不動産業界の裏を全て知り尽くす「全宅ツイ」。正式名称は「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」。「クソ物件オブザイヤー」などを運営し業界内外で注目を集めている。不動産ファンドから街の業者まで最前線で働くプロがリアルな話を発信している。不動産業界を知り尽くした彼らが「客の前じゃ言えない」、業界の裏話を語ってくれた。
※本稿は『DIME 7月号』(2026年5月15日発売)に掲載された「不動産のウソ、ホント」から一部を抜粋・再編したものです
金融商品感覚で、数千万円の期待収益に魅了されている

事業会社の不動産事業部所属。都心の不動産を売買・開発する。全宅ツイ会長。最近は高度化する地面師詐欺と戦っている。

渋谷界隈で活躍する不動産ブローカー。外資の動向やマクロ経済にも明るい。金利上昇に怯えるパワーカップルの危うさに警鐘を鳴らす。

都心の不動産を中心に扱うブローカーで、全宅ツイの創設者。中国マネーの撤退など、水面下で動く情報を掴み、市場の潮目を読むプロ。

都内で買取再販を中心に、全宅ツイのクラファンで誕生したcafe&bar「中間省略」、新店舗「余白」などを運営。不動産業に嫌気が差してる。
峰:なぜ今の若い世代は進んで多額の借金をしてまで不動産投資に熱狂するのか最後に話したいです。
あくの:それは不動産が、銀行融資という「他人のふんどし」で、一撃数千万円の売却益を狙える唯一の手段だからですよ。今の若い世代の熱狂の正体は、毎月の地道な家賃収入狙いではなく、完全に売却益狙いなんです。例えば普通の20代の会社員が、実需のフリをして1億円のタワマンをフルローンで買い、数年後に1億2000万円で売る。手出しゼロで2000万円の利益が出る。こんな芸当、ほかの投資じゃ絶対に無理。
かずお君:一撃でそれだけの利益が出る快感を知ってしまったり、SNSで成功体験をひけらかす人を見てしまったりしたら、地道な労働がバカらしくなるんでしょう。
あくの:問題は、今の若い世代が不動産を、株やFXのような金融商品(ペーパーアセット)と完全に同じ感覚で捉えていること。グル スマホアプリや不動産ポータルサイトで、周辺の過去の成約価格や推定利回りが簡単に可視化できますからね。スマホで株をポチッと買うのと同じノリで多額の借金にハンコを押してしまう。我々からすると、信じられないほどの度胸というか。
かずお君:僕らのような40代、50代の人間は、リーマンショックを業界のど真ん中で経験していますからね。あの時、イケイケだったデベロッパーやファンドがバタバタと倒産し、相場がナイアガラの滝のように崩壊していく地獄を骨の髄まで味わっている。
あくの:不動産という魔物の本当の恐ろしさを知っているし、銀行融資でレバレッジ(※)を極限までかけることにトラウマがあるんです。スマホの画面には利回りしか表示されませんが、実際には孤独死による事故物件化リスクや、夜逃げ、家賃滞納、理不尽なクレーマー対応など、画面には絶対に表われないバグが山ほど潜んでいる。
※ 本来の意味は「てこ」で、少ない自己資金に対し、融資などで大きな金額の取引を行なうことを表わす。利益が大きく伸ばせる分損失も同じ倍率で増大する。
峰:築古物件を買えば、壁の裏にシロアリがいたり、地下から水が湧いてきたり。そうした物理的なトラブルや人間関係の泥沼を這いつくばって解決していくのが、実物の不動産のリアル。
グル:でも、若者は自分で汗をかきたくないし、現場の泥臭さを知らない。そこを狙い撃ちにするのが、SNSにうじゃうじゃいる不動産インフルエンサーってわけね。
峰:情報弱者の若者をカモにしている彼らの正体は、悪徳業者から多額の紹介料をキックバックでもらうための客引きですよ。
あくの:結果的に、インフルエンサーの言うがままに業者の利益がたっぷり乗ったクソ物件を高値掴みさせられている。これが今の不動産投資ブームの闇ですよね。
かずお君:そもそも、不動産業界というのは情報の非対称性で稼ぐ世界です。本当に儲かる美味しい物件が、SNSの広告やDMで素人のところに親切にやってくることは100%あり得ない。
峰:性善説なんて一切通用しません。客をハメてナンボの魔界に、何の知識も持たずに「金融商品感覚」で飛び込むのは、まさに飛んで火に入る夏の虫です。一歩間違えれば人生が完全に詰んでしまいます。
かずお君:だからこそ、自分の身と資産を守るためには、業者の言葉を鵜呑みにせず、不動産リテラシーを身につけるしかない。それが、魔物がすむこの業界で生き残るために必要不可欠なんです。

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Amazonで購入する 楽天ブックスで購入 7netで購入する取材・文/久我吉史、撮影/木村圭司、編集/千葉康永、web構成/峯亮佑
漫画:大谷アキラ・夏原武・水野光博 / 小学館「ビッグコミック」連載中







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