投資は難しいもの、我慢するもの――そんなイメージをまだ抱いているあなたへ。週3000円から、好きな企業を〝推す〟感覚で始める「ゆる投資術」を、旅する投資家・藤川里絵さんが紹介。最新トレンドをいち早くキャッチして〝推し株〟を見つけるヒントをお届けする。
■旅する投資家・藤川里絵の「推し株で始めるゆる投資」
個別株投資をしていると、いわゆる「有名銘柄」といわれるものが気になってくる。世界中の人たちが知っていて、街のあちこちで見かけるお店やロゴ……。
全国各地、老若男女、多くの人が支持しているのなら、投資対象として超優秀なのでは?
100万円を目指し、個別株投資をしている著者は、旅する投資家・藤川里絵さんに話を聞いた。有名銘柄への投資って、アリ?ナシ?
解説するのは、旅する投資家・藤川里絵さん

2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。新著『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円を貯める本』(小学館)が発売中!
有名銘柄への投資はアリなのか?ナシなのか?
ーー里絵さんは「10年前に買っておけばよかった」と感じている有名銘柄はありますか?
藤川里絵さん:ないですね(ズバッ!)。そもそも有名銘柄を買いません(ズバッ!)。
ーーえっ、なぜ?PERが割高だからですか?
藤川里絵さん:わたしのおすすめはPER15倍以下の個別株ですからね。でも、それだけじゃありません。
一生の趣味や推し活のような感覚で、コツコツ株式投資を楽しんでいる私のような個人投資家にとって、有名銘柄は再現性がなく、おもしろくもなんともないんですよ。
ーー再現性がない、とは?
藤川里絵さん:有名銘柄って、いわば大スターのようなもの。たとえばミスチル(Mr.Chirdren)のライブチケットは頑張らなくてもソールドアウトするでしょうし、音源もたくさんの人がダウンロードしてくれるはずですよね。
すでに多くの人が「いい」と言っている銘柄を買って、勝ったとして、嬉しい?お金は稼げるかもしれませんが、それって一生楽しめる趣味でしょうか?
「確実に利益を出したい」という大前提のもと、有名銘柄を買うのなら成功かもしれません。でもそれは、有名銘柄ゆえの〝棚ぼた〟的なもの。ほかの個別株で、同じようなストーリーを描けない可能性が高いから〝再現性がない〟んです。
ーーたまたまで、自分の実力ではない、というわけですね。
藤川里絵さん:それに何より、有名銘柄への投資で個人投資家は「機関投資家」に勝てません。

ーー機関投資家?
藤川里絵さん:「機関投資家」というのは、顧客や企業から預かった資金を株式や債券で運用する「法人の大口投資家」のことです。つまり『ファーストリテイリング』や『Apple』のような有名銘柄は、世界中の投資のプロである機関投資家が分析して緻密に売買されているから、個人投資家としては推しづらいんですよ。
個人投資家だとしても、SNSで流れてくる「何億稼ぐ!」みたいな人は、たとえば『NVIDIA』の株を一気に何千万円も買って、ひと時も目を離さず、ここぞというタイミングで売る……みたいな。利益が出れば巨万の富が手に入るけど、ともすると大きなリスクもある投資をしているわけです。
一般的な個人投資家とは、投資額もやり方もちがいますよね。
ーーたしかに、そんな方法は怖くてマネできないです。
有名銘柄を、どうしても保有したいなら?

ーーイバラの道とわかりつつも、市井の人に有名銘柄を買うチャンスはあるのでしょうか?あるとしたら、どういう時が〝買い〟ですか?
藤川里絵さん:う〜ん、どんな銘柄でも買ったあとに株価が上がれば正解だけど、有名銘柄はすでに1株あたりが高値ですからね。20〜30%上がるのは、なかなか難しいかも。
わたしの経験でいうと、たとえばNASDAQで上場している『テスラ』。わたしは株価が高騰する前の2024年6月頃に買いました。その後、EV自動車の販売伸び悩みなどもあって、株価は下落しましたが、テスラは自動タクシーを視野に入れてましたので、ふたたび上昇するだろうなと思い買いました。
わたしは自動車業界に明るいわけではありませんが、今後自動運転は不可逆的なものになるだろうから、データをたくさん持っている『テスラ』は優位だと思ったんです。それに、ロボットや宇宙も視野に入れている企業なので、夢を買うような感覚で20〜30株買いました。おかげさまで株価はちゃんと上がって、利益が出ましたよ。
ーーやはり、めちゃくちゃ有名になる前に目をつけるのがポイントなんですね。
藤川里絵さん:でもそれって相当むずかしいですよ。
ユニクロで知られる『ファーストリテイリング(9983)』の株価は、10年前の1万4000円台からいまや7万3000円台(2026年5月1日取材時)。1株あたりおよそ5倍になっています。10年前のユニクロといえば、エアリズムやTheoryとのコラボレーションなど、すでに大人気ブランド。当時から株主になっていたらかなり利益が出たかもしれませんが、10年後に5倍になるなんて確固たる自信は誰にもないはず。
夢を買う感覚で、日本の銘柄なら単元未満株でトライしてみるとか、アメリカの株は1株単位での売買なので、まず1株買ってみるとよい経験になるかもしれません。1株ならタイミングを考えずにトライしやすいでしょう?
ーー確かに!
個別株投資は〝地下アイドル〟を推すのが楽しい
ーー有名銘柄を100株単位で推すのは、個人投資家にはなかなかむずかしい世界ということがわかりました。
藤川里絵さん:そうね。個人投資家が推すなら、きらっと光るところがある〝地下アイドル〟的な株がいいと思いますよ。
地下アイドルは、ライブに行けば握手もできるし、チェキ会に参加すれば喜んでくれるし、客席から「今日は体調悪そうだな」っていうこともわかるぐらいの距離感でしょう。自分で見つけた!いっしょに育っている!という感覚もあって、その経験を生かして別の推し株を見つけられる再現性もあります。
ーーたしかに、ミスチルは気軽に握手できないし、ライブに行っても体調なんてわからない……。大スターは、遠くから眺める偶像崇拝がいいのか……。
藤川里絵さん:別に、その会社やブランドが大好きで、これからも未来があると思うなら有名銘柄を買えばいいんですよ。
ただ、わたしが楽しんでいるのは、『会社四季報』を読んだり街中をウォッチングしたりして、自分で銘柄を調べて、利確までのストーリーを考えて、失敗したり勝ったりする個別株投資です。金額の大小というよりも、仮定も含めて一生の趣味になりえる個別株投資なんですよね。だからみんなが知っている大スターに投資してもなぁって思っちゃうんです。
ちなみに、つみたてNISAの人気銘柄である「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式/オール・カントリー)」には、『Apple』も『NVIDIA』も入ってますよ!
ーーおおっ、ほんとうだ!わたしは里絵さんの著書に則って、つみたてNISAは「オルカン」一択。いつの間にか投資してました。
藤川里絵さん:個別株投資は、勝ちたいのか、続けたいのか。マラソンでいえば、オリンピック選手は勝つことが目的ですが、市民ランナーは走ること自体が楽しいわけでしょう。じぶんがなぜ個別株投資をしているのか、その目的をいま一度振り返ってみることをおすすめしますよ。
取材・文/ニイミユカ
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発行:小学館







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