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売れ残りを半額で買える?フードロス削減アプリ「Too Good To Go」が注目される理由

2026.05.28

値上げラッシュが続く昨今、外食やコンビニの食料品は価格高騰が止まらない。最近はイラン情勢を背景とする原油高から影響を受ける食品メーカーが、さらなる値上げに踏み切っている。

こうした状況を受け、どんな食品にお金を使うのかをよりシビアに考える人が増えてきたように思う。節約志向や「本当に価値のあるものには出費を惜しまない」という消費の2極化が進むなか、日本でじわじわ存在感を高めているサービスがある。フードロス対策アプリ「Too Good To Go(トゥーグッドトゥーゴー)」だ。

世界最大級の「三方よし」プラットフォームと日本上陸の背景

Too Good To Goは、通常ならば飲食店や小売店で廃棄される運命にある売れ残りなどの「フードロス」商品を、通常よりも低価格で購入できるアプリだ。

2015年にデンマークのコペンハーゲンで誕生し、ヨーロッパや北米、アジア太平洋を含む世界21カ国で展開されている。フードロス商品を提供するパートナー店舗数は世界で18万店舗を超える。これまでに5億食以上の食品を廃棄から救ってきた実績を持ち、世界最大級のフードロス削減プラットフォームとしての地位を確立している。

日本でも、カフェやレストランなどの飲食店に加えてコンビニ「ニューデイズ」やスーパー「ロピア」、「ドン・キホーテ」といった小売店、その街にしかない地元のパン屋さんやスムージー店など多様な店舗が加盟している。売られているのは、お弁当やおにぎり、パンなどの主食から、カフェのスイーツ、コーヒー豆やお酒、野菜などの生鮮食品までさまざまだ。

使い方は、まずアプリから商品を探したいエリアを設定して検索する。自宅や職場のほか、現在地を設定することもできる。そこから気になった商品を選び、内容や指定時間内に受け取ることができるかを確認。アプリからは商品のレビューを見ることもできる(コメントはなく、点数のみ)ので、参考にするのも良いだろう。何を買うかを決めた後はクレジットカードやApple Payなどで決済し、あとは店に行くだけだ。

注意したいのは、まだ拡大中のサービスのため、自宅や職場のすぐ近くに加盟店があるとは限らないこと。また、営業日だとしても毎日出品している店ばかりではないため、「ちょうど良いエリアにタイミングよく食べたいものが売られていたらラッキー」くらいに考えておくのが良いだろう。

このサービスの核となるのが「サプライズバッグ」という販売形式だ。閉店前などに余ってしまった「まだおいしく食べられる食品」を詰め合わせて販売するもので、最大の特徴は、受け取るまで中身がわからない点にある。アプリの注文画面には「パンの詰め合わせ」「スイーツセット(1)」「デリカバッグA」など、商品の概要しか書いていないことが多い。

いわば「食品ロス版ガチャ」とも言えるワクワク感が、トレンドに敏感な層を中心に支持される理由になっているのかもしれない。なお、なかには中身が説明文に書かれている場合もあるので確認してみてほしい。

ライフハックとしての「時差ランチ」と直感的なアプリ体験

このサービスを知り、筆者も早速試してみた。というのも、筆者が普段働いているエリアでは、平日のお昼ご飯に外食しようとすると1000円以上になるのは当たり前。そのため、コンビニやパン屋などで500円以内と決めて購入したり、家からおにぎりを持っていったり、もはや食べないという選択を取ったりすることもある。

普段はそれでも乗り切れるのだが、たまには気になっていたお店のご飯を食べたくなる。ちょうどそんなタイミングでToo Good To Goを使ってみた。そこで感じたのは、単なるディスカウントサービスではない「体験型」としての完成度の高さだ。

例えば先日、 アプリからドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の「サプライズボックス(6個)」を購入してみた。価格は1596円から割引されて798円だった。

事前に決済を済ませ、指定の時間内に店頭へ向かう。受け取った箱を開けると、定番商品の「オリジナルグレーズド」などだけではなく、話題の映画「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」とのコラボドーナツまで入っていたから驚いた。以前から食べてみたいと思っていた商品だったので「え、これも入っているの?」とうれしさがひとしおだった。もちろん、味や品質は通常品とまったく遜色ない。

環境に良いことをしながら、気になっていた商品を安く買えたと考えると満足感は高い。「売れ残りのほうが安いから、少し状態が悪いけれど買う」というネガティブな感覚は一切なく、むしろ「何が入っているかわからない楽しさ」が勝る体験だった。

次に購入してみたのは、東京・大手町のオフィスビルに入っているカレー店「TOKYO MIX CURRY」の「弁当2個セット」だ。とある平日に注文し、価格は1723円から割引されて861円だった。

うれしいサプライズだったのが、予約時間に店に行くと、店員さんから「店頭に並んでいるお弁当の中から2つ選べます」と言われたこと。売れ残りのなかから店側が見繕った商品だったり、1つの弁当がかなり小さかったりしても当然の値段だと思っていたが、実際はキーマカレーやバターチキンカレーなど定番のカレーメニューに加えて、カオマンガイや担々麺風の味付けの鶏肉丼など、豊富な種類から選べた。サイズも普段店頭で販売されているのと同じもののようで、成人女性がランチに1つ食べれば十分満腹になる量だ。

筆者が選んだのはバターチキンカレーと、鶏肉が何種類かに味付けされている「鶏づくし弁当」。前者は通常価格898円、後者は同999円だったので、実際には合計で半額以下で買えたことになる。

味もたいへん美味しく感動したが、2つは食べきれなかったのでもう1つは同僚にあげることにした。喜びを友人や知り合いとシェアできるのもこのサービスの魅力だと感じた。

なお、このときアプリで指定されたピックアップ時間は14時以降。つまり、ランチタイムを2時間ずらすだけで食費を半分以下に抑えることができるというわけだ。時差ランチが可能な人にとっては1つのライフハックと言えるだろう。

アプリ自体のUIも非常に洗練されている。緑を基調としたデザインは、操作するだけで環境貢献への意識を想起させる。予約から決済までは数タップで完結し、支払いにはクレジットカードやApple Payなどが使用できる。事前に決済を済ませているので、店頭では商品を受け取るだけだ。

なお、アプリ内には「これまでに防いだCO2e(二酸化炭素換算排出量)」や「節約した金額」が数値化される。自分の行動がどれだけ地球環境とお財布に貢献したかを可視化することで、ユーザーの継続利用を促す強力なモチベーションとなっている。

ビジネスとしての合理性と、これからの消費スタイル

Too Good To Goが短期間で世界的な支持を受けている理由は、それが持続可能なビジネスとして成立しているからだと言えよう。

消費者にとってのメリットは上述した通りだが、店舗側にとっても、廃棄コストを収益に変える以上の利点が存在する。公式のデータによれば、Too Good To Goを利用してある商品を購入した人のうち61%が、初めてその店舗へ来店した顧客だ。さらに41%が別の商品を「ついで買い」しているという。本来廃棄されるはずだった食品を通じて、加盟店は新たな顧客接点を獲得し、売り上げの底上げや新規顧客の獲得を実現しているのである。店側の登録料は無料で、販売成立時にのみ手数料が発生する仕組みも、18万ものパートナー店舗を惹きつける要因だろう。

もちろん、課題がないわけではない。サプライズバッグ形式ゆえに内容の「当たり外れ」は避けられず、現状では加盟店が都市部に偏っている点も否めない。受け取り時間は閉店間際など、ピーク時を避けた時間に設定されやすく、人によっては受け取りが難しいという場合も多そうだ。

しかし、値上げが続く現代において、「安い、楽しい、しかも環境に良い」という選択肢は、消費者にとって「罪悪感のない新しいお得消費」の象徴となりつつある。節約や環境に良い行動を「なにが入っているかわからない」というサプライズ体験へと昇華させたこのモデルは、既存の訳あり品、おつとめ品の販売とは一線を画す、次世代のスタンダードとなる可能性を秘めている。

文/田中節子

初対面5人と平日夜に晩ごはん!?フランス発のマッチングアプリ「Timeleft」をガチで試した結果…

「新しい友達ができにくい」 社会人になると、そんな声をよく聞くようになる。筆者もそうした思いを抱く1人だ。職場と家を往復する毎日で、休日は疲れて家で寝て終わる。…

公務員として社会保障に携わった後、経済系媒体で記事執筆、編集を経験。手がける分野は食や嗜好品から教育、行政、マネーまで。留学経験などから、欧州の文化や社会動向にも親しみがある。

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