春の心地よい陽気があっという間に過ぎ去り、日差しの強い日が増えてきた。「いよいよ夏本番」の気配を感じる今の時期に多くの人が関心を寄せるのが日焼け対策だ。
「どの日焼け止めがおすすめか――」といった会話をしたことがある人も多いはず。
そんな日焼け対策アイテムの中で、最近よく目にするようになってきたのが「飲む日焼け止め」だ。いったい「飲む日焼け止め」にはどのような効果が期待できるのか。水道橋ひふ科クリニック院長の神島輪先生に話を聞いた。
まず整理したい日焼け対策の必要性

初夏から欠かせない日焼け対策。そもそもなぜ紫外線を避け、日焼け対策をした方がいいのだろうか。
「紫外線が皮膚にダメージを与えるからです。日焼けは火傷と同じようなもの。皮膚が赤くなったり、黒くなったりします。更に、表面だけではなく紫外線はより深いところまで届くため、シミ・シワ・たるみの原因になり、加齢を進める要因にもなります。加えて、皮膚がんのリスクにつながる可能性もあります」
特に5月や6月は、紫外線により赤くなるなど、皮膚症状が出る人が増えやすい時期だという。急に日差しが強くなる時期でもあるものの、真夏ほど警戒されておらず油断している人も多い。また、体がまだ紫外線に慣れていないこともあり、症状が出やすくなるそうだ。
飲む日焼け止め、怪しくないの?
「今の時期から秋口までしっかり紫外線対策を行ってほしいです。その中で飲む日焼け止めはぜひ検討してほしいアイテムのひとつです。ただし、飲む日焼け止めは、塗る日焼け止めや、物理的な遮光と併用する前提で考えるべきもので、単独で使うものではありません」
飲む日焼け止めは「補助的」な役割を担う存在だということだ。
「塗る日焼け止めや帽子、日傘、サングラスなどで対策していても、日焼けを完全に防ぎきれないことがあります。塗り損ねた箇所があったり、汗で落ちたりと、やはり完璧に紫外線から体を守り抜くにも限界があります。飲む日焼け止めが担う役割は、〝”焼けないようにする〟”ことではなく、〝”焼けにくくする〟”〝”赤みを出にくくする〟”〝”日焼けによるダメージを軽くする〟”というものです。薬ではなくサプリメントなので、何なにかを治すためのものではありません」
飲む日焼け止めに期待できること

では、この飲む日焼け止めを飲むと、体にどのような効果が期待できるのだろうか。
「ポイントとなるのが活性酸素です。紫外線を浴びると、活性酸素ができやすくなります。それが細胞を攻撃してダメージや老化に繋がる。飲む日焼け止めの主な目的としては、その活性酸素を作らせにくくしたり、悪さをしにくくしたりして、結果的に体を守ることです。入っている成分などはメーカーごとに違いはありますが、目指している効果は同じです」
パッケージの裏側などを見ると成分などが書かれているが、どのような商品を選ぶといいのだろうか。
「飲む日焼け止めとして流通している商品の代表的な成分は大きく分けて3種類です。シダ由来成分のフェーンブロック、ハーブ系成分のニュートロックスサン、そしてビタミンCやアスタキサンチンといった抗酸化物質を中心としたものです。これらの成分がしっかり入っているものを選びましょう。あまりにも安価な商品だと、有効成分が十分入っていない可能性もあります。もし、選ぶのが難しいという人は、皮膚科など医療機関で取り扱っている製品を検討するとよいでしょう。医師の目というフィルターを通し、自分の患者さんに勧めたいと思っている製品なので、変なものは置いていないと思いますよ」
飲む日焼け止めの購入をきっかけに、皮膚科のかかりつけ医を見つけられると、日焼けに関して皮膚のトラブルが起きたときも相談しやすくなるといったメリットもある。
注意すべきことは?
「基本的にはサプリメントなので、強い副作用が出る可能性は極めて低いと考えられます。しかし、シダやハーブ由来の成分を使っている製品であれば、こうした植物由来成分にアレルギーがある人は避けた方がよいですし、ハーブによっては高血圧の人には向かないものも。また、サプリメントは肝臓や腎臓で代謝するため、肝臓や腎臓の調子が悪い人は推奨しにくい。基礎疾患があり、服用中の薬がある人は、主治医に相談したうえで使用してほしい」
妊娠中・授乳中は使用不可と書かれているものも多いため、しっかりパッケージなどを読んで、用法用量を守って使用してほしい。
「多く飲めばその分効く、というものではない点にも注意が必要です。飲む日焼け止めに期待されている活性酸素を除去するという効果は、アンチエイジングとも関わりが深いです。美肌や老化予防の面でプラスになる可能性もあります。私自身も日焼け対策として飲んでおり、絶対に焼けたくない人、塗り忘れが多い人、塗り方に不安がある人には向いていると思います」
飲む日焼け止めだけを飲んでいれば紫外線対策はバッチリ!という感覚になるのは危険だが、補助的な役割を担うアイテムとして捉えれば、心強い選択肢のひとつといえる。「塗る+遮る+飲む」で、これからの厳しい夏を乗り切りたい。
神島輪先生プロフィール
日本抗加齢医学会専門医、日本レーザー医学会認定医、日本皮膚科学会正会員、サーマクール認定医、ウルセラ認定医。東京女子医科大学を卒業後、東京女子医科大学病院、シロノクリニックなどを経て、水道橋ひふ科クリニックを開業。
取材・文/田村菜津季
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