■連載/阿部純子のトレンド探検隊
今年も猛暑が予想されており、常温で持ち歩く夏場の手土産には気を遣う。特に溶けやすいチョコレート菓子は敬遠することも多いだろう。
チョコレートをはじめとする贈答用菓子の製造、販売を手掛ける「メリーチョコレートカムパニー」は、「暑い⽇でも常温で持ち運べる手土産」として、5月13日より夏向けの新商品 「メリーチョコレート シュガーコートミルフィーユ」を販売する。
チョコレート関連の商品を多く展開する同社でも、夏場の手土産に関してはゼリーやプリン、焼き菓子といった常温で持ち運びできる商品が主体となっている。
新商品は同社のロングセラー商品「ミルフィーユ」の製法をベースに、チョコレート特有の溶けやすさという課題をクリアして、35℃の常温での持ち運びを可能にした商品だ。
地球温暖化の影響で猛暑が当たり前になった時代に新たな夏の手土産定番商品となるのか、開発を担当した、メリーチョコレートカムパニー マーケティング本部 研究開発部 焼菓子課課長・パティシエの小柳文弥氏に話を伺った。
【小柳文弥氏 プロフィール】
製菓学校を卒業後、個人経営のパティスリーや贈答用焼菓子を扱う企業で、約20年焼き菓子の開発や製造のプロデュースをするなど菓子製造の研鑽を積み、様々な種類の菓子に精通。2022年からメリーチョコレート研究開発部にてミルフィーユやカカオサブレなど焼き菓子の製造に携わり、本年より研究開発焼き菓子部門の課長に就任。パイ生地とチョコレートの素材の組み合わせを研究し、「ひと口で心に残る」をモットーに、素材の持ち味を最大限に引き出したお菓子作りを追求している。
溶けやすさを克服した秘密は同社独自のシュガーコート技術
メリーチョコレートでは、手土産や親しい人へのプレゼントとして使われるカジュアルギフトにおいて、季節限定の商品を展開し好評を博している。昨年まで販売していた「ミルフィーユ 瀬戸内レモン」は夏の贈り物として人気だったが、暑い時期は持ち運びが課題となっていた。
常温で持ち運びしても溶けにくい商品として誕生したのが新商品の「シュガーコートミルフィーユ」。苦戦してきた夏のチョコレート菓子の課題を打破するべく、様々な顧客の声に応えながら、チョコレート感がありつつも、夏にぴったりのさわやかな味わいに仕様に仕上げている。
同商品の最大の特長は、夏の高温下でもチョコレート感と食べやすさを両立するため、チョコレート特有の溶けやすさを独自のシュガーコート(砂糖のコーティング)技術。
「夏向けのミルフィーユ商品の開発にあたって、メリーチョコレートがこだわっている口どけのよいチョコレートで対応するのはやはり難しいところがありました。そこで発想の転換をして、ドーナツのグレーズのような、外側をチョコレート以外のものでコーティングするのはどうかと考えました。
メリーチョコレートはロッテグループの一員であることから、懇意にしている油脂メーカーさんの協力を得て、ベーカリー向けのグレーズの知見を応用し、溶けにくさを追求した、ミルフィーユに適合する素材を試作することになりました」(以下「」内、小柳氏)
基本構造が出来てからも、口どけ、食感、フレーバー設計、味覚バランス、パイ生地へのこだわりなど試行錯誤を重ね、約3年の開発期間を要した。
「フレーバーは夏場に好まれるレモンと、チョコレートらしさを感じるカカオの2種類です。レモンの方は、レモンクリームで少し酸味を立たせていますが、シュガーコートとの相乗効果で、甘みが補填されて食べやすくなっています。
カカオの方は、カカオマス入りのクリームでビター感を少し足して、シュガーコーティングと一緒に食べた時に外側の甘さで中和されることで、食べやすさを調整しています」
中に挟んだサクサクとしたパイ生地も、同社がこだわりを持つ144層のパイ生地を使用している。
「パイ生地を使ったミルフィーユ商品は15年ほど前から販売していますが、歴代の開発者がこだわり続けたのは、パイ生地の層の細かさと厚みです。パイ生地を食べた時にホロホロと崩れて、チョコレートとクリーム、パイ生地が口の中で最後まで均等に調和する必要があると考えており、それを実現したのが144層のパイ生地です。新商品も144層のパイ生地を使用しました。
チョコレート、クリーム、パイ生地の三位一体が味わえる商品を今後もメリーチョコレートのこだわりとしてお伝え続けていきたいと思っています」
最大の課題である「真夏でも持ち運びできる」検証は、35 ℃の恒温庫での1 時間の保管テストを行った。
シュガーコートミルフィーユを、包装紙を巻いた状態で(※下記画像は撮影のため包装紙なしの状態)、35 ℃の恒温庫に1時間保管。冷蔵庫で30分冷やしたあと、「味」「香り」「テクスチャー(食感)」「色調」「外観」などを人が判断する官能検査を行い、常温保存と変わらない状態であることを確認した。
シュガーコートミルフィーユは、冷蔵庫で30分程度冷やすと砂糖のシャリ感が増し、口の中で軽やかに砕ける食感が味わえる。また、常温で少し置くと一般的なミルフィーユのようなシャリ感とよりチョコレート感のある味になり、冷蔵、常温と好みに応じた二通りの味わい方ができる。
直射日光、高温多湿な場所を避けて保存し賞味期限は90日。全国百貨店 ・量販店のメリーチョコレート売り場で販売。価格は、30個入(百貨店限定)3,888円、20個入 2,592円、10個入 1,296円、5個入(百貨店限定)702円、3個入(量販店限定)432円。
【AJの読み】「シュガーコートミルフィーユ」「ショコラサンド」は夏でもチョコレート菓子を楽しみたい人におすすめ!
発売前に一足早くシュガーコートミルフィーユを試食してみた。シュガーコートが外側の保護と甘味を担って、内側に施したレモンクリームの酸味、チョコレートクリームのビターが味の立体感を形成。口の中で一体感と口どけのよさを感じる。
小柳氏のおすすめの食べ方は、スコーンなどに合わせて食べるクロテッドクリームとの組み合わせ。濃厚で塩味や酸味がないクロテッドクリームをシュガーコートミルフィーユにつけて食べると、レモン味にはコクが加わり、カカオ味にはクリーミーさが加わるので、味のバリエーションがより楽しめる。
冷蔵庫で冷やした状態と常温の状態で食感の違いもぜひ試してほしい。冷やした状態は全体にシャキッとした食感で、常温だとやわらかめの食感で甘みも少し増したように感じる。
ペアリングのおすすめはストレートの紅茶。ブラックコーヒーとも好相性で、シュガーコーティングの甘さが広がり、レモンやチョコの風味が際立つ。
さらに、夏でもチョコレート感のあるお菓子が欲しいという人におすすめなのが、今年2月に発売された「ショコラサンド」(3枚入 1,026円、8枚入 2,376円 12枚入 3,564円/全国一部百貨店、メリーオンラインショップで販売)。
外周には耐熱性のあるチョコレート、中央にとろりとしたガナッシュとチョコレートクリームが入り、食感・味わいの異なる3層のチョコレートを、さくっとほどける口あたりが特徴のココアクッキーで挟んだサンド菓子。
オリジナル配合のチョコレートクリームでチョコレートとガナッシュを包み込むことで溶けにくい仕立てになっており、夏場の常温でも持ち運びできるので、帰省や手土産にも最適。
メリーチョコレートは味だけでなくパッケージの美しさでも定評がある。同社は自社のパティシエが商品の企画・開発を担い、パッケージ、包装デザインも自社のデザイナーが手掛けるなど、自社一貫体制で製品づくりを行っており、商品、パッケージまで含めたすべてがメリーチョコレートの魅力といえるだろう。
取材・文/阿部純子







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