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シスコシステムズがメーカーや方式が異なる量子コンピュータを接続する汎用量子ネットワークスイッチのプロトタイプを開発

2026.05.07

量子ネットワーク構築の根本的な課題を解消する大きな転換点に

世界最大規模のコンピュータネットワーク機器開発企業であるシスコシステムズ(本社:アメリカ合衆国サンノゼ)は、2026年4月23日(米国時間)、量子ネットワーク構築の根本的な課題を解消する大きな転換点となるCisco Universal Quantum Switchを発表した。

本稿ではその概要を同社発表ブログをベースにお伝えする。

シスコは、長年にわたる基盤研究、実環境での実証、拡大する戦略的な連携のエコシステムの上に構築されたとして、シスコのフルスタックの量子ネットワーキングプログラムを推進しており、本スイッチは実動する研究プロトタイプとして、その取り組みの最新成果となる。

量子コンピューターでは情報はさまざまな方式で符号化される。これまでは量子情報を損なうことなく、すべての主要な符号化方式に対応して受信、変換を行なえるスイッチは存在していなかった。

Cisco Universal Quantum Switchは、この課題に初めて対応し、既存の通信ファイバー上で室温環境のまま量子情報を保持しながらルーティングを行ない、さらにシスコが特許を取得済みの変換エンジンにより、入出力時に符号化方式間を変換する。

シスコ、量子時代のネットワークレイヤーを構築

今日の量子コンピューターは強力だが、限界があった。医療、金融サービス、航空宇宙といった分野での実用化を実現するには、これまでにない速度や画期的技術を達成するために数百万量子ビットが必要とされているが、現在の量子コンピューターは数百量子ビット程度にとどまっていた。

シスコは、これに対処する鍵はネットワーキングと接続性だと考えている。量子の未来は、1社や単一のテクノロジーで構築することはできない。あらゆるものを接続することで実現されるものだ。

数十億の人々、数百億のデバイスをケーブルで直接接続することを想像していただきたい。それは想像するに困難なことだ。

インターネットが実現したのは、従来型のスイッチがすべてのエンドポイントを拡張可能な共有ネットワークで接続できたから。Cisco Universal Quantum Switchは量子において同じことを実現する。

2台の量子コンピューターが情報を共有する必要がある場合、本スイッチは信号が送られてきたあらゆる方式で受け取り、ルーティングのための共通言語に変換して、受信側システムに必要な方式で送信する。この一連の過程において量子情報は失われることはない。

これは、量子スイッチの中核をなすシスコが特許の変換エンジンによって実現する。出力方式は、入力方式と同じ場合も、まったく異なる場合もある。

この量子スイッチを利用することで、これまで相互接続を前提として設計されていない量子システム同士の接続と変換が可能になる。これは、異なるベンダーのシステムや技術をまたいで機能する量子ネットワークの構築に欠かせない。

量子スイッチは、情報の伝送に用いられるすべての主要な量子符号化方式をサポートするよう設計されている。

・偏光(光波の向き)
・タイムビン(光パルスのタイミング)
・周波数ビン(光の色または周波数)
・経路(物理的または空間的な経路)

本量子スイッチは現在までに偏光符号化において実験的に検証されている。タイムビンと周波数ビンは設計に組み込まれており、シスコが現在進めている検証プロセスの次のステップとなる。

PoCにおける実験と結果

Cisco Universal Quantum Switchは、シスコ独自のエンタングルメント光源および単一光子検出器を用いてシスコの研究者が試験を実施。実験では、本スイッチが量子情報をシステム間で迅速、正確、効率的にルーティングして変換でき、その過程で量子情報が損なわれないことが実証された。

主な結果は以下のとおり。

・変換を通じた量子情報の保持
量子状態の忠実度とエンタングルメントの劣化を4%未満に抑制して、量子ネットワークが動作するために必要なコヒーレンスを維持する。
・量子ネットワークが求める速度でのスイッチング
サブナノ秒の電気光学スイッチングにより、最短1ナノ秒で接続を再構成する。
・優れたエネルギー効率
消費電力は1ミリワット未満。

■未来の量子ネットワークを推進

量子ネットワーキングはまだ初期段階だ。量子システムを接続するための確立されたインフラストラクチャは存在せず、多くのシステムは同じ方式で情報を符号化する他のシステムとのみ通信が可能だ。

これに対してCisco Universal Quantum Switchでは完全に新しい手法を採用している。

・既存のインフラストラクチャで動作
現在のインターネット通信と同じファイバー上で標準的な通信用周波数帯で動作するため、専用の機器は必要ない。
・これまで通信できなかったシステムを接続
組織は単一ベンダーのエコシステムの制約から解放される。異なるメーカーの量子デバイス間の相互運用が可能となり、既存投資を保護しながら、最先端の量子環境を実現する。
・フルスタック対応設計
ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーション層にわたる分散型量子ネットワーク向けにシスコが開発を続けるエンドツーエンドアーキテクチャの一環として構築されている。

シスコが描く今後のビジョン

シスコは40年以上にわたり世界をつなぐインフラストラクチャを構築してきた。Cisco Universal Quantum Switchは、その取り組みにおける新たな節目であり、実用的な量子コンピューティングに至る道は、数十年ではなく数年のうちに、相互接続された量子デバイスによる分散ネットワークにより実現されるというシスコの確信を示している。

Cisco Universal Quantum Switchは、シスコの量子ネットワークポートフォリオを構成するものだ。このポートフォリオには、量子ネットワークが情報を伝送する際に使うエンタングルド光子対を生成するシスコの量子ネットワーク エンタングルメント チップや、複数の量子プロセッサ間で量子アルゴリズムをどのように分散し実行するかを制御する、業界初のネットワーク対応量子コンパイラQuantum Compilerが含まれる。

これら3つの技術はいずれも、サンタモニカにあるシスコの量子専門研究施設でゼロから開発された。Quantum SyncやQuantum Alertといったアプリケーションとともに、これらのイノベーションは、量子情報の生成、ルーティングするハードウェアから、それを管理するソフトウェア、そしてそれを実際に活用するアプリケーションに至るまで、シスコが描くフルスタック量子ネットワークのビジョンを支えている。

またシスコはIBM、Qunnect、Atom Computingなどとの戦略的連携を通じてこのビジョンを推進している。

関連情報
https://news-blogs.cisco.com/apjc/ja

構成/清水眞希

@DIMEはサイトローンチ時より編集業務に携わる。現在は雑貨や家電、オーディオなどの新製品に加え、各種の社会調査・統計、話題の新スポットからイベント情報などを担当。信条は正確さとわかりやすさ。最近の趣味は日付が変わる時刻のウオーキング。

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