〈コロラボPresentsキッズエンタメマーケティングの最前線・Vol.1〉テーマ『平成レトロ』
『月刊コロコロコミック』は、男子小学生のバイブルとして愛され続け、平均月間発行部数は脅威の40万部(対象は約150万人なので、ペイドメディアとしては脅威の約27%にリーチ!)という、圧倒的なホビー&エンタメ情報&おもしろマンガ雑誌としての地位をいまなお確立しています。そんな『コロコロコミック』に毎月届く読者アンケートは約1~2万通(しかも手書きのハガキです)!
そんなアンケートデータをもとに、男子小学生のリアルを定期的にレポート、および分析するプロジェクト『コロコロコミック研究所(略称 コロラボ)』を2024年に設立しました。「日本で一番 “子供の生の声”を聞けるメディアだと自負しています」と語る、「コロラボ」の所長、小林浩一がコロコロコミックの読者アンケートデータから、いま深堀っておきたいテーマをセレクトし、キッズマーケティングのヒントを探ります。
こちらの内容は以下のポッドキャスト「週刊エンタメマーケティング」でも配信中です!
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時代を超えて子どもたちを惹きつける共通点とは
記念すべき第一回目は『コロコロコミック』2026 年1月号で聞いた、巷でも話題の「平成レトロ」に関するアンケートから読んでいきましょう。早速ですが今回の調査では、男子小学生の53.8%が「親世代の玩具で遊ぶことがある」と回答しました。そして、遊んでいる玩具の人気のトップ3は「ファミコン」「ミニ四駆」「DSシリーズ」です。
私は日頃から子供たちにふれていますが、ただ単に「親が思い入れがあるもの」だからといって、子供が惹かれるわけではないと考えています。
たとえば「ファミコン」。任天堂の代表的なファミリーコンピュータという大ヒット商品があり、そこから今のSwitchまでの歴史が続いています。これは子供でも大人でも直感的にわかると思うんですよ。あのカセットをガシャンと入れればゲームができる、という仕組みそのものが。 また、ファミコンのゲームは当時のものだからデータの容量も小さいですよね。そうすると、必然的にシンプルなゲームが多くなります。今の複雑なものより、その単純でゲーム性がむき出しになっているものに、子供たちは惹かれているのだと感じます。
そして「ミニ四駆」は、今やアジアを中心に日本国内を超えて凄く人気があります。デザインも走る姿も、とにかく格好いい。それを見た時に、今の子供たちにとっても純粋に「新鮮」に感じるんだと思うんです。
先日、編集部で「今の子供はスター・ウォーズを観ていない」という話になり、実際にはじめて観た編集メンバーが最後に明かされるダースベイダーの正体に驚いた、ということがありました。上の世代は「初めて触れるなんて羨ましい」と言いますが、どんな世代にとっては「時代を超えて面白いものは面白い」のです。
ファミコンやミニ四駆も同様です。デザインが美しく、本質的に優れたプロダクトは古びません。そして読者も大好きな「ベイブレード」(5位)。コマ遊びは日本の伝統ですし、回転するということは人を魅了するプリミティブ(根源的)な面白さがあります。そこに現代の創意工夫を乗せることで、熱狂が受け継がれているのだと思います。
「懐かしさ」と「新しさ」、世代間の熱量を生めるか
アンケートには続きがあって、親世代の玩具を知ったきっかけの1位は「おうちの人」で64.9% 。2位の「友達」が10.0%ですから 、やはり家庭の影響というのは非常に大きいなと感じます 。 家庭内にある「親の記憶」。それが親にとっては「懐かしく」、子供にとっては「新しい」。この世代間の交差が、今の子供たちに強い影響を与えているのでしょう。
一方で、「YouTube」が6.4% 、「コロコロコミック」が3.3%という結果については 、僕らもYouTubeでたくさん見られるように「コロコロチャンネル」を始めとするYouTubeチャンネルを一生懸命に育ててきました。これだけ何でも情報が手に入る時代において、月に1回「コロコロコミック」を楽しみに待って、お金を出して買ってくれるという行動自体、実はすごく貴重なことなんです 。 この少子化の時代に、何十万人という子供たちが一つの雑誌に集まってくれている 。そこはコロコロにとって、子供の目線で情報を伝えるための、本当に大事なタッチポイントだと思っています。
ただ、その中でコロコロが「平成レトロ」を積極的に打ち出しているかというと、実は私たちはこれを「レトロ」とは捉えていません 。 例えば「ベイブレード」などは平成に生まれたものですが、私たちの中では全くレトロになっていないんです 。常に「ずっとアップデートし続けられるもの」として捉えています 。 だからこそ、ある世代には「懐かしいな」と思ってもらえる一方で、今の子供たちであるファーストエントリー層には「新しくてかっこいい!」と感じてもらえる。この両方の熱量があるからこそ、コンテンツが続いていくのだと思うんです。
「懐古主義」を越える「体験価値」の設計
世代を越えるコンテンツの共通要素を考えてみると、「レトロ」という言葉は非常に大きな意味を持っているので、「懐古主義」とも捉えられますよね。しかし「懐かしいからいいよね」というだけでは、おそらく時代を越えることはできません。
大切なのは、単に懐かしいだけでなく、「自分が遊んだあの時の楽しさを、うちの子にも体験させたい」と、もう一度誰かをアクションに向かわせる力があるかどうかです。たとえばミニ四駆のレース場へ行けば、同じような親子連れに出会い、「あれ、すごくかっこよかったけど、どうやって作ってるんだろうね」といった会話が自然に生まれていく。
また、「語りの文化」という側面もあると思います 。好きなものについては、誰しも語りたくなりますよね。YouTubeやSNSでも解説コンテンツが人気ですが、それと同じように、親自身が熱量を持って子供に語れるかどうか 。「昔はこんなことがあったんだよ」「実はこうすると上手くいくんだ」といった、親が語れる要素があることは大きいです。
もう一つは「コレクション性」です 。今はもう手に入らないものだからこそ、逆に価値があるという側面もあります。 やはり、そこに「体験価値」が含まれていること。そして、親と子という両者の心を、同時に強く刺激するものがあること。それが、時代を越えて愛され続けるコンテンツの条件なのではないでしょうか。
『コロコロコミック研究所』 所長 小林浩一
地方創生の企画やふるさと納税の返礼品をプロデュース。
マンガ配信サービス『週刊コロコロコミック』などの立ち上げに携わる。YouTubeの公式認証資格「YouTubeCertified」を保有。このたび新プロジェクト『コロコロコミック研究所』所長に就任。
企業や自治体へのコンサルティング活動などを通じ、出版物という枠を飛び越えて、コロコロだからこそできる新価値の創造にチャレンジする。編集のまなざしを携えて、エンターテインメントの現場とマーケティングの交差点を深堀る、Podcast「週刊エンタメマーケディング」も公開中!
https://podcasts.apple.com/jp/podcast//id1856132864
構成/DIME編集部







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