コロナ禍が一段落したあたりからだろうか、エンタメ要素があってストレス解消を売りにするバーが増えた印象がある。例えば、以前取り上げた「THE AXE THROWING BAR」は、手斧を的に向かってひたすら投擲する趣向のバー。若い女性や家族連れも来店し、一部のファンだけの世界でないことを感じさせた。
ストレス解消に斧投げ!?原始の本能がよみがえる体験型バー「THE AXE THROWING BAR」潜入レポート
主に薪割りに使われる「斧」の歴史は古く、石器時代にさかのぼる。 当時は、狩りの獲物に向かって投げることが多かった。失敗すれば、今日の食べ物はお預けとなるので、必…
今回紹介する「シューティングcafe&BAR THE ROCK」も、その路線のバーと言える。ただし、こちらは投げるのでなく撃つ。そう、市販のエアソフトガンで思う存分撃ちまくれて、日ごろのストレスをすっきり晴らせるお店だ。
銃器が並ぶさまはまさに異空間
店が位置するのは、京都府宇治市の近鉄大久保駅から徒歩3分のビルの2階。階段を上がると、「THE ROCK」と書かれた看板が見え、右手には一丁のライフル(もちろん本物ではない)が掲げられている。左手のガラスドアを開けると、大小様々なエアソフトガンが多数陳列された異空間に出迎えられる。
店内は薄暗いが、エアソフトガンには照明の光が当たって銃身を鈍く輝かせ、ここでは真の主役は何かを教えてくれる。
カウンター席に座ると、店主のjlnさんが応対してくれた。店ができたのは5年前、コロナ禍の真っ最中だという。
「パンデミックが起きて1年経ったので、そろそろ落ち着くだろうと思って開業しました。でも、オープン間もなく政府が緊急事態を宣言。夜8時以降はアルコールを出したらダメとなって、まともに営業できなかったですね。その後も、2年ぐらい蔓延防止の措置があって、仕方ないとはいえ不自由な思いをしました」
今では全国各地から来店
そう語るjlnさんだが、苦しい時期を経た今は、常連・新規を含め客足が絶えないそうだ。19時半の開店早々、男性客が1人現れた。ほどなく何人もの来客があり、一気に賑やかになる。店の向かいの陸上自衛隊大久保駐屯地から来た自衛官もいる。
「遠方より、はるばる来店される自衛官も沢山おられます」と、jlnさんは言うが、客層のメインは自衛官ではないとも。日本には、約35万人のエアソフトガンやモデルガンの愛好家がいると推定されるが、職業的な背景はさまざま。この日に来店した、市販のエアソフトガンをカスタマイズして、別の愛好家と店内で見せ合って楽しんでいるという男性は、メーカー勤務。ものづくりの仕事に携わっていることが、この趣味に役立っているという。
「それこそ、全国各地からお客様は来られます。京都観光のついでにというのもあるでしょうけど、やはり銃を見たい、撃ってみたいという意欲が大きいです。というのも、店に置いてある銃は、ライフルだと安くても数万円します。高いものだと数十万円のものもあって、個人だと気軽に収集するのは難しい。そこで遠路はるばる訪れ、間近で見て触って満足されるのですね」と、jlnさんは話を続けた。
約70人集めてサバゲーも主催
「THE ROCK」の客層は、女性の比率が高いのもひとつの特徴だ。彼女らが、銃に関心を持つきっかけで大きいのがアニメやゲーム。作品に登場する銃器が、実際はどんなものか興味がわいて、初来店というパターンは多いそう。
また、知人に連れられてきて、銃の魅力にはまったという女性も。「一緒に来た男性よりも、のめりこむ人は珍しくない」そうで、筆者の隣の席に座った女性もその1人。今では、サバイバルゲーム(サバゲー)に参加しているという。
サバゲーは、お客さん同士をつなぐ接点ともなる。jlnさんは、サバゲーのイベントを年に数回主催しており、「お店のお客さんだけで70人ぐらい集め」、京都府内や奈良県のフィールドで大会を催す。サバゲー未体験者や家族連れも含めた、和気あいあいの雰囲気の中で、楽しく対戦が楽しめるという。
もちろん、フィールドまで出かけなくても、店内のシューティングレンジで心ゆくまでガンシューティングを堪能できる。
命中させるのは意外と難しい
この種のことは未経験の筆者が、シューティングレンジにチャレンジしてみた。銃は、デザートイーグルという名の大ぶりで銀色のハンドガン。万が一の跳弾から両目を保護するゴーグルを装着し、ピストルの構え方から撃ち方まで、店のスタッフの方に一通り教わる。狙うのは9メートルくらい先にあって、薄闇の中に丸く光る電子ターゲットである。
射撃のコツは、銃口側の上にある突起(照星)と手前側の上の切り欠き(照門)を合わせ、引き金を引くだけ。まず1発撃つと、ガス圧で6mm径のBB弾を発射するガスガン特有の「バシュ」という音とともに、リアリティのある反動が生じた。弾は的を外れた。さらに何発か撃つが、かすりもしない。スタッフの方は「惜しいですね」と言ってくれるが、最初は楽勝と思っていた自信が、へなへなと崩れていく。
結局、ギブアップして、ハンドガンをライフルに代えてもらう。それは、旧ソ連の名銃AK-47の改良型であるAKMで、銃身はずっと長い。「これなら当たる」と思ったものの、やっぱり1発に命中せずに終わった。「数十発撃っても当たらない、初心者のお客様もおられます」とのことで、予想外の難易度の高さが、ハマる一番の要素なのだろうと思った。
……というわけで、2時間の滞在があっという間に感じられたひとときであった。銃に関する知識がなくてもOKで、敷居はとても低いので、万人におすすめ。ちょっとでも興味があるなら、一度訪れてみる価値はある。
なお、「THE ROCK」は、金・土曜日のみの営業で、時間は19:30~24:00となっている(貸し切り時のみ全日営業可能で、時間帯や料金は要相談)。基本的に予約優先で、貸し切りや混み合う日もあるので、事前に公式SNSから問い合わせておこう。
公式X:https://x.com/_thexrock_
公式Instagram:https://www.instagram.com/therock_sh.bar
文/鈴木拓也
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