小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

クルーズ船で死亡者が出た「ハンタウイルス」とは?ネズミが媒介する感染症の脅威

2026.06.01

ハンタウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「MVホンディウス号」が、18日に最終目的地のオランダ・ロッテルダムに到着した。

20日までに世界保健機関(WHO)が公表した情報によると、感染が確認されたのは9人で、2人は感染の疑いがあるという。計11人のうち、3人が死亡した。

主にネズミなどげっ歯類を介して感染するというハンタウイルスは、どのような感染症なのか、感染症専門医で藤崎メディカルクリニック副院長の佐藤留美先生に話を聞いた。

ハンタウイルスに感染するとどうなるのか?

ハンタウイルスとは、主にげっ歯類(ネズミ類)などの野生動物が持つウイルスの総称だ。

「人への感染後、潜伏期間は1週間から6週間ほどと幅広く、感染から時間が経って発症するケースもあるのが特徴です。最初は発熱、頭痛、悪寒、めまい、全身倦怠感、腹痛、吐き気、顔の赤み、目の充血、皮疹といった症状が出ます。このハンタウイルスは、ウイルスの種類と流行している地域によって、大きく2つに分けられ、重い症状の出方が異なります」

■2つの株の違い

一つは、アジアやヨーロッパを中心に生息するネズミが媒介するハンタン株・ソウル株。もう一つは、南北アメリカを中心に生息するネズミが媒介するアンデス株だ。

「ハンタン株・ソウル株は、腎症候群出血熱を引き起こし、発熱や腎臓に障害をきたすことが特徴です。腎機能が低下して尿が出なくなり、血圧が下がってショック状態になるといった重症型では、最大15~20%ぐらいの致死率といわれています。アンデス株はハンタウイルス肺症候群を起こします。急激な呼吸困難やショック状態を引き起こし、致死率は最大50%にも達するといわれています。今回のクルーズ船の集団感染事例で確認されているのは、アンデス株です」

■治療法はあるのか?

どちらの株も特効薬はなく、ワクチンもない。

「治療法がないということは、体力に頼るしかなく、対症療法で回復を目指すしかありません。呼吸困難になれば酸素投与を行い、脱水や血圧低下があれば点滴で水分を補うなどです。だからこそ、感染を予防することがとても大切なのです」

もしもの時のために覚えておきたい感染予防

さまざまな感染症に対して、手洗いやうがい、マスクなどが感染予防になるとされているが、ハンタウイルスに関してはどうなのだろうか。

「基本的にハンタウイルスは、ウイルスを保有しているネズミの唾液や糞尿を介して、人間の体内に入ります。例えば、糞尿が土壌に混じるなどして、それが空気中に舞い上がり吸い込んだり、糞尿がついた食器で食事をしたり、糞尿で汚染された水が傷口に触れるなどといった感染経路が考えられます」

一般的には、ハンタウイルスはコロナやインフルエンザのように人から人へ広がることはないとされている。ただし、アンデス株に関しては例外だ。

「ごくまれに人から人へ感染することが確認されています。今回のクルーズ船の集団感染が注目されている背景には、人から人へ感染している可能性があるからです。実際に重篤化し、亡くなっている人がいるという点もあり、大きく取り上げられていると考えられます」

日本に住む私たちは警戒すべきなのか

ハンタウイルスは昔からあるウイルスだが、現在は特定の地域にしか生息しないネズミからの感染が多いとされている。日本に住む私たちは警戒が必要なのだろうか。

「現在の日本では感染リスクは極めて低いので、過度に恐れる必要はありません。日本国内でも過去にハンタウイルス感染症が発生した事例はありますが、1960年代から70年代頃の話。現在は衛生環境が整い、日本国内ではハンタウイルスを保有しているネズミは確認されていないとされています。ただし、今後患者が出てくる可能性はゼロとは言えません。例えば衛生環境が整っていないエリアのネズミが船に乗って日本に入ってきて繁殖し、感染を広げるということはあり得ます」

日本では今のところハンタウイルスへの感染は低そうだが、ネズミが媒介する感染症はほかにもあるため、予防意識は持っていた方がいいという。

「ネズミが媒介する感染症はハンタウイルス以外にも数多くあり、鼠咬症やサルモネラ症、レプトスピラ症、ペストなどが有名です。鼠咬症は直接ネズミにかまれることで細菌が侵入し感染します。サルモネラ症はネズミの糞尿によって汚染された食品や食器を介して経口摂取することで起こります。ほか、レプトスピラ症は尿で汚染された水や土壌から、皮膚の傷や粘膜より感染します。それ以外に、ネズミについていたノミやダニに刺されることで感染してしまうペストなどもあります」

動物は自然界の中でいろいろなウイルスや細菌を保有しながら暮らしている。動物と人間は共存して生きていかないといけないため、感染症について正しく知ることが、過度に怖がらずに、冷静に対策するための助けになるはずだ。

佐藤留美先生プロフィール

2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック 副院長に就任。医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。

取材・文/田村菜津季

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2026年5月15日(金) 発売

映画『正直不動産』と大コラボ!不動産の買い時を徹底検証、住宅価格高騰の今知るべき不動産の「ウソ・ホント」を専門家と解き明かす!最新メンズ美容アイテム特集では頭皮・UV・汗などこれからの時期へ徹底対策!さらにunoオールインワンシャンプーも付録についた充実号!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。