電気料金や通信費など、暮らしに欠かせない毎月の固定費の値上がりが、2026年の家計に影響を与えています。
そこで政府は、2025年11月21日に決定した総合経済対策に基づき、2026年1月から3月使用分の電気・ガス料金支援が実施されました。
【参考】電気・都市ガスをご利用するみなさまへ|電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁
しかし、2026年4月検針分からは適用外となるので、請求される料金を見て「4月から値上がりしたのか……」と思ってしまうかもしれません。
また、auは2025年8月1日から料金プランの改定を行っています。
たとえば、「使い放題MAX+5G/4G」の場合、2025年7月利用分までは月額利用料が7458円のところ、2025年8月利用分からは月額利用料が7788円と、330円の値上げとなりました。
【参考】料金プランのサービス内容と月額料金の改定について|au
また、ソフトバンクも2026年7月1日より料金プランの改定を予定。月額料金が改定後は110~550円の値上げを予定。ドコモや楽天モバイル、MVNO各社も追随する可能性があります。
【参考】料金プランのサービス内容と月額料金の改定について|ソフトバンク
一方で、毎月必ず出ていく「固定費」は、一度見直せば効果が継続する〝最強の節約ポイント〟にもなります。
特に現在は、スマホ料金、電力契約、キャッシュレス決済を上手に連携させることで、〝生活インフラの最適化〟が可能です。
今回は、今日から始められる「固定費DX」を解説します。
電気代、ガス代はなぜ2026年4月に値上がりしたの? 1月から3月の支援終了が背景に
先述のとおり、政府は2025年11月21日に総合経済対策を実施し、物価高対策に2026年1月から3月の電気・ガス代の支援しました。
2026年1・2月分の電気料金は低圧(交流600V以下。一般家庭、小規模店舗・事務所が主)で4.5円/kWh、高圧で2.3円/kWhを値引き。都市ガスは18円/m³の値引きを実施しています。
続く2026年3月分の電気料金は、低圧で1.5円/kWh、高圧で0.8円/kWhを値引き。都市ガスは6円/m³の値引きを行いました。
【参考】電気・都市ガスをご利用するみなさまへ|電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁
また、東京電力によると、二人以上世帯の平均電気使用量は月平均409kWhといわれています。
【参考】電気使用量が多くなる!?4つの主な原因とその対策について徹底解説|東京電力パワーグリッド
そして、東京ガスによると、標準家庭におけるガスご使用量は、1か月あたり30m³と算定しています。
電気使用量もガス使用量もご家庭の状況、季節による変動はありますが、以上のデータを元に二人以上世帯の平均値で値引きの目安を計算してみました。
2026年1・2月の電気料金は409kWh×4.5円/kWh=1840.5円、ガス料金は30m³×18円/m³=540円が値引きの目安でした。
そして、2026年3月については、電気料金は409kWh×1.5円/kWh=613.5円、ガス料金は30m³×6円/m³=180円が値引きの目安でした。
ちなみに、筆者は戸建ての2人住まいです。2026年3月の電気使用量は641kWhで、東京電力に支払った料金は2万295円でした。
また、同月のガス代は5903円。東京ガスに支払いました。
ただし、この支援は2026年3月使用分まで。4月からは適用されなくなったため、電気代、ガス代が値上がりしたと思ったのではないでしょうか。
■〝ポイント還元型〟をうまく活用する
2026年3月までの政府支援の終了を受けて、電気代、ガス代といった毎月の固定費を抑えるにはどうしたらよいでしょうか。
そこで参考となるのが「ポイント還元型」の料金プランの活用です。
最近は、単純に電気料金が安いだけではなく、ポイント還元を含めてお得になる電力会社が増えています。
たとえば、東京電力では、「くらしTEPCOポイント」サービスを行っています。
対象プランを利用しているユーザーが「くらしTEPCO web」にログインすると、毎月1回50ポイントがたまったり、そのポイントをdポイントやPayPay、Suicaなどに交換も可能です。
■通信キャリア系電力、ガスの強み
そして特に注目したいのが、通信キャリアやQR決済と連携した「経済圏型」の電気サービスでしょう。
ドコモなら「ドコモでんき」「ドコモ ガス」、auならガスもセットで契約できる「auでんき」、ソフトバンクなら「ソフトバンクでんき」「ソフトバンクガス」、楽天モバイルなら「楽天でんき」「楽天ガス」など、各社が通信契約との連携サービスを展開しています。
これらの特徴は、毎月の利用料金に応じてポイント還元が期待できること。電力会社も「単体」で選ぶより、通信キャリアとセットで見直すと効果が出やすくなっています。
たとえば、ドコモの場合、「ドコモでんき」「ドコモガス」が利用できます。
「dカード PLATINUM」の会員で「ドコモでんきGreen」に契約すると、初年度のdポイント還元率は電気料金の12%、2年目以降はdカード PLATINUMの月間ショッピング利用料金に応じて、最大12%の還元率となります。
dカード GOLDでシミュレーション
固定費の支払いは毎月発生するため、年間で見ると大きな差になります。特にスマホ料金が高めになりやすい「無制限プラン」「家族割」は、還元メリットを受けやすい傾向があります。
例として、ドコモのギガ無制限プラン「ドコモ MAX」を利用し「dカード GOLD」で支払いをしているユーザーを想定。「ドコモでんき Green」と「ドコモ ガス」を利用した場合のシミュレーションをしてみましょう。
たとえば月1万円の電気代だと仮定します。
毎月たまるdポイントは電気料金の最大6%となるので、月間600ポイント、年間7200ポイントがたまります。
そして「ドコモ ガス」との組み合わせにより、追加のポイント還元が受けられる場合があります。
2026年5月現在では2%アップが期待できるので、月間800ポイント、年間9600ポイントが自動的にたまることになります。この時点で年間1万円を節約するという目標を無理なくクリアできるのです。
さらに、キャンペーンやクレジットカード利用でのポイント還元が加わると、実質的な節約額は広がります。
また、電力会社のアプリによる「電気使用量の見える化」が進化しています。時間帯別の消費電力などを把握しやすくなり、「何に電気代がかかっているのか」が見えるようになりました。
以前は「節約=我慢」でしたが、現在は「ポイントをしっかりためる」「データを見てムダを減らす」方向に進化しています。
さらに、電気料金の請求先をキャリア決済や提携カードにまとめると、家計管理がラクになるのも見逃せないポイントです。
固定費の管理は「安さ」「ポイント還元」も大事ですが、「管理コストを減らせるか」も重要になっています。
■「夜型」「在宅」「一人暮らし」で変わる最適解
電力契約は、どの会社が一番安いかで比べるのも大切ですが、自分の生活スタイルに合っているかも重要です。
たとえば、在宅勤務の多い家庭は昼間の電気使用量が増えやすいため、昼間の料金が安いプランが向いています。
逆に、日中は仕事で不在、夜に電気を使う「夜型」なら、夜間料金が割安になるプランの恩恵を受けやすくなります。
また、一人暮らしの方は使用量そのものが少なかったり、仕事やレジャーで外出している時間が長い場合もあるので、「基本料金0円型」が有利になるケースもあります。
一方で、4人家族など、継続的に使用量が多い家庭では、従量料金単価やポイント還元率が重要になります。
つまり、みんなが得しているプランが、自分にも最適とは限らないのです。
■電気代、ガス代セットで注意したいこと
最近は、電気・ガスのセット契約で割引を行う事業者も増えています。ただし、「セット割=必ず安い」とは限りません。先ほどご説明したように、電気やガスは利用するユーザーのライフスタイルによって、使用する量や時間帯が異なります。セット割の場合、プランの選択肢が狭くなり、ユーザーの使い方に合わないプランしか選択できないケースもあります。
また、注意したいのは、新規契約時の事務手数料、解約金や燃料費調整額、ポイント還元条件です。
特に燃料費調整額は、貿易統計における原油価格や液化天然ガス価格などから算出される、その時々の平均燃料価格により毎月変動する調整額で、時期によって請求額が変動します。
また、「◯か月以内の解約で違約金」といった条件が付くケースもあります。そのため、比較する際は「基本料金」だけではなく、年間総額ベースで確認することが重要です。
スマホ料金の見直しは〝通信品質やギガ量、価格〟はもちろん〝経済圏〟で選ぶ時代
現在のスマホ料金見直しは、通信品質やギガ量、月額料金の安さだけでなく、どの経済圏を使うかが重要になっています。
自分が使う通信キャリアがどのような〝ポイント経済圏〟を設定しているかをチェックしてください。
■ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、それぞれの経済圏と連携
ドコモはdポイント、auはPontaポイント、ソフトバンクはPayPay、楽天モバイルは楽天ポイントとの連携が強みです。
例えば、QR決済、クレジットカード、ネット銀行、電気・ガス契約まで統一すると、ポイント還元効率が大きく変わります。
毎月の固定費を「バラバラ」に支払うより、ひとつの経済圏に寄せたほうが、管理もしやすく、還元も受けやすくなる場合があります。
■家族割、光回線セットを再確認したい
意外と見落としやすいのが、「昔の契約」を放置しているケースです。
結婚や引っ越し、子どもの進学などで生活環境が変わる中、スマホの契約だけは数年前のまま、という人も少なくありません。
家族割や光回線とのセット割も、条件が変わると最適解も変化します。「昔は得だった」が、今も得とは限らないため、一度見直すだけで月額数千円変わるケースもあるので、改めて見直ししてみましょう。
キャッシュレス決済を整理すると〝見えない出費〟が減る
QR決済、クレジットカード、電子マネーを複数使い分けると、支出管理がどうしても複雑になります。
さらに、もらえるはずのポイントが還元されなかったり、ポイントを放置して失効したり……そんな〝見えない出費〟を回避するためにも、キャッシュレス決済を改めて見直したいものです。
■「メイン決済一本化」のメリット
まず手始めに行いやすいのが、「メイン決済」を決めることです。
たとえば、「ふだんの決済はPayPayに集約」「クレカは1枚を中心に利用」といった形にすると、家計の流れが把握しやすくなります。
ポイントも分散しにくく、失効も防ぎやすくなります。
■サブスクの整理
固定費DXで効果が出やすいものに、サブスク整理があります。
動画配信、音楽、クラウドストレージ、ゲーム、フィットネスなど、気づかないうちに毎月数千円支払っているケースもあります。
また、最近は動画配信と通信料金がセットになっているプランも増えており、それぞれを無駄に支払っている場合もあります。
「今、何を使っているか?」を基準に見直すだけでも、家計改善につながります。
■クレカ×QR決済×銀行連携で差が出る
たとえば、「特定カードからチャージ」「指定銀行口座引き落とし」で還元率アップなどです。
固定費支払いを含めて設計すると、年間で数万円規模の差になることもあります。
月額1万円の節約は可能?
スマホ料金や電気・ガス、サブスクなどの固定費は、一度見直せば効果が続くのが大きな特徴です。仮に月の支払いを毎月5000円見直せたなら、年間6万円の節約です。
そして、通信キャリア、電気、QR決済、クレジットカードを同じ経済圏でまとめることで、ポイント還元や家計管理を効率化しやすくなっています。
月に25万円、年間300万円分の支払いを、同じ経済圏でまとめることができれば、ポイント還元率2%で月額5000ポイント、年間6万ポイントの還元が実現できるわけです。
固定費を月額5000円見直し、さらにポイント還元の5000ポイントを加えれば、月額1万円の節約は不可能ではありません。
見逃せないのは、食費など日々の節約には我慢が必要な場合がありますが、料金の見直しや経済圏の見直しには日々の努力は不要です。この1万円を、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)に充当すれば、将来の備えともなりますし、物価上昇などへの対抗策ともなります。
固定費DXは「苦労せずにためる」手段として、積極的に活用してみてください。
取材・文/中馬幹弘







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