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昆虫博士・牧田習さんが解説!絶滅の危機に瀕している昆虫、100年後はどうなる?

2026.05.16

昆虫にあまり興味がない方でも、「最近、昆虫が減っている」という声を聞いたことがある方は多いかと思います。実際に、世界の多くの地域で昆虫が減少していることが示されており、今後、数十年で約4割の昆虫たちが絶滅の危機に瀕すると予測する研究もあるほどです。では、100年後の未来、昆虫たちはどのような状況になっているのでしょうか。今回は「気候変動」「人間の物流」「開発」という3つの要因が与える影響に着目して、その未来を考察します。

気候変動による影響

現在、地球上では地球温暖化をはじめとする気候変動が大きな問題となっております。世界の年平均気温に着目すると、長期的には100年あたり0.79℃程のペースで上昇しており、地球温暖化が進行していることが分かります。しかし、この上がり幅は地域によって異なり、東京では100年前と比べてなんと3℃程も上昇しています。

3℃というと、私たち人間ですら、厳しく感じる温度差ですから、昆虫たちにとっては深刻な問題です。そして、過去100年間に注目すると、寒冷地を好む種類は減少し、暖地を好む種類が増加するということが起きてきました。北方性の昆虫たちはこれにより、分布域が北へ北へと追い込まれ、涼しい高地のみに分布する種はどんどん高地へと追い込まれている傾向があります。

100年後、さらにこのペースで気温が上昇すると、身近な昆虫たちは全く異なるファウナを形成するようになるのではないかと考えられます。多くの方が知っている人気昆虫の中でも、ミヤマクワガタなどは涼しい森を好む種のため、更なる危機を迎える可能性が高いです。

僕は南日本におけるチョウ相と気候変動の関係を専門的に研究していますが、気候変動による影響を踏まえた将来的な予測を行ったところ、地域のチョウ相を覆すほどの大きな変化が起こっていくという予測結果が得られています。

人間の物流による影響

人間の物流が盛んになった現代では、その物流と共に多くの生物があらゆる場所に持ち込まれてしまい、外来種が発生しています。これにより、その地域に元々いた在来の生物へ悪影響が及び、在来種が絶滅に追い込まれるということも発生しています。現在、各国の水際対策の強化、物流の際に生物が付着していないかのチェックの厳重化なども進んではいますが、日本でも毎年のように新たな外来種が見つかっているのが現状です。

おそらく、今後も物流と共に外来種の発生は続いていくと考えられます。特に目立つパターンとしては、以前であれば、温暖な地域から日本へ外来種となる昆虫が持ち込まれても、日本が涼しかったため、分布を拡大することができなかったのが、地球温暖化も相まって、このような外来種が過ごしやすい環境になったというものです。この「物流+地球温暖化」の相乗効果で分布を拡大していくというパターンは今後も発生していくだろうと考えられます。

現在、外来種として日本の水辺の生態系に悪影響を及ぼしているミシシッピアカミミガメも地球温暖化の影響で、さらに日本国内での分布を広げてきていると考えられています。今後、このような地球温暖化と相性の良い外来種が増えることで、在来生物が脅かされる危険が高まっています。

開発による影響

気候変動や外来種に加え、人間の開発も昆虫に大きな影響を与えています。都市開発や農地拡大によって森林や湿地、草地が失われ、多くの昆虫が生息地を失っています。昆虫は特定の環境に強く依存するため、わずかな環境改変でも大きなダメージを受けます。また、都市化によるヒートアイランド現象や乾燥化、農業の効率化に伴う単一栽培や農薬使用も、生物多様性を低下させる要因です。

このまま開発が進めば、100年後には身近な昆虫相は大きく変わり、都市や農地といった人為的な環境に適応できる一部の種が優占するようになると考えられます。一方で、森林や湿地などの特定の環境に依存する種は大きく数を減らし、地域ごとの個性ある昆虫相は失われていく可能性があります。結果として、どこに行っても似たような昆虫しか見られない、均質で単純化した生態系へと変化していくことが懸念されます。

今回は、100年後の未来の昆虫たちについて、3つの影響から考察してきましたが、これらの未来を変えられる可能性は常にあります。特に、外来種や開発などによる悪影響は社会全体で環境教育を行っていくことで大幅に減らせると期待したいところです。

昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

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文/牧田習

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