2026年5月16日、ダイハツ工業株式会社が『Keep it OPENイベント#01』というイベントを富士スピードウェイで開催した。
8月に生産を終える予定のダイハツ・コペン。極めて高い人気を誇るツーシーターの軽オープンカーで、現代に至るまで2世代を重ねている。「8月の生産終了」とは、2代目コペンの生産終了を意味する。
これは言い換えると、3代目コペンが登場する可能性があるということだ。実際に、ダイハツは3代目コペンを想定したランニングプロト車両を公開している。
そんなコペンのためだけのイベントが、富士山の麓で盛大に催されたのだ。
コペンが示した「新しい車の在り方」
日本には「軽自動車」という独自の規格が存在する。
この軽自動車を所有する利点は、維持費の安さにある。燃費が良く、自動車税の額も低く設定されている。日本という国は平野面積が決して広いとは言えず、道幅も狭い。その中を快適に走行できる最適な移動手段が軽自動車だ。
そうした背景を抱えつつ、日本の660cc以下の四輪自動車は世界に類を見ない形の進化を遂げた。
初代コペン(L880K)の登場は2002年。バブル崩壊以来の不景気が日本列島に強烈な閉塞感をもたらし、国民は新たな価値基準を渇望していた。高度経済成長期以来の手法では、もはや成長は望めないと誰しもが感づいていた。
「改革」を口に出すか出さないか、或いは自らは沈黙したまま政治家がそれを口にする瞬間を皆が待ち望んでいた時代、と表現してもいいかもしれない。
そんな雰囲気の中で発売されたコペンは、「アクティブトップ」を搭載していた。スイッチ一つで開く仕組みのハードトップである。
油圧ポンプが劣化すると動きが渋くなっていくという弱点もあるが、このアクティブトップが「新しい車の在り方」を我々に提示したことは間違いない。
強力な直列4気筒DOHCツインスクロールターボ『JB-DET』エンジンは、軽自動車離れした加速を実現させた。そして何より、コペンは今現在のダイハツが売りにしている「小さいからこそできること」をそのまま実行している。コンパクトな車体は日本の駐車場でもまだスペースが余るほどで、クランク走行での取り回しも良好だ。
初代コペンの生産は2002年から2012年まで、その後は若干の空白期間を経て2014年から2代目(LA400K)の生産が実施され、今に至っている。四半世紀に渡って絶大な人気を維持し続けている、という事実に我々はもっと目を向けるべきだろう。
同日には静岡ホビーショーも
Keep it OPENイベントでは、富士スピードウェイのホームストレート上に1,000台のコペンが4列縦隊で並べられた。
このコペンのオーナーは、抽選を経て入場資格を受け取った人々である。当選倍率は2.5 倍を上回ったそうで、つまり1,500人以上のコペンオーナーが富士スピードウェイに来たくても来られなかったということだ。
幸い、筆者は当選を経て入場資格を得ることができた。富士スピードウェイを周回するパレードランにも参加している。

富士スピードウェイの所在地は静岡県小山町だが、実はこれと同じ日に静岡県でもう一つ巨大イベントが催されていた。静岡ホビーショーだ。そうしたこともあったためか、富士スピードウェイの会場ではミニ四駆COPEN CUPも開催されていた。
静岡県という単位の視点で見れば、巨大イベント同士がどのような相乗効果を発揮するのかを試す機会であったとも言えるだろう。Keep it OPENイベントに参加し、その日の夜は御殿場のホテルでビールを飲みつつ一泊、翌日は東名高速道を使って静岡市に移動し、静岡ホビーショーの会場へ……という人もいたのではないか。
コペンからやや話が逸れつつあるが、つまるところコペンとはそれだけの影響力をもたらし得る車であることはここで強調しておきたい。
サーキット上で車を修理!
さて、筆者の初代コペンはアクティブトップの動きがどうも鈍かった。いや、「鈍い」をとっくに超えて手を使わないと開閉ができないほどだった。
これは完全に油圧ポンプの劣化によるもので、コペンの持病とも言える。いずれどうにかしようと思っていたが、なかなか直す機会がなかった。それを何と、富士スピードウェイのホームストレートで修理することになったのだ。
コペン専門店で知られる『わだち』が会場内でブースを出していて、そこで油圧ポンプ交換作業を請け負っていた。費用は通常なら7万7,000円だが、この日はたったの4万円。もちろん数量限定で、アクティブトップの問題を抱えているコペンオーナーが続々とブースを訪れていたとのこと。
「決済はクレジットカードに対応しています。これをホームストレートのどこかにいるウチのスタッフに見せてください!」
と、筆者は交換用の油圧ポンプそのものを受け取った。まさか修理業者からスペア部品を直接手渡されるとは思っていなかったが、ともかくスタッフを見つけて油圧ポンプを交換してもらう。作業は5分ほどで終わった。
筆者のコペンのアクティブトップは、富士スピードウェイのサーキット上で見事に復活した! この感動をどう書けばいいのか、まだ分からないほどだ。今までのように手で屋根を押し上げたりする必要はなくなり、スイッチ一つで素早い開閉が可能になったのだ。
わだちさん、本当にありがとう!!!
待ち望まれる3代目
上述の通り、ダイハツは3代目コペンと思わしきコンセプトカーを既に公開している。
現状、開発は進んでいるものの量産車の製造スケジュールを公表できる段階には達していない模様だ。製品化にはまだ課題があるようで、それを克服するためには時間もかかるだろう。
会場の特設ステージに登壇したダイハツの井上雅宏社長によると、FR(フロントエンジン・後輪駆動)方式のコペンには大きなポテンシャルが備わっていて、ランニングプロト車両を用いたテストは既に行われている。が、現段階では法規制対応を含めた様々な課題が存在するという。
井上氏の話は、やはり「3代目コペンの登場まではまだしばらく待たなければならない」という方向で解釈するべきだろう。初代コペンの生産終了から2代目コペンの販売開始まで2年かかっているが、2代目から3代目へのバトンタッチもそれと同じくらいか、或いはそれ以上の時間が必要になるかもしれない。
が、少なくともダイハツは「本気」であることをここに書き留めておかなければならない。コペンの歴史を終わらせることは考えていないようで、此度のイベントの意義も「コペンの歴史をつなぐための節目」と考えるのが自然ではないか。
この出来事は、単に「一車種のイベント」に留まらない。とある人気商品が人々の行動を動かし、我々の国の文化や実体経済にどのようなインパクトを与えるのか。Keep it OPENイベントは、そのような角度から見てもまさに「巨大イベント」と呼ぶに相応しいはずだ。
文/澤田真一
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