8年間乗っても4万kmなので、バッテリー保証期間内での利用が可能になる方が多いかと想定しています。

おそらく家族で遠出するには、ミニバンなどを選ぶでしょうし、すべての用途を満たすクルマとは思っていません。ユーザーのちょっとした用事や生活に寄り添う、そんな軽EVが多くのユーザーに受け入れていただけたらと願っています。

Q.最近は、大手自動車メーカーから優れた軽EVが登場し、競争は激化していると思います

山本CTO:そうですね。日産自動車やホンダ、三菱自動車など各社から軽自動車のEVが販売されています。でも、日本のEV販売比率は2%前後といわれています。これは軽自動車以外も含んでの数値です。正直「たった2%しかない」わけです。

その2%の市場を他社さんと競争して勝ち獲る……そんなつもりではありません。世界平均は約2割と言われています。各社さんと共に、日本でのEVの販売台数自体を増やしたいと考えています。

Q.2027年にEMTAの軽EVが販売されるスケジュールですが、技術面でのネックはありますか?

山本CTO:中国で生産し、日本へ輸入することも可能ですが、いずれは一定規模の販売を見据えていきたいので、EMTAは日本で型式認証を受ける予定です。

もちろん技術者として審査に通るよう万全を期していますが、認証するのは我々ではなく、国土交通省の管轄です。発売スケジュールは認定時期により変わるので、今は2027年発売予定ということでアナウンスさせていただいております。

Q.EMTAの第一弾車種は軽自動車ですが、海外での展開は視野にありますか?

山本CTO:軽自動車のボディサイズの規格は全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、高さが2.0m以下となっています。ご存じかと思いますが、「smart(スマート)」というコンパクトなクルマがありました。全長が3mを切るサイズですが、全幅はコンパクトカーのサイズです。なので、軽自動車の規格だと全幅の狭さが海外マーケットでの課題になるかもしれません。

欧州の型式認証も受けますので、将来的な海外展開も視野に入りますが、まずは日本のお客様の生活に寄り添えるブランドであるよう日本市場に注力していきたいと考えています。

オートバックスでの販売も想定。EMTAの軽EVへの期待

2027年の発売に向けて、前進を続けるEMTAの軽EV。オートバックスはじめ複数の自動車販売業とのパートナーシップによる独自の店舗・メンテナンス網の構築に加え、ショッピングモール内の小型拠点、移動型の出張店舗などでの販売を想定している。

当面は中国での生産を軸に、当地の技術やコスト競争力を活かしながら、日本のEMT主導で商品定義から設計、品質の造り込みまで行い、日本向けに厳しい製品管理を行っていく予定だ。

中国の生産力と日本の技術力を合わせ、日本市場に最善の車種を開発するEMTA。国産車・輸入車という壁を越えた「暮らしに優しい軽EV」の登場は、日本のEV販売を促進する起爆剤になるかもしれない。

【参考】EMTA Official Corporate Website

取材・文/中馬幹弘

慶應義塾大学卒業後、野村證券にて勤務。アメリカンカルチャー誌編集長、モノ情報誌編集を歴任。iPhone、iPad登場時よりスマホ実務に携わる。

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