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さすが美食の国!仏のマクドナルドはポテトもフランス料理仕様だった!?

2026.05.13

美食の国フランスにも、世界中でおなじみのあの店、マクドナルドは確かに存在している。しかもここでは、単なるファストフードでは終わらない。フランスならではの食へのこだわりや工夫が、意外なかたちで息づいているのだ。何気なく注文したポテトや、選んだソースの中に、フランスらしさが潜んでいるとしたら・・・?それは一体どんなものなのだろうか。 

フランスのマクドナルドは、緑地に黄色のMで統一された落ち着いた佇まい。奥に見えるのは凱旋門。

サイドメニューに現れる“フランスらしさ

店内の様子。

店内に一歩足を踏み入れると、外観から受けるイメージほど「フランスらしさ」は強くない。店内にはタッチパネル式の注文端末が並び、ハンバーガーを中心に、単品やセットメニューを頼むスタイルは日本とほぼ変わらない。

しかし、ポテトの選択肢で少し驚かされる。フランスでは、細くてカリカリの従来型フライドポテトに加え、皮付きでほくほくとした食感が楽しめる「デラックスポテト」が定番として並ぶのだ。セットメニューのサイドとしてポテトを選ぶ場合、2種類の中から選ぶのが当たり前で、ちょっとしたカスタマイズの楽しさも味わえる。店内を見渡すと、どちらかが圧倒的に人気というわけではなく、細いタイプを選ぶ人も、ほくほくタイプを楽しむ人も両方いる印象だ。カリカリの定番ポテトは日本のものとほぼ同じ味。もし、フランスに来る予定がある人はデラックスポテトをぜひ試してほしい。やや濃いめの味付の薄衣をまとった皮付きジャガイモは食べ応えもあっておすすめだ。 

ちなみに、ヨーロッパ周辺約10か国をリサーチしたところ、2種類のポテトが常時選べるのはフランスとスペインのみということが分かった。 

ポテトの注文画面。2種類のポテトが並び、その横にはソース選択欄も堂々と表示されている。

さて、早速ポテトの注文画面に進んでみよう。今回はせっかくなので、日本でもおなじみの細めのフライドポテトと、デラックスポテトの2種類をオーダーすることにした。 まずは細めのフライドポテト。注文画面でサイズを選び、確定ボタンを押すと、自動的にソース選択の画面へと切り替わる。フランスでは、ポテトを頼むならソースも選ぶ、というのがどうやらお約束らしい。王道はやはりケチャップだが、その下には「ソース・ポムフリット(フライドポテト専用ソース)」の文字が並ぶ。そう、フランスのマクドナルドには、ポテト専用のソースが存在するのだ。 

続いて、皮付きでホクホク感が楽しめるデラックスポテトを選択。すると今度は「ソース・クリーミー・デラックス」という、専用のソースが一つ無料で付いてくるらしい。細めのフライドポテト用ケチャップと専用ソースも、一袋まで無料だが、店員によっては「一袋では足りないでしょう」と言わんばかりに、少し多めに入れてくれることもある。 

右がデラックスポテト用ソースの「ソース・クリーミー・デラックス」。注文したら無料で一つ付いてくる。左はオプションで追加した中華風ソース。

また、ポテトの注文画面の写真でお気づきの人もいるかもしれないが、2種類のポテトの横には、「ソース」という独立した選択枠が設けられている。ポテトの注文時に、ほぼ半ば強制的にソースを選ばされるにもかかわらず、さらに別枠でも選択肢が用意されているのだ。まるで「ポテトを食べるなら、ソースを決めてからでないと先に進めませんよ」と言われているようだ。 

ケチャップやポテト専用ソースのほかに、選べるソースは7種類ほど。店舗によって多少異なるようだが、凱旋門近くのこの店舗では、カレーやシーザー、中華風など、「どんな味がするのだろう」と気になるラインナップが並んでいた。これらのアラカルトのソースは、もう一つの定番サイドメニューであるチキンナゲット用でもある。 もし数人でポテトやナゲットを注文したら、誰がどのソースで何を食べるのかを把握するまでに、それなりの時間がかかりそうだ

フランスのソース文化 

 フランスのMcDonald’s公式Instagramより。「好きなソースに、個性が出る。」と書かれている。

それもそのはず、フランス料理を語る上で、ソースは欠かせない重要な存在だ。例えば、肉料理には濃厚な胡椒の効いたソース、魚料理には軽やかなバターソースなど、どの料理にも必ずソースが添えられる。家庭用のスーパーでも、レトルトの粉末や液体のスープの素が並び、焼いた肉や魚にかけることを前提に販売されている。 

調理された肉や魚に、とろりとしたソースを自分の好みでつけて食べるのは、日常の食卓ではごく一般的だ。フランス語には saucener(ソースネ) というソース専用の動詞があり、「ソースをかける・絡める」という意味を持つ。家庭では、食事の最後に残ったソースをパンに絡めて食べる人も少なくない。行儀が悪いと考える人もいるが、実際には、美味しいソースを余すことなく楽しむ、食事の締めくくりとしての自然な習慣なのだ。こうしたソース文化はフランスの食卓全般に根付いており、ソースなしでは食事が完成しない、と言っても過言ではないだろう。 

左がホクホク感が美味しいデラックスポテト。黄色の袋が、細めのフライドポテト専用、「ソース・ポムフリット」。この日は、一袋おまけしてくれた。

話をマクドナルドに戻そう。テイクアウトした2種類のポテトを手に、近所の公園でさっそく実食することにした。 日本生まれ、日本育ちの私にとって、いつもの細いフライドポテトをひと口食べると、一気に学生時代の記憶がよみがえる。ところが、そこにフランス仕様のソースをつけた瞬間、場面はふっと切り替わる。マヨネーズよりもやや酸味が強い、チャイブの入ったポテト専用ソースと一緒にポテトを一本口に運ぶと、今度はフランスで初めてマクドナルドを食べたときの記憶が立ち上がる。 続いて、個人的にはこちらの方が好みの、皮付きでホクホクとしたデラックスポテト。同じサイズでもしっかりとしたボリューム感があり、細いポテトに比べて塩気の効いた独特の味付けが、いっそう食欲をそそる。 

デラックスポテト専用ソースをたっぷりつけて。

添えられている「ソース・クリーミー・デラックス」の見た目は、先ほどのカリカリポテト用のソースとよく似ている。だが味わいは少し異なり、タルタルソースを思わせるような濃厚なコクに、ほんのりヨーグルトのような爽やかさが加わっている。ポテトとの相性もよく、つけるたびにもう一口、と手が伸びてしまう。 

オプションで頼んだ中華風ソースはアプリコット(あんず)入りの甘めの味わい。 

元々フランスでは、外食の際に、コースメニューのように全てのラインナップが決まっているものに対して「アラカルト」と言う注文の方法がある。アラカルト(à la carte)は、前菜やメイン、デザートなどを一品ずつ自由に選んで注文するスタイルで、たとえば「前菜はスープ、メインはステーキ」というように、メニューを見ながら自分で組み合わせていく。どんな場面でも自分の好みや好き嫌いをはっきり言うことが多いフランス人は、その日の気分やマイルールに則して、食べるものを決めることに慣れている。ともなると、ポテトを2種類用意し、ソースも複数ある中から選ばせるというマクドナルドのスタイルはこちらの人々にとってはごく当然なのかもしれない。 

またフランスは多くの国籍を持つ人の集まる国でもある。となれば、それぞれジャガイモにつけるソースの好みも分かれるということなのかもしれない。 

フランスの朝マック

また日本同様、フランスにも朝マックがある。定番のエッグチーズマフィンやベーコンエッグマフィンはもちろんだが、やはりフランス、マクドナルドにもクロワッサンとパン・オ・ショコラやマカロンが常時置かれている。「わざわざ、マクドナルドに来てまで、クロワッサンとコーヒーと言う、ザ・おフランス的な定番朝食を食べるシチュエーションてどんな時だろう?」と考えてしまうが、それこそ朝食でもアラカルトで、マフィンとパン・オ・ショコラを同時に食べて1日をスタートさせたいフランス人もいるのかもしれない。 

取材・文/盛 真理子(世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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