福井県の名物といえば「越前蟹」や「羽二重餅」、「へしこ」など色々思い浮かぶが、「ソースカツ丼」もその中のひとつだ。
そんな福井名物「ソースカツ丼」の発祥とされているのが老舗洋食店の『ヨーロッパ軒』だ。
福井の老舗洋食チェーン『ヨーロッパ軒』とは?
『ヨーロッパ軒』が誕生したのは大正2年。初代店舗は東京都早稲田鶴巻町(新宿区)にオープンした。
しかし、大正12年関東大震災の影響で初代店舗は営業不可能となり、大正13年に福井市に現在も続いている『ヨーロッパ軒総本店』をオープン。
その後、昭和14年に敦賀分店(現在の『敦賀ヨーロッパ軒本店』)を、のれん分け第1号店として開店。
その後も優秀な料理人にのれん分けを行い、現在では福井市11店・敦賀市5店・春江・丸岡・神明の計19店舗を展開している。
今回はのれん分け第1号店である『敦賀ヨーロッパ軒本店』の広報担当者に話を聞いた。
福井で「カツ丼」とは「ソースカツ丼」のこと
『ヨーロッパ軒』のメニューには『カツ丼』と書いてあるが、ここで意味するものは一般的にイメージする卵でカツをとじた『カツ丼』ではないのだ。
いわゆる“ソースカツ丼”が『ヨーロッパ軒』においての“カツ丼”だという。
「福井県民にとって“カツ丼”といえば、卵でとじない薄い豚肉の“ソースカツ丼”が主流で、ソウルフードとして深く愛されています」(以下、「」内『敦賀ヨーロッパ軒本店』広報担当者)
むしろ卵でとじたタイプのカツ丼を知らない人も、福井県では多いと話す。
「県外で卵でとじた“カツ丼”を初めて食べて、カルチャーショックを受ける人も多かったのではないでしょうか」
これに関して、筆者のまわりの福井出身の知人数名に聞いてみたのだが、皆一様に「“カツ丼”というのは“ソースカツ丼”のことだと思っていた」という。「卵でとじたものがあるということは、何となく知っていた」と話す者も。
それほどまでにソースカツ丼は“カツ丼”として福井で浸透しているのだ。
ドイツ料理のシュニッツェルから着想
『ヨーロッパ軒』のソースカツ丼は衣やソースが特徴的だという。
「衣はパン粉を細かく砕いたような状態で比較的薄いです。ソースがしっかりとかかっています」
ドイツで料理を研究していた『ヨーロッパ軒』の創業者・高畠増太郎さんの考案した、甘みと酸味の調和がとれたオリジナルソースが特徴とのこと。メインのカツは、ドイツ料理のシュニッツェルから着想を得たため衣が一般的なカツよりも細かいものになっている。
福井市の『ヨーロッパ軒』と『敦賀ヨーロッパ軒』は、味わいに少し違いがあるという。
「敦賀ではソースが少し甘めになっています。敦賀市は関西に近いということもあり、少し関西風です。厚さも敦賀の方が厚めになっています」
『敦賀ヨーロッパ軒』発祥の『スカロップ』も人気
ちなみに『ヨーロッパ軒』福井県では主に『パ軒』という愛称で親しまれているという。
「昔は『ヨーロッパ』と呼ばれていましたが、最近は『パ軒』と呼ばれているようです。今の40代くらいの方々から若い世代は『パ軒』という呼び方が多いようです」
『敦賀ヨーロッパ軒本店』の人気メニューは何だろうか?
「『カツ丼』、『パリ丼』、『スカロップ』が人気です」
『パリ丼』はソースが染みたメンチカツが乗った丼のことで、『ヨーロッパ軒』全店にあるメニューだが『敦賀ヨーロッパ軒』が発祥とのことだ。
初代の社長がヨーロッパを旅した際にインスパイアされて発案し、『パリ丼』と名付けたんだとか。
また、変わったネーミングの『スカロップ』は『敦賀ヨーロッパ軒』のみで食べられるメニューだ。
『スカロップ』はカツに自家製デミグラスソースをかけたものとだという。『スカロップ』は英語のScallop(ホタテ)に似ているが、名前の由来は何だろうか?
「名前の由来は残念ながら分からないのです」
「よく聞かれるので、聞いておけばよかった」と担当者は話す。珍しい名前なので印象的だ。
他にも、『ジクセリ』というメニューもあり、こちらはカツを卵で絡めたピカタのような料理とのこと。こちらもまた、名前の由来はわからないという。
ミステリアスな『スカロップ』も『ジクセリ』も『敦賀ヨーロッパ軒』のみのメニューだ。
福井名物『カツ丼』!
『敦賀ヨーロッパ軒本店』にて名物の『カツ丼』をいただいた。
『敦賀ヨーロッパ軒本店』はかなり高い建物で古き良き風情がある。
甘めのソースがしっかりと染みた薄めのカツが3枚乗っている。蓋からはみ出ている外見がキャッチーだ。
柔らかいけれど歯ごたえがある絶妙な硬さのカツである。量は多い。3枚乗っているので、蓋に一度カツを寄せて食べるものだという。
カツもボリューミーだが、特にご飯は食べても食べても減らない。かなりの大盛りだ。
地元の人も多くて食べきれず持って帰る方も多いとのことで、店内に持ち帰り用のパックが常備されている。
カツに自家製デミグラスソースがかかった『スカロップ』。
一般的なデミグラスソースとは違う味わいで、とろみが強くさっぱりしている。初めて食べる味ではあるがなんだかクセになる。
カツはソースカツよりも厚めだ。やはり食べ応えがある。
『カツ丼』も『スカロップ』も“初めての味わいなのにどこか懐かしい”という風味で、なんだかクセになる。福井に立ち寄るときは必ず食べに来るというファンが多いのも頷ける。
ぜひ福井県に立ち寄る際には『ヨーロッパ軒』にて元祖ソースカツ丼を堪能してみてはいかがだろうか?
取材協力:敦賀ヨーロッパ軒本店
文:まなたろう
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