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選ぶならどれ?家電ライターが本気で推す進化系ファン扇風機3選

2026.05.29

日本の夏に欠かせない家電である「扇風機」は、かつては数千円で購入できる比較的安価な家電だった。その常識に変化をもたらした製品のひとつが、2010年に発売されたバルミューダの「The GreenFan」だろう。同製品の登場によって、「高価格でも風の質にこだわる」という新しい価値観が市場に浸透した。

それから10数年。扇風機の進化は想像以上に速い。かつては高級機だけの特徴だった高性能DCモーターは、今では比較的コストパフォーマンスの高い製品にも広く搭載されるようになった。

加えて、工具不要で分解掃除できるモデルや、コンパクト収納を実現したモデルなども登場している。いまや一定価格帯以上の製品であれば、「風質の良さ」はある意味で扇風機としての前提条件。

そんな中、2026年の今年は単なる風質競争ではなく、新しい使い方や独自構造による付加価値を持った「進化形ファン」が続々と登場している。

まるで風の毛布!? 筆者オススメNo.1はシャークの「TURBOBLADE」

今年もさまざまな扇風機やサーキュレーターを試してきたが、その中で個人的に最も印象に残り、いま最も使用頻度が高いのが、シャークニンジャから登場した「Shark TURBOBLADE ハイパワータワーファン」(以下、TURBOBLADE)だ。

一般的な扇風機は、羽根が露出した「リビングファン型」と、縦長のスリットから風を送り出す「タワー型」に大きく分けられる。TURBOBLADEは分類としてはタワー型だが、一般的なタワーファンとはかなり構造が異なる。

通常、タワーファンは縦長の本体から一定方向へ風を送り出すものがほとんどだが、TURBOBLADEは可動部分を増やしたことで、従来のタワーファンにはない使い方を実現している。例えば、両端に送風口を配置したメインの「ブレード」が回転し、縦型タワーにもT字型ファンにも変形可能。

さらに左右の送風口も、それぞれ別の角度に調整できる。これにより、さまざまな方向へ自由に風を届けられるだけでなく、別々の場所へ同時に送風することも可能なのだ。

例えば、一方を自分に向けて涼みながら、もう一方を天井へ向けて空気循環に使うといった使い方もできる。離れた場所にいるふたりで共有する場合でも、従来の首振り運転のように「風が当たらない時間」が生まれない点も魅力である。

しかし、筆者が本製品で個人的に最も気に入っているのは「エアブランケット機能」。

従来の扇風機では、直接風を当てると体の一部だけが冷えすぎたり、逆に首振りでは風が来ない時間ができて寝苦しく感じたりすることがあった。

一方、本製品は送風ブレードを横向きのT字型にすると、約80cm幅のワイドな送風が可能になる。この状態でベッドの足元に設置すると、まるで風の毛布を掛けているように、足元から頭の先まで全身をやさしく包み込む風を作れるのだ。

実際に使ってみると、体の一部だけが冷える不快感が少なく、全身が均一に冷やされるような感覚がある。暑がりの我が家では例年5月初旬には寝室の冷房を使い始めていたが、TURBOBLADEを導入してからは現時点ではまだ冷房を使っていない。筆者宅では室温28℃前後、湿度50%程度なら寝室ではこれだけで十分快適だった。

一方で、購入前に注意したい点もある。それは・・・とにかく大きいこと!

タワー型というと省スペースなイメージを持ちがちだが、本製品は多機能さとパワーを備えているぶん、設置時の存在感はかなり強い。特にブレードを横向きに設置する場合は、部屋の広さやレイアウトによって圧迫感を覚える可能性もあるため、購入前に設置スペースは確認しておきたい。

扇風機とサーキュレーターを「中間化」しない!象印「2WAYサーキュレーター」

ここ10年ほどで家庭用ファン市場で急速に存在感を増したのがサーキュレーターだ。さらにここ数年は、扇風機とサーキュレーターどちらにもなる「サーキュレーターファン」と呼ばれる製品も増えてきた。

とはいえ、扇風機とサーキュレーターは見た目こそ似ているものの、そもそもの役割が異なる。扇風機は人に直接風を当てて涼しさを得るもの。そのため、広がりのあるやさしい風を重視している。

一方サーキュレーターは、部屋全体の空気を循環させるための家電。そのため、遠くまで届く直進性の高い風を作る傾向がある。最近は風の制御技術が進化したことで、両方の特徴を1台にまとめた製品も増えたが、こうした複合製品は設計上どうしてもバランス型になりやすく「扇風機としてはもう少し自然な風が欲しい」「サーキュレーターとしてはもう少し遠くまで風を飛ばしたい」と感じる場面も。

そこで象印マホービンが採用したのが、用途に応じて扇風機とサーキュレーターを切り替えるという「2WAYサーキュレーター(RC-AA30)」だ。

本製品は内部に「スマートルーバー」と呼ばれる機構を搭載。扇風機として利用する際はルーバーが格納され、サーキュレーターとして使う際はルーバーが展開して風を整流する。送風特性そのものを物理的に変える仕組みで、冷房使用時はサーキュレーターとして部屋全体の空気を循環させ、普段は扇風機として体に風を当てるなど、季節やシーンに応じた使い分けがしやすい。

実際に使ってみると、同じ風量設定でも風の当たり方はかなり異なるのが体感できる。サーキュレーターモードでは鋭く遠くまで届く風、扇風機モードでは柔らかく広がりのある風になり、切り替えによる違いは想像以上にわかりやすい。また、象印らしく上下左右の首振り設定を細かく調整できるほか、衣類乾燥モードも搭載。さらに工具なしで分解して水洗いできるなど、日本メーカーらしい「日常の使いやすさ」にもしっかり配慮されている。一方で、本体がコンパクトなぶん、広い部屋で強い空気循環を求める用途では少し物足りなく感じる場面もあった。個人的には、パワー重視のサーキュレーターというより、使い勝手や多機能性を重視する人向けの製品という印象だ。この細かな使い勝手や独自の発想に価値を感じるかが、選択のポイントになりそうである。

昔の便利さを今の時代に再発明した、シロカの「しゃがみま扇」

扇風機はここ数年で大きく進化したが、一方で失われたものもある。そのひとつが昔のリビング扇風機にあった「足で操作する便利さ」。

昔の扇風機は、本体の土台部分に物理ボタンが並んでいるものが一般的で、手がふさがっているときでも足先で風の強さを切り替えられた。一方、最近のリビング扇風機はデザイン性を重視。本体スイッチが羽根背面側の目立たない場所へ配置されていたり、リモコンで操作することが前提になっている製品もある。

結果、見た目はすっきりしているものの、手が塞がっている場面などでは「操作がちょっと面倒」と感じることもある。

そこでシロカが今年投入したのが「DCリビング扇風機 しゃがみま扇 SF-DB151」だ。本製品は名前の通り、「しゃがまなくても操作できる」ことをコンセプトにした扇風機である。昔の扇風機も土台部分にボタンを備えていたが、基本的には同じサイズの物理ボタンが横に並んでいるだけだった。一方、しゃがみま扇は使用頻度の高い操作を手前に大きく配置するなど「足で操作する」ことを前提に使いやすいように設計されている。昔の便利さをそのまま再現したのではなく、現代向けにアップデートしたという印象だ。

また、操作方式が物理ボタンではなくタッチセンサー式になっている点も従来との違い。物理ボタンのようにしっかり踏み込む必要がなく、軽く触れるだけで反応するため、足先での操作は想像以上にスムーズだ。一方で、標準的な靴下程度なら反応するが、厚手の履き物やスリッパでは反応しない場面もあり、昔ながらの「とりあえず踏めば動く」感覚とは少し異なる部分もあった。

もちろん、懐かしさだけの製品ではない。リモコン長押しで、欲しい位置に風向きを調整できる「ここピタ」機能や、室温センサーで室温を検知して自動で風量や運転状態を切り替える機能も搭載。昔の便利さを取り戻しながら、中身はしっかり今どきの扇風機なのだ。

2026年の扇風機は「風」ではなく「使い方」が進化

扇風機は、風の強さや質、静音性、省エネ性能など、性能そのものを高める競争が中心な時代もあった。しかし今年は「睡眠時の風の心地よさ」や「1台で扇風機にもサーキュレーターにもなる便利さ」、あるいは「操作のしやすさ」など、暮らしの問題に寄り添った進化が目立つように感じた。

今は住環境も生活スタイルも人によって大きく異なる。設置スペースを抑えながら扇風機とサーキュレーターを兼用したいなら象印の「2WAYサーキュレーター」、リモコンをどこかに置き忘れがちな家庭ならシロカの「しゃがみま扇」など、自分の暮らしに合わせて選びやすくなっているという印象だ。

とはいえ、「今年1台選ぶなら?」と聞かれたら、筆者はやはりシャークの「TURBOBLADE」を推したい!

特に睡眠時の全身を包み込むような送風は、今までの扇風機にはなかった感覚。久しぶりに「扇風機って、まだこんな進化の余地があったのか」と驚かされた1台である。

文/倉本春

ソフトバンクにてPC雑誌の編集者を5年、ドッグカフェのオーナーシェフを6年経験後、家電ライターに転向。 現在は生活家電分野をメインにWebをはじめ雑誌やラジオなど数多くの媒体で活動を展開

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