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クソ物件オブザイヤー運営が語る不動産業界のウラ話…資材価格上昇の裏で行われている見えないコストカットとは?

2026.05.17

不動産業界の裏を全て知り尽くす「全宅ツイ」。正式名称は「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」。「クソ物件オブザイヤー」などを運営し業界内外で注目を集めている。不動産ファンドから街の業者まで最前線で働くプロがリアルな話を発信している。不動産業界を知り尽くした彼らが「客の前じゃ言えない」、業界の裏話を語ってくれた。

※本稿は『DIME 7月号』(2026年5月15日発売)に掲載された「不動産のウソ、ホント」から一部を抜粋・再編したものです

チャイナマネー撤退ラッシュで価格は天井を打った

かずお君
事業会社の不動産事業部所属。都心の不動産を売買・開発する。全宅ツイ会長。最近は高度化する地面師詐欺と戦っている。
あくのふどうさん
渋谷界隈で活躍する不動産ブローカー。外資の動向やマクロ経済にも明るい。金利上昇に怯えるパワーカップルの危うさに警鐘を鳴らす。
全宅ツイのグル
都心の不動産を中心に扱うブローカーで、全宅ツイの創設者。中国マネーの撤退など、水面下で動く情報を掴み、市場の潮目を読むプロ。
峰 不二夫
都内で買取再販を中心に、全宅ツイのクラファンで誕生したcafe&bar「中間省略」、新店舗「余白」などを運営。不動産業に嫌気が差してる。

かずお君:2012年末のアベノミクス以降、都心の不動産、特に湾岸タワマンは狂ったように上がってきましたが、ついに止まりました。明らかに潮目が変わったね。

峰:中国人富裕層が、今はめちゃくちゃ売ってますからね。

グル:中国は景気悪化が深刻ですから。今の彼らは、損をしてでも現金化して安全圏に資金を逃がしたいフェーズ。台湾有事などの地政学リスクで日本に資産を置くことのリスクを考えるようになった。

かずお君:あとは、現金一括でタワマンを爆買いしていたバイヤーが、完全に売り手に回っている。それらの影響はモロに出ていて、2億〜3億円超の高額物件はほぼ動きが止まっちゃった。

峰:実需で買う日本人のパワーカップルが出せる限界って、せいぜい1億〜1億5000万円ですからね。それ以上の物件は投資家が買わないと回らない。

グル:彼らが手を引いている以上、もう上値は追えないかな。

かずお君:かなり先行き不透明な状況だなと。都心の高額物件も値下げしている事例が増えている。湾岸タワマンの中には、所有者の外国人が修繕積立金を滞納したまま行方不明になる事例も出てきてますからね。今までのように何でもいいから買え! という状況ではない。

峰:じゃあ新築マンションの価格も下がるかというと、そう簡単じゃない。

グル:台湾有事のリスクや中東のホルムズ海峡問題でサプライチェーンが寸断され、鉄筋などの資材価格が爆上がり。おまけに建設業界は深刻な職人不足で労務費も上がりっぱなしです。これだけ原価が上がれば、デベロッパーも新築の販売価格を下げられない。

かずお君:でも価格を上げすぎたら消費者の収入がついてこない。じゃあ業者はどうするか? 見えないところでコストカットをするんです。

あくの:壁紙や床の質は落ちてますよね。間取りも昔ならファミリー向けは70㎡以上が当たり前だったのに、50㎡台の「狭小3LDK」を無理やり作って売っている。

峰:これは新築だけでなく、業者が買い取ってリフォーム再販する中古物件でも同じ。手抜き工事が横行していて、素人が買った後に水漏れなどが発覚し、修繕費でさらに数百万円飛ぶトラブルが日常茶飯事ですよ。

グル:世界情勢でいえば、アメリカはインフレ退治の高金利政策が効いて、商業用不動産を中心に市場がかなり冷え込んでます。オフィスビルの空室率も上がり、向こうのファンドは火の車。

かずお君:これまで日本の不動産が外資に買われていたのは、世界が金利を上げる中で日本だけがゼロ金利を維持し、資金調達コストが圧倒的に安かったからだよね。

峰:でも日銀がいよいよ本格的な利上げに踏み切り、その前提が崩れつつある。外資系は冷徹だから、利回りが見合わないと判断したら一瞬で売り抜けます。外資ファンドが日本市場から資金を引き揚げれば、都心の異常な不動産バブルは強制終了になるかも。でもこれって、買いのチャンスかもしれませんね。本当にマイホームが欲しい実需層や堅実に利回りを狙う国内の個人投資家は、数年ぶりにまともな値段で買えるかも。

あくの:でも、個人にとっては日銀の利上げという住宅ローンの時限爆弾もあるから……。フルローンや諸費用まで借りるオーバーローンの人たちはどうなっちゃうのかな。変動金利が1%上がると、毎月の返済額は数万円単位で跳ね上がりますから。今の20〜30代のパワーカップルは価格が右肩上がりの時代しか知らないから、そのへんがピンと来てない人が多い。

かずお君:スマホで物件価格が簡単に調べられるからか、不動産を株のように「金融商品」として捉えてるんでしょうね。「最悪、払えなくなったら売ればいい」と軽く考え、平気で財産を全ツッパしてしまうんですよね。

グル:そこが最大の落とし穴。いざ金利が上がってローンが払えなくなり「家を売ろう」と思った時、投資マネーが抜けて相場が下がっていた……売却価格より残債の方が多くて赤字、なんてことに。そういうリスクを若い世代にはもっと知ってほしいですね。

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取材・文/久我吉史、撮影/木村圭司、編集/千葉康永 、web構成/峯亮佑

Author
大学卒業後、『週刊ポスト』で週刊誌記者としてキャリアを始める。医療、芸能、政治、社会問題などを担当し現場取材を中心に経験を積む。2023年からは@DIMEで編集者兼ライターを務め、ビジネスからエンタメまで幅広く取材・執筆を行なう。取材・執筆した企画(一例)/「ポケモン超進化論」(「DIME 2023年9・10月合併号」)、「ガンプラ45年の軌跡」(「DIME 2025年9・10月合併号」)

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