投資は難しいもの、我慢するもの――そんなイメージをまだ抱いているあなたへ。週3000円から、好きな企業を〝推す〟感覚で始める「ゆる投資術」を、旅する投資家・藤川里絵さんが紹介。最新トレンドをいち早くキャッチして〝推し株〟を見つけるヒントをお届けする。
目次
■旅する投資家・藤川里絵の「推し株で始めるゆる投資」
2026年4月9日、『サイゼリヤ(7581)』の株価が前日比-920円(-13.65%)と大きく値下がりした。何事!?
『サイゼリヤ』といえば、300円(税込)で大満足のミラノ風ドリアや、1500mlも入って1100円(税込)の爆安ワイン、やみつきスパイスが食欲をそそるアロスティチーニ400円(税込)などなど。おいしくて良心的価格で人気のイタリアンだ。休日の昼時は、どこのお店も大繁盛しているイメージがある。
個別株投資で100万円稼ぐことを目指している筆者は、旅する投資家・藤川里絵さんのもとへ!行列ができているお店の株って、絶対に儲かるんじゃないの?
解説するのは、旅する投資家・藤川里絵さん

2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。新著『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円を貯める本』(小学館)が発売中!
『サイゼリヤ』の株価が暴落した原因とは?
ーーいつも賑わっている『サイゼリヤ』の株価が下落した理由から教えてください。
藤川里絵さん:大きく値下がりする前日、2026年4月8日の取引時間終了後に、『サイゼリヤ』は26年8月期の連結業績予想を下方修正していますね。連結業績予想というのは、企業が全体(連結)の次期業績(売上高、営業利益、純利益など)を見通した予測値のことです。
『サイゼリヤ』は、客数と客単価は引き続き増加するという見通しから、売上高は2763億円から2970億円に上方修正しました。一方で、営業利益を190億円から182億円に、純利益を124億円から118億円に下方修正しています。下方修正の原因は、コメ価格の高騰など食材価格の上昇が利益率を圧迫しているから、とのことです。
ーー昨今の物価高が影響していたわけですね。てっきり3月下旬にメニューから人気のある「若鶏のディアボラ風」が消えたせいで、ファンが離れたのかと思っていました。
藤川里絵さん:それ、あながち無関係じゃないと思いますよ。「若鶏のディアボラ風」がなくなった原因は、世界的な鶏肉の需要が増えたからというニュースがありますね。つまり『サイゼリヤ』が求める原価では仕入れられなくなったからです。
コストの上昇圧力があるのにも関わらず、『サイゼリヤ』は値上げをしません。だから純利益は下方修正せざるをえない。一般消費者はデフレマインドがまだまだ強いので、値上げをしないことは好感を持たれるかもしれません。でも投資家としては、このままでは企業として弱くなっていくとネガティブに捉えて、個別株の売りが集中したのかも。
ーーほかのレストランはしれっと値上げをしているのに〜。『サイゼリヤ』はリーズナブルさも魅力ですもんね……。コロナ禍のあと、無料だったパルメザンチーズを100円にした時も話題になっていました。
藤川里絵さん:安さを売りにしているがゆえ、値上げしづらいのでしょう。ただ、『サイゼリヤ』は多少の値上げをしたとしても、「それでもやっぱり安い!」と納得感があれば、お客様は離れないと思いますよ。それに価格改定をしたら、投資家は前向きな変化と捉えて、株の買い注文が増えるかも?
あ、でもPERも高いですね(2026年5月1日の取材時で約20.8倍)。日本の平均PERは15倍ですから、割高感もあったのかもしれません。それから配当利回りは0.5〜0.6%台ですから、配当目当てで株が買われることもなさそう。『サイゼリヤ』の株は、投資家目線では旨みがあまりないのかもしれません。
流行っている飲食店の株を買うべきか?チェックする方法
ーー里絵さんの著書『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円が勝手に貯まる本』では、行列のできているお店の株に注目するといいかも、というアドバイスがありました。流行っている=増益=株価が上がる!とはならないのでしょうか?
藤川里絵さん:そうですね。一概に言えませんが、流行っているからといって株価が上がるわけではないというのは、『サイゼリヤ』がひとつの例かもしれません。
ーーぱっと見た時に流行っているお店の株をチェックする場合、注目すべきポイントとは?
藤川里絵さん:書籍にも書いた、個別株を買う前に必ず見るべき「5つのチェックポイント」です。詳しくは本を読んでいただくとして……チェックする時に、チェーン店なら、たまたま自分が見た店舗だけ行列だったのかも?と考えましょう。全国的に見てどうか?本当に業績が伸びているか?冷静にチェックする必要があります。
あとは、もしつねに流行っているお店だとして、その状況がず〜っと変わらないのなら、投資家は驚きません。
ーーなぜですか?つねにずっと流行っているのなら、調子がいい株なのでは?
藤川里絵さん:業績は調子がいいかもしれないけれど、投資対象としては調子がよくないかも。なぜならみんなが「この株はいい」と考えて、すでにたくさん買われていたら株価は上がりきって、あなたが気がついた時点ですでに割高になっている可能性が高いからです。
株って、〝わたしだけが彼のよさを知っている〟でもだめだし、〝万人に好かれている〟でもだめなんですよ。
ーーこれからまだファンが増える可能性を秘めた〝推し〟じゃないといけない。
藤川里絵さん:そう、目のつけどころが鍵ですね。
それから、注目した株がPER15倍以下で割高じゃないとしたら、〝変化〟が狙い目です。メニューを刷新した、お店を改装した、オーナーが変わった、海外にも出店したなどといった変化で、業績が伸び始めた時に株価は上がりますよ。

ーー里絵さんが最近注目したトレンドや変化ってありますか?
藤川里絵さん:直近で調べたのはマーラータンです。
ーー『バーミヤン』のメニューにも入っていますよね。
藤川里絵さん:ちょっと遅いくらいかも?と思いつつ、わたしの最寄駅にもお店があって、いつも人が並んでるんです。だから『会社四季報』でマーラータンをチェックしてみました。
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ボンボンドロップの流行時にもお話しましたが、トレンドをチェックする際に大切なことは、それがどれだけ売り上げに寄与しているか?わたしが見た企業の『四季報』の記者欄には、「2店舗目をオープン」と書いてありました。正直、たった2店舗か〜とガッカリ。売上全体の30%、40%を占めるのなら株価に影響はあるけれど、2店舗だとあまり期待できません。
ーー『バーミヤン』のマーラータンも、『すかいらーくグループ』全体で考えると、一商品が売れてるだけじゃ期待薄ということですか?
藤川里絵さん:『バーミヤン』の売上が、どれだけ伸びているかによりますね。チェックする方法は月次を見て、全体がぐんと伸びていればOKです。
それでもどうしても飲食業界を推したいのなら?
ーー飲食業は、物価高のいまどこも厳しいんでしょうか?
藤川里絵さん:厳しい!内閣府が発表する「景気ウォッチャー調査」でも、コロナ禍の時ぐらい低迷しています。
そんな中でも戦っていくには、これまでもお伝えしているように、「このお店の、これじゃなきゃだめ」という、キラッと光るブランド力や商品力が大切ですよね。
あとは、強い財務状況であること。3・11やコロナ禍のあと、材料の仕入れ先や工場を分散する飲食関連企業が増えました。でも、それはしっかりとした資金力がないとできません。そういう意味では大手は強いと思います。
ただ、強い財務状況だからといって、株価が上がるかどうかは別問題。会社は潰れないでしょうけれどね。
ーー推したい飲食店、いっぱいあるんですけどね。
藤川里絵さん:気持ちはわかるけど、個別株投資で20%の利益を取りたいとして、わざわざ逆風が吹いている飲食業界の株を買わなくてもいいのでは?「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の発想で、機会が巡ってくるまでウォッチ銘柄にしておけばいいんですよ。
ーー『四季報』で、チャンスの芽を見つけます!ちなみに物価が高騰するなかで、飲食業界の株が日の目を見る機会って、どういうタイミングですか?
藤川里絵さん:う〜ん、やっぱり景気が回復しそうと希望が見えてきた時じゃないでしょうか。それには賃金が上がらないと。物価は上がっても賃金が据え置きでは、飲食業界は厳しいままだと思います。
または、優待目的で買い支えてくれる個人投資家も案外いるので、優待がお得なこともポイントかもしれません。
あとは、インバウンドの力もまだ大きいと思います。先日もオンラインサロンのメンバーさんと『肉汁餃子のダンダダン』に行ったら、海外のお客さんも多くて。最近、燃料代が上がりつつあることでインバウンドが減ってきているようですが、もうしばらくは飲食業界を支えてくれると思います。
とはいえ、次の一手がそろそろ必要ですね。
ーー守ってばかりではなく、攻めないと。
藤川里絵さん:そうですね。コロナ禍で、ひとり焼肉の『焼肉きんぐ』が店舗数を増やしました。他がつぶれる時に攻めていく会社はおもしろいかも。すぐに結果はわかりませんが、のちのち勝ち組が出てくるかもしれませんよ。どんな時もアンテナを張ることを忘れずに!
取材・文/ニイミユカ
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著者:藤川里絵
価格:1760円(税込)
発売日:2026年4月23日
発行:小学館







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