電気工事の現場は、人手不足なのに仕事は増える一方。あまりの忙しさに、頭を抱える人は多い。
一般社団法人日本電設工業協会によると、令和2年度から令和6年度までに正・企業会員136社データを集計したところ、電気工事の完成工事高は、令和2年度(2020年度)は2兆8550億円であったのに対して、令和6年度(2024年度)は3兆5295億円と急伸している。
一方、ビルや工場、マンションなどの電気工事も担える第一種電気工事士は、令和2年度の2万6830人に対して、翌令和3年度は2万7938人と増加したが、その後は減少・もしくは横ばい状態で、令和6年度は2万8092人と、完成工事高の伸びに対応しきれていない状況だ。
【参考】会員企業の経営実態調査結果概要(令和2年度~令和6年度・5年統計)|一般社団法人日本電設工業協会
さらに、建設業の時間外労働の上限規制についても、2024年4月1日以降、災害の復旧・復興事業を除いて適用されるため、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)と制限されることに……。
【参考】建設の事業における時間外労働の上限規制について|厚生労働省
現場の仕事は増えている。でも、働く人が足りないし、残業も難しい……それが電気工事現場の状況だ。
そんな厳しい環境の中、蛍光灯の製造販売が中止されるという。
「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」(COP5)で、2027年末に一般照明用の直管・非直管蛍光ランプの製造・輸出入が禁止されることが決まったのだ。
【参考】水銀に関する水俣条約第5回締約国会議 COP5について|環境省
……これがなぜ大変かと言うと、「蛍光灯をLED照明に交換する工事が、一気に増える」ためだ。
一般住宅での蛍光灯の残存率は約55.6%*と推計されており、全LED化への道のりはまだ先が長い。
出典:「あかりの日」委員会『みんなの「~したい」をかなえる Lighting 5.0 編~2025年度版~』(2025年8月)
人手不足の中、さらに交換工事が増える……これは由々しき事態だ。
電気工事現場の救世主になるか? 穴径を調整できるリニューアルダウンライト
電気工事現場が多忙なのは、ご理解いただけただろう。そんな現場の困難を救うため、「今までありそうでなかった」製品が登場する。
それは、3種類の穴の径に対応して、現場調査や施工の負担を減らす、「リニューアルダウンライト」だ。
2026年6月1日に発売されるこちらの製品が、とてもユニークなのでご紹介したい。
みなさんも、職場や自宅でダウンライトを使っているだろう。ダウンライトは天井などに埋め込まれていることがあり、その穴径は用途により多様だ。
たとえば、100、125、150、175、200mmといった形で穴径が設定されているため、現場で蛍光灯などを外してみて初めて、ダウンライトの穴径がわかる、そんなケースが多い。
また、問い合わせの際に施主から穴径を聞いていても、実際に測ってみたら違っていたり、そんな無駄な手間が作業時間をむしばむ。
そこで、パナソニックは100、125、150mm穴径に対応するMタイプと、150、175、200mm穴径に対応するLタイプを用意。3種類の穴径をカバーすることで、測り間違いによる準備の手違いを減らすことができるようになる。
5種類の穴径を2種類の製品でカバーできるため、在庫の数も減らせて経費負担も軽減可能だ。
「今までありそうでなかった」と感じる理由は、穴径の調整機構が機械的にユニークな構造だから。
Mタイプは、取り付け金具を左右に引っ張ると、内部の回転金具が回り、100、125、150mm径に対応する。
Lタイプは裏側の回転金具を回すことで、150、175、200mmの穴径に対応する仕組みだ。
なぜMタイプとLタイプで金具の設計が違うのかをパナソニックの担当者にたずねたところ、構造的にシンプルなのはLタイプなんだそう。
本当はMタイプにも使いたかったが、最小穴径が100mmになると、径内に回転機構を収めるのが難しいのだとか。そのため、MタイプとLタイプの2種類でまったく異なる設計にする必要があったという。
さらに、無線調光「ウィズリモ2」の対応モデルも用意されている。
別売の指向性の高い専用送信器により、本体を1台ずつ調光できて便利だ。
また、本体設置後も送信器だけで明るさを簡単に設定できるため、光束の選択作業が不要なのもメリットとなる。
そもそも、なぜ穴径の種類がたくさんあるの? 統一は難しいの?
今回、リニューアルダウンライトの発売に伴い、「なぜダウンライトには穴径の種類が多いのか」と疑問になったので、パナソニックの担当者へ確認したところ、その理由として光源の種類が増えたことで、穴径の種類も自ずと増えていったという。
また、「穴径を統一するのは難しいのか」と聞いたところ、施主は天井などへ空けた穴のサイズを変えたがらないのだそう。
筆者も、自宅天井にダウンライトを設置しているが、LEDへの変更で天井の穴を大きくしたり、逆に塞いだりするのは煩わしいし、できればいじりたくない。
当面、ダウンライトの穴径は多様なまま利用されていくのではないだろうか。そこで、このように可変式の対応器具があるのは心強い限り。
つまり、パナソニックのリニューアルダウンライトは、施主と工事業者の双方から求められる存在なのだ。
「ありそうでなかった」ダウンライトのリニューアルユニット。ちょっと地味だけれど、時代のニーズに応える頼りがいのある製品が誕生した。
取材・文/中馬幹弘







DIME MAGAZINE























