■連載/阿部純子のトレンド探検隊
「安静時エネルギー消費」とは、呼吸や内臓の働きなど、生命を維持するために常に消費されるエネルギーで、「安静時エネルギー消費」は1 日に消費される総エネルギー量の約60%を占めるとされており、その量は年齢とともに低下すると言われている。
今年3月に江崎グリコから発売された「BifiXヨーグルトα」は、腸内のビフィズス菌と短鎖脂肪酸を増やすことで、BMIが高めの人の安静時のエネルギー消費の向上、体脂肪の低減をサポートする機能が報告されている「ビフィズス菌BifiX(B. lactis GCL2505)」と「イヌリン(食物繊維)」を配合した機能性表示食品。
「BifiXヨーグルトα」の機能性のひとつである「安静時のエネルギー消費」について、江崎グリコ株式会社 乳業事業部 商品開発部 馬場悠平氏に解説してもらった。
安静時エネルギー消費を向上させる「筋肉」「シャキン!」「腸内細菌」の3つの「キン」
安静時エネルギー消費とは、生命維持のために必要な基礎代謝を含む概念で、体温調節や呼吸など、じっとしている間にも使われるエネルギーのこと。1日のエネルギー消費全体の約6割が安静時エネルギー消費であり、約3割の運動よりもはるかに大きいが、基礎代謝量のピークは10代で、加齢と共に低下していく。
「エネルギーを考える上では、食事から摂るエネルギーと消費するエネルギー両方のバランスを意識する必要があります。国際的に著名な科学誌『サイエンス』に掲載された論文では、1日あたり100 kcalの消費と摂取のエネルギーバランスを調整すると、国民の大多数で体重増加を防ぐことができると推定されています。
100 kcalは小さめのおにぎり1つ分ぐらいのカロリーですが、1日ずつそれだけのカロリーでも積み重ねていくことで、中長期的には体型、つまり体重の分かれ目になってくるということになります。安静時エネルギー消費は、エネルギーの摂取と消費のバランスにおいて、運動習慣と合わせて大きなポイントになると言えるでしょう」(以下「」内、馬場氏)
さらに、今年の夏も平年以上の暑さが予測されており、気温が高いと体は熱産生の必要性が減り、安静時エネルギー消費が低下する。また、外出控えによる活動量低下も重なり、夏はからだが「省エネ化」してエネルギーバランスが崩れ、夏太りのリスクが高まる。
馬場氏は、安静時エネルギーを向上させるカギとなるのは、「筋肉」「シャキン!」「腸内細菌」の3つの「キン」だと話す。
ポイント1は筋肉をつけて、エネルギー消費しやすいからだを作るということ。安静時エネルギー消費の約2割を占める骨格筋をトレーニングで鍛えることで、安静時エネルギー消費量を増やすことができる。
ポイント2の「シャキン!」とは、座り姿勢を整える、定期的に体を動かしてリセットするということ。長時間じっとしている状態が続くと安静時のエネルギー消費が抑制されやすくなることから、座りっぱなしではなく、定期的に体を動かすことで、エネルギーを消費しやすい習慣をつける。
「安静時エネルギー消費は、姿勢を維持する、つまりシャキン!と座るといったところに使用するエネルギーも含まれます。実際に私が実験台となって、だらっと背もたれにもたれて座っているときと、背筋を伸ばしてしっかり座っているとき消費エネルギーの違いを測ってみたところ、1時間あたりのエネルギー消費量が3.6kcalの差がつきました。
正式な研究データではなく私がグリコの研究所で測った参考のデータではありますが、1日に換算すると約86.4kcalです。日本人の成人は平均して9時間ほど座っているといわれていますので、9時間にすると約30kcalぐらいになると思います」
ポイント3は、腸内細菌が作る「短鎖脂肪酸」が安静時エネルギー消費の向上に寄与するということ。「短鎖脂肪酸」とは、ビフィズス菌などの腸内細菌が食物繊維などを代謝して生み出す腸内物質で、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが代表的。
世界中でその働きが研究されているが、短鎖脂肪酸の働きのひとつとして研究されているのが、安静時エネルギー消費の向上だ。
「グリコ独自のビフィズス菌『BifiX』と餌になる食物繊維のイヌリンを継続摂取した、腸内細菌が短鎖脂肪酸を生み出しやすい食事をしたグループと、しなかったグループの比較をした試験を行いました。
安静時のエネルギー消費がどのように変化するのか、BMIが25以上30未満の高めの方を対象に試験を行い、その結果、ビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを摂取し始めて2週間目から安静時のエネルギー消費が有意に向上することが分かってきました。
ビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを取っていないグループと比較をしますと、平均の上昇幅に関しては84~101kcal、運動に換算すると体格によって数字は変わりますが18~33分ぐらいの散歩に相当するエネルギーの差が出ました」
【AJの読み】エネルギー消費は安静時こそ大事!と太りやすくなった中高年が気付き始めた?
本連載でも、加齢による基礎代謝量の減少で、食生活は変わっていないのに太ってしまう「じわ太り」を紹介したが、この数年、食品業界で注目されているのが、基礎代謝を含む「安静時エネルギー消費」だ。
「安静時エネルギー消費」は1983年の論文でも言及されており、以前から知られている概念ではあるものの、現在、日本の人口で最もボリュームが大きい年齢層は50代前半であり、総人口の半数以上を50代以上が占めていることから、年を取るにつれて太りやすくなる理由のひとつである基礎代謝量の減少に注目が集まっていると思われる。
とはいえ、江崎グリコの「働き世代の“動いていない時間(安静時)”の健康意識に関する調査」では、体のエネルギー消費の理解度では、「体が24時間エネルギーを消費している」と理解している人は17.0%という結果に。さらに「安静時エネルギー消費」について知らない・理解していない人は約90%に上った。
同調査では、全体の半数が平日1日6時間以上、うち約10%は12時間以上座って生活しており、働き世代の約3人に1人が平日の運動時間は「1日5分未満」で、53.5%が健康面で後ろめたさを感じているなど「座り過ぎ」への意識もうかがえる。
健康習慣を意識している人が多いが、重視するのは「コスパ」に続き、「メンパ(メンタルパフォーマンス)」「タイパ(タイムパフォーマンス)」で、「お金をかけすぎない」(46.3%)、「無理なく続けられる」(46.0%)、「短時間で効果実感」(41.5%)が上位となり、健康にもコスパ・メンパ・タイパが求められる傾向があるとわかった。
こうした層に向けて、江崎グリコが構想から5年かけて開発したのが、BMIが高めの人へ向けて日本初の「安静時のエネルギー消費の向上」「体脂肪の低減」をWサポートする機能性表示食品「BifiXヨーグルトα」。既存のドリンク、個食タイプに加え、大容量サイズ(5月25日発売予定)が登場する。
取材・文/阿部純子







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