「Nintendo Switch2」の値上げが決定しました。5月25日から国内の販売価格は4万9980円から5万9980円に変更になります。9月からはアメリカ、ヨーロッパでも価格改定を実施予定。
任天堂は2027年3月期のNintendo Switch2の販売台数を1650万台と予想。前期と比べて17%減少する見込みです。値上げの影響もあり、2年目で早くも台数減少の予想を出しました。
ソフトウェアのヒット作創出が急務となっています。
過剰に高まっていた市場の期待感
Nintendo Switch2は2026年3月期に1986万台を突破しました。任天堂のゲーム機の中でも異例の売れ行きの良さ。国内では発売当初は品薄状態が続き、一時は転売品の高騰を招くほどの騒ぎになりました。
任天堂は当初、初年度の販売台数を1500万台と予想。これはNintendo Switchの初年度の台数とほぼ同じでした。後継機は経営陣の予想を大幅に上回って着地をしています。
しかし、Nintendo Switchは初年度以降も売れ続け、2021年3月期に年間の販売台数が2883万を突破しました。
その勢いを見てきたゲームファンからすると、Nintendo Switch2が2年目で早くも販売台数が落ちる見込みであることに複雑な思いを抱くのも確か。ただし、後継機の最大のセールスポイントは、NVIDIAの最新のプロセッサーを搭載した画像処理能力の高さです。美しい映像・画像でゲームの世界に没入はできるものの、Nintendo Switchを遥かに凌駕するようなゲーム体験ができるわけではありません。
つまり、後継機は繊細で滑らかな動きを望むゲームファンを主なターゲットとしたものであり、任天堂が得意とするライト層への吸引力は決して高くはありませんでした。爆発的なヒットを予想していなかった節があります。Nintendo Switch2の初年度の販売台数を1500万台と発表した際、株主からは目標が保守的なのではないか、との声も聞かれたほど。
しかし、任天堂の主要なターゲットからやや外れるコアなゲームファン向けのものであるという背景を理解すると、世間的に低いと見られる目標を出した理由が見えてきます。
任天堂の株価は後継機の売れ行き好調が伝えられていた2025年8月18日に1万4795円をつけましたが、2026年5月15日には6849円の安値をつけています。株価は半分以下の水準まで下がってしまいました。市場の期待感の高さとのギャップをよく表しています。
ポケットモンスターは本来の強みを失った?
ゲーム機は原価負担が重いため、利益率は低くなる傾向があります。任天堂は2026年3月期の営業利益が15.6%でした。発売前の2025年3月期と比較して8.7ポイントも下がっています。
そのため、Nintendo Switch2の販売台数が減る今期(2027年3月期)は2.5ポイント上昇する見込み。一方、売上高は1割程度下がる予想です。
稼ぐ力を高めることは歓迎すべきですが、Nintendo Switchを発売した2018年3月期の営業利益は16.8%で、翌期は20.8%まで4ポイントも上がりました。そして、1割以上の増収も達成しています。
つまり、このときはハードに加えてソフトの売れ行きも好調だったのです。ゲーム機はソフトのメガヒット作が生まれてハードが売れるという、好循環を形成することがあります。Nintendo Switch2はそのサイクルを作る途上にいるように見えます。
原材料高やトランプ関税などコスト高の影響で、Nintendo Switch2は値上げを余儀なくされました。したがって、ソフトの力が一層必要とされているのです。
任天堂は自社ソフトにこだわってきました。ソフトの自社売上比率は73%に上ります。それが「マリオ」や「ゼルダ」、「スプラトゥーン」、「ポケットモンスター」などの強力なIPを生み出す原動力になっていました。任天堂の組織力の強さに繋がっていたと言い換えることもできるでしょう。
しかし、やや陰りが見えてきた印象もあります。それが如実に表れているのが近年の「ポケットモンスター」。2025年10月に発売した「Pokémon LEGENDS Z-A」はNintendo Switch2向けが394万本でした。Nintendo Switch向けは885万本でしたが、後継機を買わせる力には欠けていました。
2026年4月には「Pokémon Champions」の配信を開始したものの、任天堂からは大ヒットの発表が聞こえてきません。
一方で、「ぽこ あ ポケモン」や「Pokémon Trading Card Game Pocket」がヒットしていることからも、ポケモンシリーズの楽しみ方が、バトルからコレクションへと移行しており、本来の強みが活かせなくなっている印象を受けます。
任天堂も今後はサードパーティーの協力が不可欠に?
ソニーのPlayStation5は2026年3月期に1600万台売れました。2025年10-12月は790万台であり、この期間の販売台数はNintendo Switch2を上回っています。発売から5年以上経過してもまだ売れ行きは好調なのです。
ポイントは他社ソフト。2025年は「モンスターハンターワイルズ」や「ELDEN RING NIGHTREIGN」、「ARC Raiders」、「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」、「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」、「SILENT HILL f」など数々のヒット作が生まれました。
こうしたゲームはサードパーティーと呼ばれる外部の会社が開発をしています。ソニーは「Ghost of Yōtei」といった良作を生み出していますが、ソフトの多くはサードパーティーに依存をしています。
Nintendo Switchのゲームは安心感や一体感、統一性がある一方で、PlayStationが多様性に溢れているのはそのため。ソニーはそれが奏功してゲーム機の長寿化に成功しました。
「ELDEN RING」というメガヒット作を開発したフロムソフトウェアは、Nintendo Switch2向けのソフト「The Duskbloods」を2026年に発売します。スクウェア・エニックスも「ファイナルファンタジー」などの人気作をNintendo Switch向けに発売しています。
今後、任天堂は市場の期待に応えるためにも、サードパーティーの拡大に向けた取り組みが必要になってくるのかもしれません。
文/不破聡
最近は、出版社やエンタメ系企業によるゲーム業界参入が話題になっている。そんな中で映画・ドラマ・舞台など創立から75年の長きに渡ってさまざまな「ものがたり」を紡い…







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