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「今の不動産がほぼバブルじゃない」不動産賢者たちが語る納得の根拠

2026.05.30

不動産は今が買い時か、それとも待つべきか。価格や立地、将来性について当たり前のように語られる業界の常識は、はたして信用していいのか──。不動産のウソとホントを整理し、一生モノの知識を身につけよう。

都心マンションの高騰が止まらない。果たしてこれは、あの熱狂の再来なのか。不動産の現場を知る賢者たちが、かつてのバブル期と現在の市場との一致度を「バブル度」として評価。浮かび上がった、世間の印象と異なる構造的な真実とは。

都心3区はマンション価格停滞から転売ヤー失速で〝下落傾向〟へ

成約価格はこの2年間で約40%上昇した。「許容範囲とされる年率5~10%を大幅に超える、明らかな異常値です」。売出価格と成約価格の乖離も大きい。「通常は成約価格の1~2割上を狙うもの。過剰な吊り上げが行なわれている証拠」。しかし直近の成約価格は横ばいだ。「買い控えが起きつつあります。都心3区の局所的な〝バブル〟は落ち着き、実需主体の安定市場へと回帰する流れが生まれるかも」

中古マンション価格推移

バブル度30%

沖 有人さん

スタイルアクト株式会社 代表取締役
沖 有人さん

1998年に現スタイルアクトを設立。設立当初から運営する分譲マンション価格サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上にのぼる。

金融庁が地銀に警告も価格下落は〝調整〟のみ

金融庁は不動産融資の過熱を危惧し、地方銀行に対して2026年2月に異例の警告を発した。「貸出先の少ない地方銀行が都市部業者に行なう過剰な融資にメスを入れた形」。これが続けば融資姿勢の厳格化が進む可能性は高い。「ただ価格への影響は限定的でしょう。これは暴落の予兆ではなく、歪んだお金の流れが正常になるための健全な動きといえます」

金融庁による市場介入の事例

転売業者と融資元が招く局所的な歪み

 価格高騰が続く都心のマンション市場。だが、この現象を一括りに「バブル」と呼ぶのは正確ではない。スタイルアクト代表取締役の沖有人さんは、現在の市場を「バブル度30%」だと捉えている。

「ただ、あくまで都心3区(千代田区・中央区・港区)に限っての話。その他のエリアでは異常な値上がりはほぼ起きておらず、局所的に起こっている現象と見るべきです」

 では誰が価格を押し上げているのか。沖さんによると、その正体は海外資本でも富裕層でもなく「国内の転売業者」だという。

「それも大手ではなく、個人規模の法人です。彼らは信用金庫や地方銀行などから融資を受け、都心3区の物件の約3割を取得しています。この実需を伴わない転売資金こそが高騰の要因でしょう」

 こうした不自然な高騰を抑制すべく、自治体や金融庁が動き出したことで、潮目が変わりつつある。

「業者への圧力が増し、融資が厳しくなれば、彼らは抱えている在庫を吐かざるを得なくなります」

 大量の在庫放出は、一見して市場の混乱を予感させるが、暴落には至らないと沖さんは予測する。

「在庫があふれていたバブル期とは市場の需給バランスが異なります。今は先高感から売り渋りが続き、市場に出回る物件自体が少ない。一方で、実需層は依然多く、吐き出された業者の在庫は実需層の手にすぐ渡ります。そのため、仮に下落しても調整の範囲内に留まるでしょう」

 ではいつ物件を買えばいいのか。沖さんは〝今〟だと提言する。

「買い控えが起きつつある今こそ、じっくり吟味できるし、安い物件を探す余裕もある。この1年は絶好の買い場となるかもしれません」

 マネーゲームに踊らされず、相場と資産価値を見極めることが、都心で生き残る秘訣なのだ。

【結論】下落するのは都心3区のみ他地域は調整程度

実態に伴わない値上がり方の都心3区は適正価格へ戻るでしょう。連動する形で、他地域でも調整程度の変動が起こるかも。

政策金利は依然低水準

長らく続いたゼロ金利政策は幕を閉じ、政策金利は0.75%に。それに従い住宅ローンも1%程度まで上昇したが、バブル崩壊後2010年代中期まで続いた3%台に比べれば依然低水準だ。「金利上昇後であっても、投資した分を賃料で十分回収できる範囲。バブル期と異なり、健全な市場といえます」(清水さん)

変動金利、フラット35

バブル度5%

清水俊介さん

株式会社Myアセット 専務取締役
清水俊介さん

大学在学時に宅建資格に合格し、東急リバブルを経て現職。同社公式YouTube「お金と住まい【Myアセット】」で不動産に関する様々な情報を発信している。

工事原価は10年で140%上昇

2025年の建築費指数は2015年比でおよそ1.4倍に上昇した。「つまり、今同じ物を造れば、当時よりはるかに高くなります。価格高騰がバブルではなく、建物の価値自体が上がっていることを裏付けています」(圡肥さん)

建築費指数の推移

バブル度0%

圡肥伸一郎さん

株式会社Myアセット 代表取締役会長
圡肥伸一郎さん

バブル期以前から不動産業界に携わり、1988年に現Myアセットを設立した。2020年、千葉産業人クラブ主催「千葉県優秀企業経営者表彰」において優秀経営者賞を受賞。

まだまだ不動産は上がる!価格上昇は世界水準への過程

 世間では「バブル再来」の声が上がる中、40年近く業界の変遷を現場で見てきたMyアセット代表取締役会長の圡肥伸一郎さんと、専務取締役の清水俊介さんは冷静に現状を分析している。

「現在の相場は、1980年代後半に起きた熱狂とは、その質が根本的に異なります」(圡肥さん)

 そもそもバブルの正体とは何だろうか。それはデータではなく「買えば上がるはず」という〝投資家の心理〟だと清水さんは語る。

「当時は、住宅ローン金利9%に対して運用利回りはわずか2%。にもかかわらず、物件の値上がりに期待して買う人が後を絶ちませんでした。一方現在は、金利が上昇傾向にあるとはいえ、十分採算がとれる。当時とは状況が異なるのです」(清水さん)

 清水さんは現在の市場を「バブル度5%」と表現する。

「転売業者、そしてごく一部の外国人が要因ですが、その影響は限定的です」(清水さん)

 バブル期に創業し、動乱を経験した当事者のひとりでもある圡肥さんは、さらに踏み込んで「0%」と断言する。

「かつてのバブルは、変動相場制への移行によって日本人が突如『世界一のお金持ち』になったことが引き金でした。しかし今はその逆。安い日本の物件を買いに来た海外資金が上昇の呼び水となった。根本的に仕組みが違うんです」

 加えて、今は資材費や人件費の増加で、建設コストそのものが上昇していることも見逃せない。

「世界水準のコスト感や資産価値に追いつこうとしているプロセスとも捉えられます」(圡肥さん)

 バブルという言葉に惑わされず、歴史と比較して今の構造を理解すること。それが暴落を待つことによる機会損失を回避し、正しい買い場の把握に繋がるのだ。

【結論】1990年頃のバブルとは全然違う!!

当時のバブルとは状況も要因も全く別物。むしろ、日本の相場が世界水準に到達しようとしている、正常化に向けた歩みなのです。

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文/桑元康平=すいのこ 撮影/藤岡雅樹 編集/千葉康永

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